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G7を前に同性婚などLGBTQの法整備を!と求める世論が形成、一方、政府は…

 『エゴイスト』の宮沢氷魚さんが「たくさんの人が声を上げたことは、日本の未来にとっての希望」と語ったように、SNSでもLGBTQだけでなく多くのアライの方々が声を上げ、TVや新聞などのメディアも味方し、多くの著名人も支援的な言葉を述べ、あっという間に岸田政権はG7を前にLGBT差別禁止法を制定すべきだ、同性婚を認めるべきだという世論が形成されているのはスゴイことです。社会は確実に変わったのです。感慨を禁じえません。
 荒井元秘書官の差別発言や政権の姿勢をめぐって、今日1日で実にたくさんの報道がなされました。メディアの動きと、国会や政権の動きについて、整理してお伝えします。
 
 
 メディアの動きを以下にお伝えします。

 荒井元秘書官の差別発言について、米AP通信は「日本にはLGBTQ、女性、外国人への偏見が根強く残っている」と、英BBCは「日本は伝統的な男女の役割と家族の価値観に縛られている」と、ほかにもロイター通信、フランスのAFP通信、Wall Street Journalなど海外メディアが一斉に批判的に報じています。ロシア国営のタス通信でさえも「G7で同性婚を認めていないのは日本だけ。岸田首相率いる自民党の多くがその承認に反対している、先進国の中で同性婚を認めていない」と報じています。日本の異質性と合わせて、理解の遅れが国際的に際立つ状況となっています。こうした通信社のニュースは、中東の衛星放送アルジャジーラ英語版やオーストラリアのABC放送、ドイツの国際放送ドイチェ・ウェレなど各国・地域の主要メディアのサイトにも広く掲載されています。
 6日のNEWS ZEROで、海外の多くのメディアでニュースになっている件が取り上げられ、小野高弘・日本テレビ解説委員が「それだけ、政権中枢の人物の重い発言だとみなされています」として、前秘書官の立場、政権の考え、今後の展開という3つのポイントから解説し、有働キャスターが「荒井前秘書官の発言は、誤解ではなく差別だと思いますし、首相の発言にあった家族観や価値観、そして社会というのはもう既に変わっているから、声が上がっているわけです。その認識のズレを本当に理解してほしいと思います」「そしてこの問題は、どういう社会を目指すのかに直結しています。この国会で岸田首相には、国民に伝わる言葉でしっかり説明してほしいと思います」と述べました。
 
 6日朝の「スッキリ」(日本テレビ系)で、MCの加藤浩次さんが同性婚をめぐる岸田首相の「社会が変わってしまう」発言について、「社会変わっていいでしょ。変えるべきことは変えていかないと。そういうことですよね」と語りました。
 また、同じく「スッキリ」に出演していた杉山愛さんは、荒井元秘書官の差別発言について、「この発言、残念でしたしショックでした」と語りました。そして同性愛者も身近にいたテニス界で生きてきたということや、G7の日本以外の6ヵ国では同性婚や差別からの法的保護が認められていることにも触れ、「日本のような、偏見というか、諸外国に遅れを取っていて恥ずかしいなと思いますよ」「多様性っていうふうに言って、五輪、パラリンピックの時もそれが問われる中で、なんとか追いつこうとしていろいろ動いてましたけれども、根底の部分でこういう発言をされる方が、こんな重要な立場にいらっしゃるっていうのが恥ずかしいし、遅れてるなって本当に思いますね」と語りました。
 「The HEADLINE」編集長の石田健さんは、「僕は内心でどんなことを持っていようが自由だと思うんです。つまり直感的に誰かが苦手だな、嫌だなという気持ちが誰にでもあるはず、むしろこれを否定してはいけない。しかし、それはどういう形で社会と折り合いをつけていくかっていうところがいちばん多様性の肝だなと思っていて、もしあなたが私のことを嫌いであっても、それでも仲良くできる社会をつくっていこうねというのが政治、あるいは法律において大事なポイントだと思うので、だからこそ、そういう内心を持っておいたとしても多くの人がより権利を手に入れることができる社会をつくったら、どうしたらいいのかというのを、まさに首相や秘書官に考えていただきたい」と語りました。「気持ちの問題と権利の問題を切り分けて考えた方がいいと思っていて、自分は異性愛者ですけど、われわれみたいな人にとっては同性愛者の方たちの権利が広がることによって何もデメリットはないわけですね。だからこそ、この人たちの権利が侵害されている状況がおかしいよねっていう意味で、自分は今の考えを持っているので、だからこそ全員の権利が担保される社会がいいんだなとあらためて思います」
 ロバートキャンベルさんは、荒井元秘書官の差別発言について、「当事者の中には、自分はきちんと生活している、ゴミ出しもしているし子供を健康に育てようとしているのに、なんでこんなことを言われなきゃならないのか。なんで自分は善良な市民だということをいつも言わなきゃいけないのかと、疲れている。こういう言い方はとても怖いという声がかなりあった」と周囲の声を紹介しながら、「私は東京都内の一軒家で同性カップルで同居しているわけですけど、20年の国政調査で実態を回答しました。そうしますとどうなるかって言うと、ほかの親族というカテゴリーに振り分けされてしまったわけですね。(ほかの親族というのは)おじとか姪とかっていうことです。それについて、当時の総務大臣は『我が国にはそういう法的な根拠がないから集計できない』という回答だったわけですね。私が言いたいことは、総理が先日、同性婚(合法化)に消極的であるという大きな根拠が『社会が変わってしまうかも知れない。雰囲気を見ないといけない』ということをおっしゃったわけですけれども、政策は雰囲気でつくれないものです。エビデンス、データがないといけないわけで、まずは国政調査の中でさまざまな性的少数者が実際にどういうふうに暮らしているのか、どれくらいいるのかということを(調査すべきだと)、それをずっと私を含めたいろいろな人は言っている。(LGBTなど性的少数者が)存在しないことに政府は実際にしているわけです。これはG7の国の中では唯一、日本が実態調査を行なっていない。このことが荒井氏の発言の一つの背景、それがまかり通る一つの大きな背景だと思います」と語りました。

 6日午後の「Live News イット!」(フジテレビ系)にコメンテーターとして出演した元NHK記者でジャーナリストの柳澤秀夫氏は、荒井元首相秘書官の差別発言について「事の発端は、岸田総理の国会での『(同性婚を認めると)社会が変わってしまう』という発言。そこから考えると、今回の発言というのは、岸田政権の本音が垣間見えてしまったという見え方をしてもしょうがないと思うんですよ」と述べました。そして海外でも今回の件が報道され、LGBTQ後進国だと見なされていることが5月のG7広島サミットへ与える悪影響を指摘し、「こうなると、G7の中で同性婚を法律的に認めていない日本ですけど、法律を早く作って、日本変わったということを示さない限り、収まりが付かない事態だと思いますね」と語っていました。
  
 新聞各紙で差別発言を批判する社説が上がっています。

 日経新聞は「あまりに人権感覚に欠けると言わざるをえない」「政権の信頼を揺るがしかねない問題だと認識すべきだ。5月に地元の広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)を控え、国際的な目も厳しくなりかねない」と追及しています。そして、早くから批判があったにもかかわらず、杉田総務政務官をかばい、対応が後手に回ったと指摘し、「2件も続くと更迭で済む問題だとは思えなくなる」と述べています。また、「国民の間では、家族のあり方も価値観もすでに多様化している。この実態を、いったいどこまで認識しているのだろうか」と問い、「古い固定的な家族観は同性カップルのみならず、多くの人の生きづらさの要因になっている。大事なのは、現実を直視し、今後どんな取り組みが必要か、政府や国会などで幅広く議論することだ。その先頭に立ってこそ、真に「多様性尊重」を掲げることができよう。問われているのは政権の人権感覚だ。今のままでは言葉だけがうつろに響く」と結んでいます。LGBTQコミュニティの思いを代弁してくれているかのような、胸のすくような論説でした。

 琉球新報も「一個人の暴言では済まない。岸田文雄首相をはじめ、政権内の人権意識が欠如しているとしか思えないからだ」「繰り返される更迭劇は本質的な解決を先送りするだけだ」「解決できないのであれば、人権感覚なき政権は、政治の舞台から退場するしかない」と、厳しく追及しています。そして「(LGBTは)生物学上、種の保存に背く」と発言した簗和生文部科学副大臣は、就任当初から政権の姿勢が問われたが、現在も現職のままだ」と指摘し、「人権への無理解、少数者差別が悲劇を招くことは歴史が証明する。障がい者や同性愛者を迫害したナチスドイツ、「朝鮮人暴動デマ」による関東大震災時の虐殺などだ。歴史の反省を踏まえ、差別のない社会をつくるのが政治の役割である。差別を助長する言動は、民主社会の敵としか言いようがない」「首相は足元を見直し、先進国首脳にふさわしい人権感覚を持ち合わせているのか、行動で示してもらいたい」と述べています。非常に力強い、人権への思いの本気さが感じられる社説でした。
 
 このように、世論は、現政権の人権感覚を追及し、早急に(G7を前に)LGBTQの権利保障の法整備を進めるべきだという流れになってきています。すでにそういう世論が形成されていると見てもよいでしょう。
 
 それから今日、国連広報センターが「#LoveIsLove」「#RainbowFamily」のハッシュタグとともに「家族は多様な形態、規模から成り立っています。みんなで彼らを祝福し、そして守っていきましょう」とTwitterに投稿し、LGBTQへのエールを送りました。
 国連事務次長・軍縮担当上級代表の中満泉氏も、「私たちは一人ひとり皆異なる個性を持っています。家族のあり方も色々。皆、等しく持つ人権を尊重されるべき。私は多くのLGBT・レインボー家族の友人や同僚を持っています。それぞれ素晴らしい人たち、私にとって尊敬すべき大切な人たちです」とツイートし、支援を表明しました。
(国連といえば、ジュネーブの国連人権理事会で1月31日、日本の人権に関する国別普遍的・定期的審査作業部会のセッションが行なわれ、欧州国家をはじめ多くの加盟国から、日本でのLGBTQ差別禁止法の制定が求められました)
 
 
 こうした声は、政府に届いているのでしょうか。以下、本日の国会や政権の動きをお伝えします。
 
 野党から「首相の姿勢の裏に秘書官の存在があったのではないか」といった批判の声が上がっていたことに関連し、磯崎仁彦官房副長官は6日の記者会見で、同性婚の法制化に慎重姿勢を示した岸田首相の国会答弁について「法務省作成の答弁だ」と述べ、荒井元首相秘書官の関与を否定しました。しかし、同日午後の衆院予算委員会で、山岸一生衆院議員(立民)の質問に対し、法務省は、事前に用意した原案には含まれていなかったと明らかにし、松野博一官房長官が「ベースは法務省作成」としつつ、「答弁書に文言として記されていたというより、質疑応答を繰り返す中で答弁として発出した」と述べ、首相のアドリブだったとの認識を示しました。山岸議員はまた、「秘書官室もみんな(同性婚などに)反対する」との発言について、事前に全秘書官の認識を聞き取るよう求めていましたが、松野氏は「発言はまったく根拠のないもの」だと述べ、「週末に嶋田政務秘書官が全秘書官に対し、政府の基本方針に従って職務に取り組む考えを確認した」と説明するにとどめ、秘書官たちのこれまでの認識については正面から答えませんでした。
 
 小泉進次郎国対副委員長が自身のSNSで、以前、同性婚に賛成の立場だと答弁したことにも触れながら「例えば国民の多数も、野党ほぼ全ても賛成していて、自民党の一部が反対している選択的夫婦別姓導入くらい踏み込む、このくらいの政策転換は必要でしょう」と述べているように、与党内でも今回の件について(苦言を呈する声や)様々な意見が上がっています。
 今日の政府与党連絡会議で岸田総理は荒井秘書官による差別発言について「国民に誤解を生じさせたことは遺憾であり、また、不快な思いをさせてしまった方々におわびを申し上げます」と、当事者らに謝罪しました。会議では、自民党の茂木幹事長が「包摂的な社会を作っていくことが非常に重要であり、政府の中でもしっかりと確認をしてほしい」と注文し、また、公明党の山口代表も、会議後、LGBT理解増進法の整備に関して「合意形成を図ることが与党に求められている」と述べ、自民党に行動を促していく考えを示しました。
 その数時間後、茂木幹事長は「LGBT理解増進法案」の国会提出に向けた準備を進めていきたいとの考えを明らかにしました。政府関係者によると、岸田総理自らが自民党幹部に電話をし、法案提出に向け「議論を進めてほしい」と要請したということです。
 
 このLGBT理解増進法案についてSNS上では、「何十年も性的少数者の権利について議論されてきて、今さら理解増進法?」「この期に及んで理解増進法は、避難かわしにしか見えない」「結局理解増進法案止まりで差別撤廃の気がなさげなのがいかにも自民党」「同性婚法制化や差別禁止法からの逃げ口上。国民のガス抜き」「今国会で出すなら、理解増進法では全然足りない、差別禁止法に。てゆうかG7もあるのだし一気に同性婚導入まで行かんかい!」「人を舐めているにも程がある」「一昨年、理解増進法の立法手続きを進めたが、自民党内の会議で「種の保存に背く」と差別発言をした簗和生衆議院議員が、いま岸田内閣の文部科学副大臣。これが岸田内閣の実情」といった声が上がっています。
 LGBT理解増進法はそもそも、野党が2016年にLGBT差別解消法案を国会に提出したのに対し、自民党が出してきた法案です(それぞれの案に対するLGBT法連合会のコメントがこちらに掲載されています)。五輪に向けて超党派のLGBT議連での与野党の協議が進むなか、2021年5月、松岡宗嗣さんら有志の方々が、これはLGBTQ差別を野放しにし、同性パートナーシップをはじめLGBTQの諸権利を求める動きを抑えつけ、今の状況を後退させる可能性がある「骨抜き」の内容だとの緊急声明を発表しました。しかしその後、「差別は許されない」と明記されることで少しでも成立の意義があるならばと妥協に転じ、国会の超党派のLGBT議連で法律の目的や基本理念に「差別は許されない」と記すことなどで与野党が合意し、全会一致での国会成立をめざすことになりました。しかし、自民党内の会合で「種の保存に背く」などの差別発言が出て紛糾し、党三役が国会提出を見送りました。これに対し、国会前や渋谷駅前などで抗議イベントが開催されました。結局、法案は提出されることなく、差別発言だけが残されました…。(こちらに経緯がまとめてあります)
 松岡宗嗣さんは「「理解の増進」とお茶を濁すのではなく、「差別の禁止」そして「婚姻の平等」「法的性別変更における非人道的な要件の撤廃」を実現すべきです」と述べています。

 
 
【追記】
 荒井首相秘書官による差別発言に抗議し、理解増進法などではなく差別をやめることを求めるデモが8日(水)18:30から新潟市で開催されます。詳細はこちらをご覧ください。


参考記事:
宮沢氷魚、同性婚巡る差別発言に対しての意見も…流暢な英語で世界に発信(マイナビニュース)
https://news.mynavi.jp/article/20230206-2585031/
宮沢氷魚が岸田首相と元秘書官の性的少数者や同性婚巡る発言に思い「世論が声を上げたのは希望」(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202302060001358.html

「G7で唯一同性婚を認めない国」首相秘書官更迭、海外でも報道(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230205/k00/00m/040/176000c
秘書官「LGBT」差別発言で――法案審議が動く? 締め付けのロシアメディアも批判…「G7で同性婚認めないのは日本だけ」(日テレNEWS)
https://news.livedoor.com/article/detail/23665896/

加藤浩次 岸田首相の同性婚巡る“社会が変わってしまう”発言に「変えるべきことは変えていかないと」(スポニチアネックス)
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/02/06/kiji/
杉山愛さん 首相秘書官の差別発言に「諸外国に遅れ…恥ずかしい。こういう発言をされる方が重要な立場に」(スポニチアネックス)
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/02/06/kiji/20230206s00041000200000c.html
ロバート・キャンベル氏 首相秘書官の差別発言「性的少数者の実態調査をしてないことが発言の1つの背景」(スポニチアネックス)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d9fa4886950838bcf118702f4176b17b3c8e29a5
首相前秘書官の差別発言 柳澤秀夫氏、サミットへの影響を懸念「法律を早くつくらないと収まり付かない」(スポニチアネックス)
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2023/02/06/kiji/20230206s00042000456000c.html

(社説)政権の信頼揺るがす差別発言(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68239120W3A200C2EA1000/
<社説>首相補佐官差別発言 人権感覚なき政権、退場を(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1658299.html

同性婚巡る岸田首相答弁「法務省作成」 前秘書官関与せず 磯崎官房副長官(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023020600497
同性婚答弁「首相のアドリブ」=松野官房長官、政府説明を修正(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023020600995

与党幹部からも苦言相次ぐ…荒井前秘書官の差別発言 茂木幹事長「政府の中でもしっかりと確認を」(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/314029
自民・茂木幹事長、LGBT法案について「提出に向けた準備進めていきたい」(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/314947
小泉進次郎氏、首相秘書官差別発言を批判「多様な価値観否定では異次元の政策に絶対にならない」(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202302050000420.html

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