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小田切ヒロさんが自身のジェンダーについてカミングアウト

 多くの芸能人を手がけるメイクアップアーティストであり、TVなどのメディアでも活躍している小田切ヒロさんが6月30日、テレビ朝日の深夜番組「MEGUMIママのいるBar」に出演し、自身のセクシュアリティについて語りました。
 

 小田切ヒロさんは資生堂美容技術専門学校で学んだあと、外資系化粧品会社の美容部員となり、藤原美智子さんのアシスタントを経てフリーランスとして独立し、現在は多くの芸能人のメイクを担当し、『美容中毒』(幻冬舎)など何冊もの著書も発表しているほか、ポップUP! 月曜コーナー「小田切ヒロの逆転!開運メイク」(フジテレビ)などTVでコーナーを持つ活躍も見せています。
 
 LGBTQ関連イベントにも出演してきたアライのMEGUMIさんが「ママ」としてゲストをおもてなししながらお話する番組で、小田切さんは、今年43歳となり「次のステージを考えたら、キャリアや実績も大事にしながら、いかにそれをくずすか」と語り、「自分自身がどう喜ぶかっていうところでは、私はセクシュアリティが複雑で、LGBT…『Q』なんです、私って」「なので、そのあたりの二面性で、アンドロジナスって呼んでいるが、何か1つではなく、女性的でもありたいし、男性でもいたいし、その真ん中でもないし、逆に真ん中であるときもあって、そのどっちでもないとか」と語りました。アンドロジナスについては「ココ・シャネルが60年代にファッション用語として、ファッションスタイルでアンドロジナスって。男性的でも女性的でもないルックを作った」と説明し、「そこからインスパイアを受けて、私、アンドロジナスかもって思ってる」と話していました。

 ちなみに小田切さんは3ヵ月前のYouTubeの投稿でも「小田切ヒロ(子)」という女性的なキャラクターで登場し、プロフィールにも「性別:アンドロジナス」と書いています。ですから今回初めてカムアウトしたわけではなく、以前からそのように自認し、表現もしてこられたということのようです。
 
 番組中での「女性的でもありたいし、男性でもいたいし、その真ん中でもないし、逆に真ん中であるときもあって、そのどっちでもない」こともあるという発言は、まさにノンバイナリーかつジェンダーフルイドの特徴を的確に言い表した、見本のような言葉です。ですから、LGBTQの文脈では、ノンバイナリーかつジェンダーフルイド(ジェンダークィアとも)という言い方がピッタリ当てはまると言えます。
 
 なお、小田切ヒロさんがおっしゃる通り、アンドロジナスというのは、主にファッションの世界で使われてきた言葉で、典型的な男らしさや女らしさに当てはまらず、それらの両方の特徴を併せ持っていたり、そのどちらでもなかったり、その間の特徴を持っていたりするジェンダー表現のことを言います。LGBTQコミュニティでは(あるいはジェンダー・セクシュアリティ研究のような場では)通例、性自認がアンドロジナスであるという言い方はしないようです。
 
 ともあれ、著名人の方でノンバイナリーかつジェンダーフルイドであることをカムアウトする方が現れたというのは、これまでほとんどなかっただけに、たいへん素晴らしいことです。これを機に、世間でも、同じようにジェンダー(やセクシュアリティ)が流動的であるというありようを受け容れ、そのようなアイデンティティを持ち、周囲にカムアウトできるような方が少しずつ増えていくのではないでしょうか。

 
 
参考記事:
小田切ヒロ氏、自身のセクシャリティを語る「LGBT…Qなんです」「アンドロジナスって呼んでいる」(デイリースポーツ)
https://www.daily.co.jp/gossip/2025/07/01/0019172556.shtml


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