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あらゆるジェンダーの新成人を祝う「SEIJIN-SHIKI」が開催されました

 女性体型用のメンズスーツを手がけるKeuzes(クーゼス)の代表・田中史緒里さんが1月7日、渋谷区代官山で新成人のためのイベント『SEIJIN-SHIKI』を開催しました。「自分らしい服装で大切な節目の日を楽しんでほしい」との思いで開催され、2021年〜23年に新成人を迎えた約120人が集まりました。参加者のほとんどが性的マイノリティの方だったそうです。
 
 
 田中さんは高校2年生の頃に「成人式で振袖は着たくない…」と考えていました。レディーススーツはシルエットが強調されるイメージがあり、女性が着れるメンズスーツについてネットで調べてみて、紳士服販売チェーンの「洋服の青山」や「AOKI」に行けば買えることを知りましたが、当時、茨城の田舎に住んでいた田中さんは、「もし知り合いに会ったら…」「メンズスーツが欲しいと言ったら、店員にどう思われるのだろうか…」とためらってしまい、成人式に出席すること自体をあきらめたといいます。当時は「着たい服さえ手に入れば成人式には行けたのに」と思っていましたが、会社を立ち上げ、お客さんと会話を重ねるうちに気づきがあったそうです。
「成人式に着ていきたいからとスーツを作りに来てくれるお客さんが多いんです。話していると、服装はスーツを作ったら解決して、自分らしい服装で成人式は出られる、だけど当日周りにどう思われるかわからないから不安だし、自分らしくいられるかというのとは別の問題がありました。スーツを買ったけど勇気が出ず、成人式に出られなかったという方も何人か見てきました。自分は着たい服装があれば出られたなって当時は思っていたけれど、当日その場に立った時に違う不安みたいなのがきっと出てきてたんだろうなって気づいた部分があって。服装だけではなく、人や雰囲気も含めて成人式って大事なんだろうなと思ったので、そういう場所をつくれたらいいなと思いました」
 イベント開催にあたり特に大事にしたのが「雰囲気作り」でした。参加者どうしの歓談の時間が多く設けられ、ポートレート撮影のコーナーや、1年後の自分やパートナーなどへ手紙を書くコーナーなども設置されました。
「結局、当日自分らしく成人を迎えられるのかどうかに行き着くので、イベント会場の雰囲気はすごく気遣いました。全国から、今日という日がなければ出会うはずのない、いろんな同世代の人が集まってきているから、今日だけではなくずっとつながるご縁にしたいなということをすごく考えて、交流の時間をたくさん設けました。根本では成人式への不安がある人が参加してくださっていたので、いかに忘れられない日にするかということを本当にみんなで考えました」
 その甲斐もあって、当日会場では、その場で交流を深め、一緒にイベントを楽しむ方が多く見られたそうです。

 日テレのレポートでは、参加した方たちへのインタビューも紹介されていました。
 1年後の自分に宛てて手紙を書いていたXジェンダーの香瑠さんは、振り袖を着たくないという理由で地元の成人式は欠席しましたが、このイベントには絶対に参加したいと、北海道から駆けつけたそうです。イベントについて「ふだん出会えないようないろんな人たちもいて、来てよかったです。ありのままの自分でいられる空間だし、白い目で見てくる人が誰もいない。(地元の)成人式に参加しなかったのは自分だけど、節目は大事にしたかったから参加できてうれしいです」と語りました。
 ポートレート撮影を楽しんでいた3人組、あやのさん、まいさんとタカハシさんは、会場で知り合い、仲良くなったといいます。アセクシュアルのタカハシさんは「地元にはセクシュアリティについてオープンにしている友達があまりいないので、楽しめたらいいなと思って来ました。自分らしくいられて気が楽ですし、みなさんキラキラしていて、こういうイベントを開催してくれてありがたいです」と笑顔で語りました。スーツで参加したまいさんは、「女性らしくしなければいけないと思って育ってきたので、自分みたいな人がこんなにいるんだって実感できてうれしいです」と語りました。
 一際目を引くピンク色の華やかな振り袖で参加したのは、性別の自認がないというしょーちゃんさんという方。この翌日、地元・群馬の成人式に参加するといい、「明日は普通にメンズスーツを着ます。本当は行きたくないと思っていたんですが、親の要望があったので最後の我慢かなと思って出席します」と語りました。
 こうした「親からの期待」に苦しむ人は多いと、主催者の田中さんは語ります。「(成人式に)女性は絶対振り袖を着るものと思っている人が親世代にも多い。おじいちゃん、おばあちゃんもそれを期待しているからというので、スーツが着たくても言えないという相談も多いです」
 
 田中さんは、「成人式という日本の文化は大事にしていきたいし、みんなが一生思い出に残るようなイベントであるべきと思います。今までの成人式とちょっと違う部分を『これがいまどきなのかな?』って上の世代の方々に知ってもらえるだけでも全然違うかなと。ちょっとずつ考え方から変わっていってくれたらうれしいなと思います」と語りました。
「ブランドを始めたからといって、世の中の考え方を変えられるのかと言ったらまだまだ変えられない。みんながちょっとずつ自分らしい格好で外を歩いたりとか、それを知らない人が見て、こういう人がいるんだって知る機会が増える。ちょっとずつちょっとずつ日常の生活を自分らしくすることで、周りの知らない人の知るきっかけになる。みんなで世の中を生きやすい方向に変えていけたらいいねって伝えたいです」
 

 「ありのままの自分」で参加することの困難から地元の成人式に参加できなかったような性的マイノリティの方たちのためのイベントとしては、ReBitが2011年から開催してきた「LGBT成人式」がよく知られています。初めは世田谷区など東京を中心に開催されていましたが、少しずつ全国に広がりを見せ、2019年までに17都道府県で開催されるようになりました(昨年も静岡県富士市、愛知県名古屋市、埼玉県川越市などで開催されています)
 本当は、全国どこの成人式でも「ありのままの自分」で参加することができるようになるといいのでしょうが、それまではこうして性的マイノリティの方たちが安心して参加できるようなイベントが開催されることに大きな意義があるでしょうし、毎年継続して開催されていくといいですね。

 
 あらためまして、新成人となられたLGBTQのみなさん、おめでとうございます。これから社会人として大きく飛躍されることをお祈りします。就職活動など様々な場面でマイノリティゆえの困難に直面したり、LGBTQの社会的課題を実感することもあるかと思いますが、私たち(LGBTQの先輩や企業でLGBTQ支援に携わるアライのみなさん)がついています。ともに手を携え、LGBTQの未来を切り開いていきましょう。
 
 

参考記事:
あらゆるジェンダーの新成人を祝う「SEIJIN-SHIKI」開催 新規顧客へ訴求(ITmedia)
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2212/27/news108.html

“振り袖は着たくない” 固定観念にとらわれない新成人イベントを取材(日テレNEWS)
https://news.ntv.co.jp/category/culture/f66f1f9e153f4e69af4ed22666aa9f32
服装から「みんなが生きやすい世の中に」 “自分らしい”成人式に込めた思い(日テレNEWS)
https://news.ntv.co.jp/category/culture/38d1d56ae466465d8645bf57a51c67cf

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