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トランスジェンダーへの配慮として、投票所入場券の性別欄の撤廃が進んでいます

 トランスジェンダーの人たちが不安を感じることなく選挙で投票できるよう、宮城県女川町の住民が7月16日、町の選挙管理委員会に対し、投票所での性別の確認や入場券への性別の表記をやめるよう要請しました。
 
 投票所での性別の確認などをやめるよう要請したのは、女川町に住む団体職員の堀みのりさん(29)です。堀さんは戸籍上は女性ですが、男性として生活しているFtMトランスジェンダーで、これまでの選挙では投票所で性別を確認された際に「外見が女性に見えない」などとして「なりすまし」を疑われ、つらい思いをしたといいます。
 「あの人は女性じゃないの?男性なの?」とひそひそ声で話され、「自己嫌悪と消えたくなる思いや死にたくなる思いでいっぱいに」なったこともある、と堀さんは語ります。「性的マイノリティの人が不安を感じずに投票できるようにしてほしい」
 女川町選挙管理委員会の小野寺武則委員長は「性的マイノリティの人の意見や県の意見などを聞きながら対応を考えたい」と語りました。

 堀みのりさんはまた、トランスジェンダーが安心して投票できる社会を目指してというオンライン署名もスタートさせました。同様のことに悩んでいる、不安に感じている当事者からも共感する声が寄せられたといいます。
「地域にはいろいろな人がいると、知ってほしいと思っています。トランスであってもトランスでなくても、ひとりでも多くの方が公平に、積極的に選挙権を行使できるような仕組みになってもらえれば」 
 この署名は宮城県宛てですが、今後、総務省にも直接提出する予定だそうです。
 

 投票所入場券の詳しい内容や本人確認の方法は各自治体の判断に委ねられていて、性別が記載されている自治体も、全国にまだまだたくさんあるのが実態です。近年、当事者団体の運動のおかげで、少しずつ性別欄を廃止する動きも全国的に広がりを見せています。愛知県では9割近い自治体が性別欄を廃止したそうです。
 総務省によると、5月に開いた都道府県と政令指定都市の担当者向けの会議で、投票所入場券の記載事項が差別的にならないよう、必要性や表現を検討するよう求めたといいます。
 一方、公職選挙法施行規則には、投票所ごとに投票状況を記録する「投票録」の様式があり、投票者数を男女別に記入するようになっています。男女別の投票者数は選挙人名簿で集計できますが、ある自治体は投票所入場券に性別欄を設ける理由に「(選挙人名簿と)ダブルチェックして正確に集計するため」と説明しています。

 
 なお、FtMトランスジェンダーの活動家・遠藤まめたさんは、全国の自治体の投票所入場券の性別欄の有無の実態について情報を集めています。よろしければこちらからご協力ください。
 
 



参考記事:
「投票所で性別の確認やめて」住民が要請 宮城(NHK宮城)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190716/k10011994631000.html
選挙にいくのが「怖い」と感じる人がいること、知っていますか。(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/lgbtiq-senkyo
投票所入場券の性別欄、廃止広がる 性的少数者へ配慮(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASM7C61VBM7COIPE02F.html

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