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米連邦地裁がトランプ政権のパスポート政策は違憲だと裁定

 トランプ大統領が1月の就任初日、米政府は性別を「生物学的な男女」のみ認めるとの大統領令に署名したため、国務省はパスポート上の性別変更を凍結し、性別欄にX(サードジェンダー)と記載することも停止しました。
 1月末に性別欄にM(男性)と書かれたパスポートを受け取ったトランス女性のインフルエンサー、ザヤ・ペリシアンは、TikTokでそのことへの怒りを吐露した後、6人のトランスジェンダーやノンバイナリーの人たちと一緒に、この政策が違憲であるとして訴訟を起こしました。米連邦地裁は4月18日、原告らに「X」と記すことを含め、従来通りの表記も認められるべきだとする判断を示しました。
 
 ACLU(アメリカ自由人権協会)の弁護士を伴ってロイターのインタビューに応じたペリシアンは「これは本当に不公正で、ある意味での狂気です。だからこそ私たちは闘っています」と語りました。
 ペリシアンは2020年から女性として生活し、運転免許証をはじめ政府発行の書類では女性とされています。1月23日にパスポートの申請をしていた彼女は、その月末、性別が「修正されました」というメモとともに、性別欄にM(男性)と書かれたパスポートを受け取りました。「私は女性で、それにどれだけの人たちが賛同するかどうかなんて気にしていません。私は毎日女性で、周囲の人たちも私を女性と見なし、敬意を持って接してくれています」

 ACLUのSruti Swaminathan弁護士は、「この大統領令は、トランスジェンダー、ノンバイナリー、インターセックスのアメリカ人が正確な連邦のIDを持たせることを不可能にした。パスポートも含めて」と述べました。
 
 ボストン連邦地裁のジュリア・コビック判事は、トランプ大統領が署名した大統領令とパスポート政策は憲法の平等保護原則を脅かすとして違憲だとの判断を示しました。「大統領令とパスポート政策はトランスジェンダーへの不合理な偏見に基づいており、それゆえ、全ての国民を平等に保護するという我々の憲法を攻撃するものである」
 コビック判事はまた、6人のパスポートを自身の性自認に基づいた表記にするよう、国務省に命令しました。

 
 
 アメリカが法治国家である以上、たとえ大統領であっても法に反する命令はできません。相手は強大ですが、志ある弁護士の方たちがLGBTQコミュニティを支援し、司法が砦となり、こうしてトランスジェンダーを守ってくれることが、救いになります。今後、高裁や最高裁に進むかもしれませんが、正しい判断を示してくれることを祈ります。



 
参考記事:
パスポート表記は「男女」以外も可 トランプ政権、地裁で一部敗訴(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST4M1HVHT4MUHBI00WM.html

Transgender influencer takes on Trump in legal battle over passports(Reuters)
https://www.reuters.com/sustainability/transgender-influencer-takes-trump-legal-battle-over-passports-2025-04-10/

Trump passport policy targeting transgender people likely unconstitutional, judge rules(Reuters)
https://www.reuters.com/world/us/trump-passport-policy-discriminates-against-transgender-people-judge-rules-2025-04-18/

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