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タイの1〜5月の同性婚登録数は婚姻全体の11%超
1月23日、タイで婚姻平等法が施行され、初日だけで2792組が婚姻登録を行なったというニュースをお伝えしていましたが、5月末までに婚姻届を提出した法律上同性のカップル※は1万7032組に上ったそうです。この数は1~5月の婚姻数全体のうち11.8%を占めており、識者は「制度当初だとしても驚異的」「同性婚の社会的需要が高かったことが示された」と見ています。
タイ内務省地方行政局によると、同性カップルの婚姻は1月の1週間だけで4588組、2月は6621組、3月が2423組、4月が1654組、5月が1746組で、合計1万7032組に上ったそうです。これは1月〜5月の全婚姻数14万3951組のうち11.8%を占めます。今後は同性カップルの婚姻の届出も落ち着き、割合は徐々に減るとみられています。
西日本新聞の記事によると、10年以上交際したタイ人のワリンさんと1月に結婚したタイ在住の会社員・瓜生安希さんは「ワリンは戸籍の名字を瓜生にし、身分証明書になるパスポートの名前も変えた」と語りました。互いに緊急手術の同意などが容易になったといいます。ワリンさんが扶養家族になれば瓜生さんは所得税の控除も受けられます。「タイでは1日に何回も連絡を取り合うカップルがおり、法的に認められて気持ち的にも楽になるカップルは多いと思う」と話しています。
同性婚に関する世界事情に詳しい(『台湾同性婚法の誕生: アジアLGBTQ+燈台への歴程』の著者である)明治大法学部の鈴木賢教授(比較法)は、「同性婚の割合は最も高いスペインでも3.4%(2021年)で台湾では3%弱。タイの割合は制度当初だとしても驚異的」「同性婚の社会的需要が高かったことの証左と言える。タイ社会では同性カップルへの差別や偏見が少なく、世間に遠慮せずに生活できる人が多いということだろう」とコメントしています。
※実はタイは、性別適合手術の先進国である(日本からも大勢タイに行って手術を受けている)にもかかわらず、トランスジェンダーの法的性別変更が認められていません。そのため、本当は異性どうしであるのに法律上は同性と見做されているカップルもたくさんいて、同性カップルの婚姻数にもそうしたカップルの数が反映されています(しかし、そもそもトランスジェンダー人口はLGBに比べて少ないので、LGBの同性カップルを凌駕するほどではないと思われます)。なお、日本でも性同一性障害特例法の要件があまりにも厳しいために戸籍上の性別を変更できなかったりためらったりしている方がたくさんいるので、似たような状況があります。「結婚の自由をすべての人に」東京二次訴訟にはトランスジェンダーの原告の方も参加しています。
参考記事:
タイの同性婚、婚姻全体の11%超「制度導入当初だとしても驚異的」 最高水準のスペインで3.4%、台湾は3%弱(西日本新聞)
https://www.nishinippon.co.jp/item/1362753/