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【住民票続柄】東京都品川区が10月から対応

 東京都品川区は10月1日から、同性カップルが希望した場合、住民票の続柄欄の表記を異性間の事実婚と同じ「夫・妻(未届)」に変えられるようにします。区が8月25日の区議会区民委員会で報告しました。


 昨年末、杉並区の岸本聡子区長の呼びかけに応えた都内約10区の区長が連名で政府に社会保障制度の改正や、住民票の続柄欄に新たな表記を設定することなどを要望しましたが、その後進展がないことから、品川区は独自に住民票対応を行なうことにしたそうです。
 
 品川区は1993年に「人権尊重都市品川宣言」を発し、区として人権尊重思想の普及啓発と教育を推進し「人間尊重の社会」を実現することを宣言しています(「部落差別をはじめ障害者、女性、先住民族、外国人への差別」などの解消が謳われていました)。2023年には区民に性の多様性への理解を深めてもらおうという趣旨で、区内13の橋をレインボーカラーにライトアップしています。2024年4月には「すべての人の性的指向およびジェンダーアイデンティティが尊重され、性的指向およびジェンダーアイデンティティに起因する日常生活上の困難等が解消されること」を目指し、「カミングアウトの強制や禁止、アウティングなど性別等に起因する人権侵害を行ってはいけません」と謳う社会の実現を目指す「ジェンダー平等と性の多様性を尊重し合う社会を実現するための条例」を施行しました。そして同年12月には東京都の10区長で政府に対し、「1. 同性パートナーが法律婚や事実婚と比べて不利益を被ることなく同様の権利が得られるよう、各種社会保障制度等の改正について早急に検討を行うこと。 2. パートナーシップ制度の適用を受けた者の住民票における続柄の表記として、当事者間の関係をより適切に反映した新たな表記を設定し、住民基本台帳事務処理要領に掲載するなどの対応を行うこと」を求めました。しかし、半年以上経っても政府に動きがないことから、区独自で運用を始めることにしました。政府の動きを促す狙いもあるそうです。品川区はまた、10月1日から同性パートナーにも災害弔慰金を支給できるようにするそうです。
 
 森沢恭子区長は朝日新聞の取材に対し、「本来は国が全国一律の制度として取り組むべきもの。事態が動かないなか、ジェンダーによって生きづらさを感じる人がいる社会を変えるために、一石を投じたい。導入自治体が少しずつ増えていくといい」と語っています。

 住民票の続柄欄の表記を異性間の事実婚と同じにする対応は、鳥取県倉吉市、長崎県大村市、東京都世田谷区など全国十数の自治体で行なわれています(一覧はこちら
 住民票続柄対応については、総務省が「(同性カップルと事実婚夫婦の区別がつかず)実務上の支障をきたす恐れがある」としていることから、住民票対応をためらう自治体も出てきています。こちらのニュースでお伝えしたように、政府は今年1月、最高裁で判決があった「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」をはじめ「公営住宅法」など24の法令について、「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に同性パートナーが「含まれ得る」との認識を示し、他の130余の法令についても「更なる検討が必要」だとしています。(犯給法に限った判例ではありますが)最高裁で同性カップルも事実婚と同等に扱うことを求める判決が出ているわけですから、総務省(をはじめ国や政府)は同性カップルも事実婚と同等と見なし、住民票続柄についても(それ以外についても)早くそのように施策を進めていただきたいですね。



参考記事:
同性カップルの住民票で「夫・妻(未届)」表記 品川区が10月から(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST8T3478T8TOXIE01HM.html
東京都品川区、同性カップルの事実婚表記10月にも可能に…災害弔慰金を支給する制度も新設(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250826-OYT1T50041/

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