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【同性パートナーシップ証明制度】制度導入自治体は530、人口カバー率は92.5%

 渋谷区と認定NPO法人虹色ダイバーシティは2017年以来、全国の地方自治体の同性パートナーシップ証明制度の導入自治体数や制度利用(登録)件数の最新数値を調査してきましたが、このたび、最新の制度導入自治体・登録件数・人口カバーや推移グラフなどをNIJI BRIDGE渋谷区のホームページにて公開しました。
 2025年5月31日時点で、全国の制度導入自治体数は530、人口カバー率は92.5%に上り、登録件数は9,836件となりました。調査を開始した2017年と比べ、導入自治体数は約88倍、登録件数は約102倍に拡大しています。特に直近の3年間の増加は著しく、導入自治体数は224(2022年)→530(2025年)と236%増加、登録件数は3,164件(2022年)→9,836件(2025年)と310%も増加しています。都道府県別では、昨年の調査で4つあった「制度のない県庁所在地・政令市」がついにゼロになりました。

 調査を実施している両団体のコメントをご紹介します。

◎渋谷区長 長谷部健
「本調査は、パートナーシップ制度を初めて導入した渋谷区が国内への普及度合いを可視化することを目的に、虹色ダイバーシティと毎年実施してきました。この10年間で全国各地の自治体で導入が拡大し、LGBTQなど性的マイノリティーの方々の権利保障の一助として貢献できたことを嬉しく思います。この度、人口カバー率が90%を越えて、全国に一定数の普及・理解浸透したことを背景に、渋谷区としては最後の調査実施とする結論に至りました。2022年に実施したパートナーシップ証明実態調査では、法律婚とは違う関係性としてのニーズも聞かれ、昨年、条例改正をし、パートナーシップ証明の取得対象を異性間にも広げたところです。渋谷区は、引き続きダイバーシティとインクルージョンを大切に、自分らしく生きることができるまちづくりを推進してまいります」

◎認定NPO法人虹色ダイバーシティ理事長 村木真紀
「パートナーシップ制度の普及により、LGBTQのカップルが公営住宅にも住めるようになるなど、制度が果たした意義は大きいと考えます。また、現在進行している同性婚訴訟においても判決でパートナーシップ制度の導入数を例に挙げて「社会的影響の拡大として認識されている」と記されるなど、LGBTQの権利拡大に貢献してきました。地方自治体としてLGBTQのためにできることは、パートナーシップ制度にとどまらず企業や学校への研修など沢山あります。今、国はLGBTQのカップルの存在を統計データとして把握していません。LGBTQに関する有効な施策を考えるためにも、今後は国でも実態把握が必要であると呼びかけ、バトンを繋げていきたいと思います」

 今年で渋谷区・世田谷区が同性パートナーシップ証明制度を導入してからまる10年の節目を迎えます。今や9割超の自治体で同性パートナーシップ証明が受けられるようになり、1万組近くが制度を利用しているというのは、本当に感慨深いものがあります。全国の530もの自治体が、それぞれに同性カップルも婚姻相当だと承認し、制度の導入を決め、どのような制度にしたら住民にとってよいものになるかということを検討したうえで導入してくださっているわけで、そのことにも心から感謝申し上げます。

「人口カバー率が9割を超え、1万組近くが制度を利用」と簡単に言いましたが、人口カバー率を算出するためには、導入自治体数を把握し、その人口の合計を割り出し、という作業が必要です。そもそも全国の導入自治体数や利用者数を正確に把握するのは大変な仕事で(g-lad xxでもある時点までは制度導入自治体を調査していましたが、あまりにも自治体数が増えすぎて、個人の努力では調査が困難な状況になりました。「みんなのパートナーシップ制度」の方なども同様だと思います)、こうして渋谷区と虹色ダイバーシティがきちんと調査を継続してくださっているおかげで、信頼できる情報を知ることができます。両団体の仕事がなければ、正確な件数を誰も把握できず、統計データがない状態になっていたことでしょう。感謝申し上げます(村木さんもおっしゃっているように、本当は国がやってくれるといいですよね…)
 
 

参考記事:
10年間で人口カバー率9割を突破、全国に広がるパートナーシップ制度を渋谷区とNPOが共同調査 最新の導入自治体・登録件数を発表(AFPBB News)
https://www.afpbb.com/articles/-/3585852

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