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ドイツの名門ヴィッテルスバッハ家の家長であるバイエルン公フランツがカミングアウト、同性パートナーとの公式写真を公開

 かつてバイエルン王国を治めていた名門の王家・ヴィッテルスバッハ家の家長であるバイエルン公フランツが、長年の同性パートナーであるトーマス・グリンヴァルトとの公式写真を公開し、ゲイであることをカムアウトした史上初めての王室トップとなりました。 

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 フランツ・ボナフェントゥラ・アーダルベルト・マリア・プリンツ・フォン・バイエルンは、最後のバイエルン王・ルートヴィヒ3世の嫡系の曾孫で、1996年からヴィッテルスバッハ家の家督を継承し(バイエルン公を称し)、旧バイエルン王家の夏の離宮であったミュンヘンのニンフェンブルク宮殿に住まう方です。
 世界的に有名なオランダの写真家エルウィン・オーラフ(ゲイの方です)は、ミュンヘンで個展が開催されるのを機にニンフェンブルク宮殿を訪れ、バイエルン公フランツとトーマス・グリンヴァルトが寄り添う写真を撮影することができました。そして、二人の初めての公式写真となる歴史的な一枚が6月11日、オーラフの公式Instagramにアップされました。
 フィガロジャポンによると、「この公式写真には、歴史的な意味がある。シシィの愛称で知られたオーストリア皇后エリザベートの子孫であるバイエルン公は、ゲイであることを公表した初めての王室トップとなった。トーマス・グリンワルドとの関係を隠していたわけではないが、公式写真に一緒に収まるのはこれが初めて」とのことです。
 
 王たる者、女性と結婚して子を成し、後継者を残すことが務めであるというのが古今東西・あらゆる王室の掟でしたが、バイエルン公フランツは、自らの性的指向を隠すために女性と結婚して子どもをもうけたりは決してしませんでした。そして、ヴィッテルスバッハ家の家長であり、御年87歳のバイエルン公フランツがプライド月間のさなかにこうしてパートナーとの写真を世界に公開したことは、本当に意義あるカミングアウトだったと言えるでしょう。
 お二人が伝統的なバイエルンの衣装を着て、ニンフェンブルク宮殿の私邸で誇り高く写っている写真は、9月26日までミュンヘンで開催されるエルウィン・オーラフの回顧展で展示されます。
 
 
 
 ちなみに、ヴィッテルスバッハ家で最も有名なゲイの人物として、ルートヴィヒ2世がいます。ニンフェンブルク宮殿で誕生し、類稀な美貌を誇ったルートヴィヒ2世は、18歳でバイエルン国王として即位した後、ワーグナーのパトロンとなり、名作『トリスタンとイゾルデ』の上演を成功させたり、戦争を忌避し、ディズニーランドのシンデレラ城のモデルであり世界中から観光客が訪れるノイシュヴァンシュタイン城などの美しい城を建てたことで知られています。ルートヴィヒ2世は、正統な後継者を残すことが王族の務めであると見なされていた時代にもかかわらず、生涯独身を貫いています。子どもの頃から姉のように慕っていたエリザベートにプラトニックな愛情を感じていましたが、エリザベートがフランツ・ヨーゼフ帝と結婚してオーストリア皇后となったため、その妹のゾフィーとの婚約を決めます。が、生身の女性を愛することがどうしてもできず、精神が不安的になり…結局、婚約を破棄したのでした(ルートヴィヒ2世が本当に恋していたのは、若くて美しい俳優、貴族、従者などだったと言われています)
 ルキノ・ヴィスコンティが監督し、ヘルムート・バーガーがルートヴィヒ2世を演じた映画『ルートヴィヒ』(1972年)に、その生涯が見事に描かれています(ちなみにヴィスコンティもバーガーもバイセクシュアルの人物です)
 
 
 
参考記事:
ヨーロッパ王室のトップが初のカミングアウト!87歳のバイエルン公、同性パートナーとの公式写真を公開(フィガロジャポン)
https://madamefigaro.jp/culture/feature/210629-duke-in-bavaria.html

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