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同性婚承認国で結婚した外国籍の同性パートナーに「特定活動」の在留資格を付与へ

 読売新聞によると、政府が、同性婚が認められている外国で日本人と結婚した外国人同性パートナーに日本での在留資格を認める方向で検討に入りました。日本人が帰国した場合、パートナーに「特定活動」の在留資格を付与するそうです。世界30ヵ国近くで同性婚が認められているなか、運用改善を求める声が高まっていたためです。
 
 
 出入国管理法では、日本人と結婚した異性の相手は「日本人の配偶者等」の在留資格で国内に居住できる一方、日本では同性婚は認められておらず、外国で結婚しても「配偶者」の在留資格が与えられないため、外国籍のパートナーが日本に居住するには、ビジネス分野などの別の在留資格が必要になっていました。
 政府は同法の運用を変更し、婚姻関係を証明する外国の公的文書などがあれば「特定活動」を適用する方向です。ただし、日本の法律上の婚姻関係を認めるわけではありません。「特定活動」は、法相が個別に活動内容を判断して在留を認める資格で、「ワーキングホリデー」などが該当します。
 一方、外国籍どうしの同性カップルは、双方の本国で同性婚が有効なら、いずれかがビジネス分野などの在留資格を持つ場合、パートナーに「特定活動」の在留資格が付与されます。法務省が2013年、「本国と同様に安定的に生活できるように」と認める通達を出していました。出入国在留管理庁が今年3月に明らかにしたところによると、通達以降、2020年までに93件の付与例があったそうです。

 法務省によると、日本人と外国人のカップルにも認めるよう要望が同省に寄せられていました。
 在留が認められなかった同性カップルが国を提訴したケースもあります。20年以上にわたって日本人ゲイ男性との間でパートナーシップを築いてきた台湾の男性が2017年、国外退去命令の取消しを求めて訴訟を起こし、2019年に国側が退去命令を撤回し、「特定活動」での在留資格を認めました(詳細はこちら

 なお、本国で同性婚が認められていない場合でも"同性カップル"に在留資格が認められたケースもあります。2019年、在留資格がないまま日本人の男性のパートナーと17年間暮らしてきた東南アジア出身のトランス女性(法的には男性)の方に在留特別許可が認められました(詳細はこちら
 

 在留資格が「配偶者」ではなく「特定活動」であるということ(決して婚姻として認めたわけではないということ)、本国で同性婚が認められていない方の場合、今回の在留資格付与の対象にならず、依然として不安定な状況に置かれるという課題は残っていますが、ともあれ、一歩前進と言えるでしょう。今後さらに対象が広がるとともに、配偶者として認められる日が来ることを期待します。




参考記事:
【独自】日本人との「同性婚」が海外で認められた外国人パートナーに在留資格…政府検討(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210517-OYT1T50110/

同性婚の外国人、在留資格93件 相手日本人のケースは不許可(共同通信)
https://this.kiji.is/748083357053157376?c=39550187727945729

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