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英国初の女性・レズビアンの大主教が誕生しました

 中央日報によると、英国国教会の一派であるウェールズ聖公会で、英国初の女性でオープンリーレズビアンの大主教※が誕生しました。

※ウェールズ大主教:英国国教会の最高位はカンタベリー大主教ですが、ウェールズ聖公会は1920年に英国国教会カンタベリー管区から独立していて、ウェールズ大主教が最高位の聖職者となります。ウェールズ大主教は、6つの教区を持つウェールズ聖公会を代表する最高指導者として教会の教義や活動を統括します。ウェールズ社会における宗教的・道徳的な影響力も持っています。

 2021年からウェールズ大主教を務めていたアンドリュー・ジョン氏は、自身が司教を務めるバンガー教区の教会で問題行動を起こしたと批判されたことを受けて、6月27日に退任していました。そのため、次の大主教を選ぶ選挙が行なわれることになりました。
 英『ガーディアン』紙によると7月30日、モンマス教区のチェリー・ヴァン主教が、教区選挙団の全投票数の3分の2以上の賛成を得てウェールズ大主教に選出されました。
 Pink Newsによると、チェリー・ヴァン氏は「第一に私がやらなければいけないことは、この半年で(アンドリュー・ジョン氏によって)起こった問題を適切に対処し、癒しと和解をもたらすこと、そして教会の信用を高めること」だと語りました。
 
 イングランド中部レスターシャー出身のヴァン氏は、1994年に英国国教会で初めての女性司祭の一人として叙階されました。長年英国国教会で司牧活動を行っていたヴァン氏は、2020年にウェールズ聖公会のモンマス主教に任命された直後、30年来の同性パートナー、ウェンディ・ダイアモンドさんの存在を公にし、レズビアンであることをカムアウトしました。
 『ガーディアン』紙によると、英国国教会は同性愛自体は認めているものの、同性愛者の聖職者に対しては独身を守ることを求めているそうです。一方で、ウェールズ聖公会は聖職者の同性愛および同性のパートナー関係のいずれも認めています。
 
  『ガーディアン』のインタビューでヴァン氏は「長年、私たちは関係を秘密にしていた」「朝目覚めたとき、自分の性的指向が新聞の1面で暴露されていないか心配だった」と述懐しました。「イングランド時代には、私が集まりに出席する際、ウェンディは2階に隠れていなければならなかった」「今ではウェンディはどこにでも一緒にいる。ミサを執り行なうときも、ただ普通のことにすぎない」 
 同紙は、ヴァン氏が初の女性でオープンリーレズビアンの大主教となったことについて、女性の社会進出の限界を表す「ガラスの天井」に宗教的な意味を加え、「ステンドグラスの天井を打ち破った」と表現しました。
 ヴァン氏は「私が先駆者とならざるを得なかった時代に生きたからこそ起きたことだ。しかし私は運動家ではない」「神が私を聖職者として召されたという確固たる信仰がなければ、教会内の階級闘争をくぐり抜けて生き残ることはできなかっただろう」と語りました。また「性的指向はある程度までは隠すことができるが、性別までは隠せない」「険悪な場面を多く目にしてきた。男性たちは怒りをあらわにし、裏切られたと感じているようだった」と、女性聖職者としての苦悩を打ち明けました。
 なお、ヴァン氏は同性婚について「教会における同性婚は避けられない。時間の問題にすぎない」と語りました。ただし「強硬に反対する人もいる。私は神学に基づいた彼らの立場も指導者として尊重しなければならない」とし、「多くの聖職者を疎外するような決定を強行する立場にはない」と慎重な姿勢を見せています。

 ともあれ、英国に3人しかいない大主教(カンタベリー大主教、ヨーク大主教、ウェールズ大主教)という英国国教会における最高位の聖職者の1人にオープンリー・レズビアンの女性が選ばれたのは(女性やクィアがそのような地位に就くことを認めない宗派もあるなかで)本当に意義あることです。おめでとうございます。


 
参考記事:
英国初の女性・同性愛者の大主教誕生…「ステンドグラスの天井を打ち破った」(中央日報)
https://japanese.joins.com/JArticle/337138

Cherry Vann makes history by becoming first female – and first LGBTQ – Archbishop of Wales(Pink News)
https://www.thepinknews.com/2025/07/31/cherry-vann-makes-history-by-becoming-first-female-and-first-lgbtq-archbishop-of-wales/

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