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【同性パートナーシップ証明制度】秋田県も導入を検討

 秋田県の佐竹敬久知事は12月3日、同性パートナーシップ証明制度の導入を検討することを表明しました。県議会一般質問で答えたものです。

 秋田県次世代・女性活躍支援課によると、性的少数者や支援団体、有識者から制度導入を求める声が上がっていました。現時点で条例化は予定しておらず、要綱で定めることを検討しているそうです。導入時期は未定です。

 秋田県では昨年10月、LGBTQの人権を否定するような内容の不審なビラが配られ、佐竹敬久知事が「狭い了見」「すべきでない」と苦言を呈し、ヘイトからLGBTQを守る姿勢を見せました。知事はまた、「どんな人にとっても優しく、差別がない秋田というのは売りになる」と述べ、性的マイノリティや新型コロナウイルス感染症患者に対する偏見・差別の解消を目指す条例の制定を検討していることを明らかにしました(詳細はこちら
 そして今年7月、LGBTQ差別禁止を含む「多様性に満ちた社会づくり基本条例(仮称)」を制定する方針を示しました。罰則は設けないものの、差別をしてはならないことを明文化する方針で、差別解消に向けた県の施策の方向性を示す指針も策定します。来年4月の施行を目指します(詳細はこちら
 秋田県がLGBTQ差別禁止の条例を制定しつつ、同性パートナーシップ証明制度の導入は条例ではなく別途定める要綱に基づいて行なうというのは、先行する茨城県、大阪府、三重県と同様です。


 なお、先月、青森県が同性パートナーシップ証明制度導入の意向を示しましたが、東奥日報の続報によると、県は「できるだけ早期に創設」する意向であるものの、パートナーシップ証明を得たカップルにどのような行政サービスを提供するのかというところの調整に時間がかかっているそうです。
 例えば三重県では、県営・市町営住宅への入居申込み、県立病院での面会・病状説明の同席・手術の同意、DV相談、県犯罪被害者等見舞金などが認められますが、パートナーシップ宣誓の要綱で受けられるようにした行政サービスは一つだけで、ほかは解釈の拡大など運用面で対応したそうです。三重県ダイバーシティ社会推進課の方は、「当事者の方の困り事に寄り添いながら、県としてできることに取り組んでいくことが制度を創設した役割だと考えている」と語っています。
 青森県も、県営住宅の入居申込みや病院での面会などができるようにしたいと考えています。
 12月1日、県議会一般質問で佐々木環境生活部長は、制度の枠組みや必要な手続きについて検討段階にあると答弁、そのうえで「性的マイノリティであることを理由として困難な状況におかれる場合には、人権の観点から理解を促進していくことが必要」と述べました。
 ただし、個別の行政サービスへの適応については「よそでやれているから青森県でもできるという話でもない」(県青少年・男女共同参画課担当者)と慎重姿勢です。民法で定める親族の定義の解釈などが「壁」になっているといいます。

 この点に関して、台湾の同性婚法や日本の同性パートナーシップ証明制度に関するオーソリティである鈴木賢明治大学法学部教授は、「家族法に関わるルールを地方で作ることはできない。権利を制約するのではなく、広げることに制限はありません」と語ります。「制度創設は予算をかけずにできるので、県としてのPRにも効果的。全市町村で制度を導入するには時間がかかるので、県として一気にやることが望ましい」と強調しました。


 ともあれ、ジェンダー平等の達成やLGBTQへの理解・支援、制度実現に関して、日本の中でも最も遅いほうではないかと思われた北東北で、このように、県としてLGBTQ差別禁止条例の制定や、同性パートナーシップ証明制度の導入を検討するというニュースが届くようになったことには、感慨を禁じえません。数年前には誰も予想できなかったことではないでしょうか。「故郷が帰れる街に」なる日がまた一歩、近づいた気がします。(宇佐美翔子さんをはじめ)これまで地道に活動を続け、粘り強く行政への働きかけを行なってきたコミュニティの方々にあらためて敬意を表します。
 

 今週末には青森レインボーパレードが開催されます。翔子さんを追悼し、「故郷を帰れる街にしたい」という言葉をみんなで掲げるそうです。翔子さんたちの長年の努力が実って県が制度導入に動きはじめたことをお祝いする意味でも、参加してみてはいかがでしょうか。
 
青森レインボーパレード2021
日時:12月11日(土)13時〜
集合場所:青森駅前公園
YouTube配信もあります)
(パレード開催の応援と、翔子さんお別れ会の協賛のクラウドファンディングも実施中です)
 
 
参考記事:
県がパートナーシップ制度検討 同性カップルに証明書(秋田魁新報)
https://www.sakigake.jp/news/article/20211203AK0033/
パートナーシップ制度、地方から拡大 三重、佐賀など5府県導入 青森県も創設目指す(東奥日報)
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/783291

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