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USJがクルーの身だしなみに関するルールを男女で統一し、同性カップルにも慶弔見舞金を授与するなどの制度見直しを行ないました

 大阪市のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の運営会社である合同会社ユー・エス・ジェイは、開園20周年を迎えた今年、園内(パーク)で働く従業員(クルー)の身だしなみに関する規定の見直しを行ない、「男性」「女性」という文言を削除して男女で異なっていた髪の色や化粧のルールを統一しました。接客を担う従業員の身だしなみについても、多様性を尊重するよう社内ルールを緩和する動きが広がり始めています。
 

「合同会社ユー・エス・ジェイは、ゲストの期待を上回る「ワールドクラスの体験」を提供し、世界中を超元気にするNO LIMIT!なエンターテイメントを生み出すためには、お互いを尊重し、個人の人種、民族、性別、性的指向、性の同一性や表現、宗教、年齢、婚姻状況、国籍、祖先、妊娠または出産、病状、身体的または精神的障害、または法律で保護されている特性または状態に関わらず、従業員それぞれの固有の視点や個性をNO LIMIT!(限界を設けず)に発揮できる職場づくりは当社におけるコアバリューのひとつと位置付けています。この考えに基づき、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの観点から多様性の推進に努めており、その一環として、この度パーク内で働くクルーの身だしなみを規定するドレスコードの一部に改訂を施し、9月1日より運用を開始いたします」
「ユー・エス・ジェイでは、それぞれの多様性を受容し、尊重しあう社内文化の醸成は、われわれがテーマパークで提供する「世界最高のドキドキワクワク体験」を生み出す原動力となり、すべてのゲストのみなさまにテーマパークでの超感動・超興奮体験を通じて、超元気をお届けることに繋がると信じています。
 古くから演劇や映画に代表されるエンターテイメントでは、新たな価値観の創造や発信を担ってきました。私たちもエンタ―テイメント・リーディングカンパニーとして、エンターテイメントの力を通して、当社が推進するNO LIMIT!な価値観を広く伝え、浸透させることで、SDGsでも掲げられる持続的可能な社会作りへの貢献し、よりよい社会づくりを実現していきたいと考えています」
プレスリリースより)

 USJの従業員の身だしなみに関する規定はこれまで、男性の髪色は女性よりも暗い色に制限し、化粧については女性にだけ清潔感のある自然なメイクを求めるものでしたが、「男性」「女性」という文言を削除し、性別で異なっていた髪の色や化粧のルールを統一しました。「親しみやすさや清潔感のある印象を前提に、男女で異なっていたルールを統一した上で、メイクや髪色においてクルーそれぞれの自己表現をより自由に行えるよう一部緩和しました」とのことです。トランスジェンダーの方や、自認する性別が男性/女性の枠にはまらないXジェンダー(ノンバイナリー)の方なども排除されたと感じることなく働けるようになる、インクルーシブな取組みだと言えるでしょう。
 ユー・エス・ジェイではまた、7月1日付で人事関連規定における結婚・配偶者の定義の見直しを実施し、事実婚や自治体等の同性パートナーシップ証明を受けた方も慶弔見舞金などの授与の対象になりました。
 社内では、アライであると表明するステッカーやバーチャル壁紙を配布し、LGBTQ+支援の意思を可視化する取組みも進めているそう。「よりいっそうお互いを尊重しあえる職場環境の醸成に努めてまいります」とのことです。


 
 なお、スターバックスコーヒージャパンもこの7月30日から店舗で働くスタッフの規定を刷新し、男性もスカートを着用できるようにしたほか、髪色の制限をなくし、業務に差し支えない範囲で帽子をかぶることも認めたそうです。
 スターバックスは2017年のPRIDE指標においてゴールドを獲得し(ベストプラクティスにも選ばれ)、2018年には東京レインボープライドにキッチンカーを出展し、レインボーカラーのオリジナルタンブラーを販売するなどして好評を博しました(こちらにインタビューを掲載しています)
 
 
 店舗で接客に当たる従業員に制服の着用を義務付けたり身だしなみに関するルールを設けている企業は少なくないと思われますが、そうしたルールが不必要に男/女という性別の枠組みを固定化し、ジェンダーマイノリティの従業員を苦しめることになっていないかどうかという見直しが進み、性の多様性を尊重する動きが広がることを期待します。
 来年4月から中小企業にもパワハラ防止法が適用され、すべての企業にSOGIハラ防止策を講じることが義務づけられます。社内で性的マイノリティの従業員への理解を深め、SOGIハラが起こらないようにするための取組みを進めることが必須となるわけですから、そのタイミングで男女別となっている社内ルールの見直しを行なっていくとよいのではないでしょうか。
 

 
参考記事:
USJ従業員身だしなみ統一 規定から「男性」「女性」削除(関西テレビ)
https://www.fnn.jp/articles/-/234951
USJ従業員、タトゥーやボディーピアス解禁…男女別だった身だしなみルールも統一(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210916-OYT1T50167/
リミットをぶっ壊すのはゲストだけじゃない。「クルー」もだ!【USJ】(TABI LABO)
https://tabi-labo.com/301450/wt-usj-new-rules-for-diverse-freedom

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