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世界最大級の広告代理店が、ゲイを拒絶したNIVEAとの契約を終了

 ニューズウィーク日本版の記事によると、世界最大級の広告代理店であるFCB(Foote, Cone & Belding)が、ドイツ・バイヤスドルフ社のスキンケア・ブランド「NIVEA」との代理店契約を終了することが明らかになりました。FCBがNIVEAに、2人の男性が手を触れ合うイメージを広告として提案した際、「我々はゲイは扱わない」と断られたことが理由だそうです。
 
 広告業界情報サイト「Ad Age」によると、FCBのオープンリー・ゲイのクリエーターが、NIVEA側に「We don't do gay at Nivea(我々はゲイは扱わない)」と言われたということを電話で語っているそうです。これを受けてFCBは、NIVEAとの世界規模の代理店業務を、契約が満了する2019年末で打ち切ることにしました。100年以上も続いてきたFCBとNIVEAとのつながりに終止符が打たれることになります。
 
 1882年にドイツで創業されたNIVEAは、ハンブルクを拠点とする化粧品メーカー、バイヤスドルフの子会社です。FCBのカーター・マレーCEOの社内資料によれば、バイヤスドルフ傘下の他のブランドとの契約は続行されるそうです。
 マレーは「長い関係の中では、ともに達成してきた過去を振り返り、次の旅路へと踏み出す時期が来るものだ。場合によっては、難しい選択を迫られて、別々の道を行かなればならないこともある」と書いています。
「われわれの創造的な野心について、熟考と議論を重ねた」
「世界中の市場においてNIVEAと手を取り合って歩んできた素晴らしい旅路を振り返り、誇りに思う。難しい判断だった」
 FCBの世界の売上げのうち1%をNIVEAが占めているそうですが、マレーは「2020年にはその分を取り返すことができると確信している」と語っています。

 一方、バイヤスドルフの広報担当者は、「『根も葉もない憶測』についてコメントはしない」と述べています。「ただし、報道されている主張に関しては懸念を表したい。そうした主張は、バイヤスドルフやNIVEA、そして世界中の従業員が持つ価値観を反映していないからだ」

 

 同性愛嫌悪(ホモフォビア )が公になってブランドに傷がついたケースは過去にもたくさんあります。
 有名なのは、イタリアのパスタメーカー「Barilla」のグイド・バリラ会長が2013年のラジオインタビューで、「BarillaのCMに同性愛の家族は出演させない。彼らに対する敬意がないのではなく、賛成できないからだ」と発言し、さらに、同性カップルが養子を取ることにも反対だと述べ、もし自分の考えを気に入らないLGBTQがいたら、ほかのブランドのパスタを買えばいい、と言い放った事件です。当然、不買運動が発生し、ハーバード大学が食堂から同社製品を撤去するなどしました。同社のCEO、クラウディオ・コルツァーニは、のちに「市場シェアについて危機感を抱いた。だが、それよりはるかに心配だったのは、バリラが時代遅れのブランドだと思われることだった」と振り返っています。
 2014年には、FireFoxを開発する米Mozilla財団のブレンダン・アイクCEOが、同性婚に反対する陣営へ寄付を行なっていたことが発覚し、就任からわずか10日で辞任に追い込まれたという出来事もありました。
 
 
参考記事:
同性愛差別でニベアとの契約打ち切り?──大手広告代理店FCB(ニューズウィーク日本版)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/07/post-12449.php


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