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トランスジェンダーを公表する選手の大会出場に関する特別ウェビナーが開催されます

トランスジェンダーを公表する選手の大会出場に関する特別ウェビナーが開催されます

 プライドハウス東京が7月13日、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における トランスジェンダーのアスリートの参加に対するプライドハウス東京の声明」を発表しました。18日(日)19:30からは、駐日オランダ王国大使館とオランダオリンピック委員会協力のもと、「トランスジェンダーを公表する選手の大会出場」に関する特別ウェビナーを開催します。


 東京2020大会は、大会史上で初めて、トランスジェンダーであることを公表するアスリートが、自認する性別のカテゴリーで出場する大会となりました。
 五輪憲章には、「スポーツをすることは人権の一つであり、 すべての人はいかなる種類の差別を受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない」とうたわれています(性的指向による差別の禁止もうたわれています)
 また、IOC(国際オリンピック委員会)は2003年に、手術を受けて医療的にトランジション(性別移行)したアスリートのみとはいえ、ある一定の条件を満たしたトランスジェンダーのアスリートが自認する性別のカテゴリーで出場できるポリシーを制定しました(2015年には、体内の男性ホルモンの値が一定レベルを下回っていることを条件とする改定が行なわれました)
 プライドハウス東京は、「出生時に割り当てられた性別によって区別されるスポーツ文化の中で、これまで、性自認に基づく競技参加が阻まれ、自らのアイデンティティとの葛藤や、差別や排除に苦悩してきたトランスジェンダーのアスリートが、自認するジェンダーのカテゴリーで競技に参加できることは大変喜ばしいことであります。本大会は、誰も取り残さないインクルーシブなスポーツ環境にまた一歩近づくことができた、マイルストーンとなると考えます」としています。
「一方で、このような歴史的な出来事について、様々な報道がなされています。特に、トランスジェンダー女性のアスリートが、女性カテゴリーで競技をすることの公平性について、賛否両論の議論が湧き上がっています。しかしながら、トランスジェンダー女性のアスリートがシスジェンダー女性のアスリートよりも絶対的にスポーツの分野において優勢であるとする根拠は不完全です。事実に基づく正確な知識を持って、誰も取り残されないインクルーシブな環境の中で、真の公平性についての対話を深めていくことが、これからのスポーツの発展においては重要です。そのため、専門家やアスリートなど関係者・当事者によるさらなる対話と取り組みが求められており、オリンピック・パラリンピックという存在自体がその機会を広げる契機となることを歓迎します」
「また、現行のIOCによるトランスジェンダーのアスリートの参加条件を満たして出場権を獲得しているにも関わらず、選手個人に対する誹謗中傷も多くみられます。トランスジェンダーのアスリート個人に対する誹謗中傷については、性的指向・性自認を理由とする差別禁止を盛り込んだ東京都の条例等が抑止力になるかもしれませんが、条例がない自治体は当然ながら対象外です。根拠のない言説が広がることによって、日本で暮らすトランスジェンダーへの偏見や差別が助長されることがないよう、細心の注意を払う必要があります」
「すべての人がいかなる種類の差別を受けることなく、いかなる性のあり方であっても、平等にスポーツをする機会が与えられなければならないという、五輪憲章の精神を改めて確認し、本大会が、誰も取り残されないインクルーシブなスポーツ文化を祝福し、更なる発展と、社会に対する前向きな変化を促す大会になることを心より望んでいます」
(全文はこちら


 プライドハウス東京はまた、18日(日)19:30から、オランダ大使館とコラボし、2001年に世界で初めて結婚の平等(同性婚)を実現させ、人権政策として全ての人々のために正義と平和を確立すべく積極的な取組みを続けてきたオランダからトランスジェンダーの選手を招き、特別ウェビナーを開催します。「東京2020大会が誰も排除されないインクルーシブなスポーツ環境を目指すうえで歴史的意味を持つ瞬間であることを祝福し、大会開幕を前にトランスジェンダーであることを公表する選手の参加について、正しい理解を深める場となれば幸いです」との趣旨です。
 無料で、お申し込みいただければどなたでもご参加いただけるウェビナーですので、ぜひ。

※国際的なトランスジェンダー活動家であり、「オリンピックを変えた男」と呼ばれるクリス・モジエ氏が急遽、本日のウェビナーに参加することが決定しました。

トランスジェンダーを公表する選手の大会出場に関する特別ウェビナー
日時:2021年7月18日(日)19:30-20:30
オンライン開催 
無料
言語:日・英同時通訳 /日本語手話通訳
主催:任意団体「プライドハウス東京」コンソーシアム(アスリート発信チーム)
協力:駐日オランダ王国大使館
申し込みURL:https://bit.ly/3xDlKWX

■プログラム内容
司会進行:松中権(プライドハウス東京代表/NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表)
19:30-19:40 「オープニング/プライドハウス東京について」 
19:40–20:00 「プライドハウス東京から声明文の発表」
20:00–20:30 「オランダオリンピック委員会『性別・性⾃認が多様な個人』についてのガイダンス2021」
20:30-21:00 「クリス・モジエ氏とのセッション」

■登壇者情報
◎松中権 
プライドハウス東京代表/NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表
1976年、金沢市生まれ。⼀橋大学法学部卒業後、株式会社電通に入社。海外研修制度で米国NYの NPO関連事業に携わった経験をもとに、2010年、NPO法人を仲間たちと設立。2016年、第7回若者力大賞「ユースリーダー賞」受賞。2017年6月末に16年間勤めた電通を退社し、二足のわらじからNPO専任代表に。LGBTQと社会をつなぐ場づくりを中心としたこれまでの活動に加え、2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の公認プログラム「プライドハウス東京」等に取り組む。
◎野口亜弥 
プライドハウス東京アスリート発信チーム/一般社団法人 S.C.P. Japan共同代表
専門は「スポーツと開発」と「スポーツとジェンダー・セクシュアリティ」。米国の大学院にてMBAを取得。スウェーデンでのプロ女子サッカー選手の経験を経て現役を引退。その後、ザンビアのNGOにて半年間、スポーツを通じたジェンダー平等を現場で実践。帰国後、スポーツ庁国際課に勤務し、国際協力及び女性スポーツを担当。現在は順天堂大学スポーツ健康科学部にて助教。各種講演、NGOや行政のプロジェクトにも専門家として参画。博士課程在籍。順天度大学女性スポーツ研究センター研究員、NPO法人GEWEL副代表。
◎杉山文野 
1981年東京都生まれ。フェンシング元女子日本代表。2021年6月より公表しているトランスジェンダーとして初めて日本オリンピック委員会(JOC)及び日本フェンシング協会FJEの理事に就任。早稲田大学大学院教育学研究科修士課程終了。2年間のバックパッカー生活で世界約50カ国+南極を巡り、現地で様々な社会問題と向き合う。日本最大のLGBTプライドパレードであるNPO法人東京レインボープライド共同代表理事や、日本初となる渋谷区・同性パートナーシップ条例制定に関わり、渋谷区男女平等・多様性社会推進会議委員も務める。現在はニ児の父として子育てにも奮闘中。
◎ペーター・ファン・デル・フリート
駐日オランダ王国大使
ジュネーブ、ニューデリー、ヨルダン・アンマン、ニューヨークにて外交官を務める。2010年-2015年にニューヨークの国連オランダ政府代表部にて国連の仕事に従事した後に、2015年-2019年はオランダ外務省国際機関・人権局局長及び持続可能な開発目標担当大使を務める。
◎トム(仮名)
オランダのトランスジェンダーを公表しているアスリート 
22歳の学生選手。オランダオリンピック委員会とオランダスポーツ競技団体と共に、新しい「性別・性自認が多様な個人についてのガイダンス」の作成に関する事前会議に参加した。その後、2021年1⽉に、他の専⾨家と共にオランダオリンピック委員会によって発⾏された新しいガイドラインの作成に関わった。また、IOCの代表者との情報共有会に参加し、そのガイドラインについて発表し、対話をした。
◎クリス・モジエ
2020年、自認する性別でオリンピック選考会に出場した初のトランスジェンダー選手として歴史に名を残しました。また、IOCのトランスジェンダー選手の大会参加資格規程の変更にも助言を行い、規程の改訂に貢献しました。

 
参考記事:
トランスジェンダーを公表する選手の大会出場に関する特別ウェビナー 7月18日「プライドハウス東京×オランダ大使館」にて開催(Digital PR Platform)
https://digitalpr.jp/r_detail.php?release_id=49484

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