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香港議会に同性パートナー法案が提出されました

 香港政府が2日、海外で結婚した同性カップルに一定の法的承認を与える登記制度(同性パートナー法)を設立する案を議会に提出したと明らかにしました。
 これは香港終審法院(最高裁)が2023年9月、同性カップルの権利を保障する法的枠組がないのは違憲であり、政府は2年以内に同性パートナー法を整備をしなくてはいけないとの判決を下したことを受けた措置です。

 香港終審法院は2019年、海外で英国人と同性結婚した香港政府職員が異性婚と同等に税制上の優遇措置などが認められるべきだと訴えていたことに対し、「合理的な理由なく異性婚と差別的な待遇をする根拠はない」と結論づけ、異性婚と同等の権利を保障すべきだとする判決を出しています(詳細はこちら
 10年以上前に米国で同性パートナーと結婚していた沙田区議でLGBTQ活動家の岑子杰(Jimmy Sham Tsz-kit)氏は2018年、同性婚が認められないのは香港基本法(憲法に相当)などに違反するとの訴えを起こしました。下級審は2020年9月と2022年8月にその訴えを却下しましたが、その後、最高裁への上告が認められました。そして2023年、香港終審法院で(同性婚自体は認めなかったものの)同性カップルにも法的承認を与える「代替的な枠組み」が必要だとの画期的な判決が下されたのでした。

 ロイターによると、香港政府が議会に提出した法案では、海外で結婚もしくはシビル婚(validとあるので、証明書の提出が必要だと思われます)した18歳以上の同性カップルで少なくとも1人が香港在住であること、という要件が規定されていて、要件を満たしたカップルは、パートナーとの面会、医師から病状を聞くこと、臓器提供など医療に関する権利や、死亡診断書の取得、遺体の引き取り、葬式を出す権利など死後に関する権利が得られるそうです。
 政制及内地事務局(憲政本土事務省)は、提出された法案は、社会の分断を避けるために香港の現行の社会システムや伝統的な価値を考慮に入れて作成されたものであるとしています。「現実社会や公共の期待に即した新しいフレームワークの下で 登記者の権利が守られ、不正が起こらないようにする適切な登記の設立が不可欠です」
 一方、初めて訴訟を起こしたJimmy Shamは、提出された法案は最低限の権利しか認めていない、特に海外で結婚したカップルだけに限定されているところが、と批判しています。「これは登記における平等という状況には程遠い。最高裁が要求したことに完全に従っているかどうか疑わしいものです」
 
 2023年の香港終審法院の判決に際してもSNS上で、「一国二制度」で香港が中国本土と異なる法体系になっているとはいえ、中国政府に実質的に支配されている状況で、議会が同性パートナー法を承認するかというと、難しいのではないか…との声が上がっていました。部分的にでも同性カップルに法的権利を与える法案が果たして議会で採択されるのかどうか、注視しましょう。

 ともあれ、この法案が無事に議会を通過し、(甚だ限定的ではあるものの)同性パートナー法が実現すれば、海外で同性婚する人も少なくない香港で、たくさんのカップルがその制定を喜び、祝福ムードとなることでしょう。その日が来ることを期待しましょう。
 

 
参考記事:
香港、同性カップル法的承認提案 海外での婚姻対象(共同通信)
https://news.jp/i/1313145058418098845?c=302675738515047521?c=302675738515047521

Hong Kong proposes legal recognition for same-sex couples registered overseas(Reuters)
https://www.reuters.com/world/china/hong-kong-proposes-registration-system-same-sex-couples-2025-07-02/


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