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トランスジェンダーの7割強がオールジェンダートイレの利用を希望、TOTOが調査

トランスジェンダーの7割強がオールジェンダートイレの利用を希望、TOTOが調査

 TOTOが昨年9月に実施した調査によると、トランスジェンダーの方の約3割が「外出先のトイレに入る際、周囲の視線にストレスを感じる」と回答し、性別に関係なく利用できる広めの個室トイレについて「利用したい」と回答した方が7割を超える結果になりました。

 この調査はTOTOがLGBT総合研究所の協力で昨年9月に実施し、トランスジェンダーとシスジェンダー、各約400名にWeb上でアンケートを取ってまとめたものです。調査結果はこちらからご覧いただけます。
 
 トランスジェンダーの方に、外出先でのトイレ利用の際、どんなことでストレスを感じるかを聞いたところ(複数回答可)、1位は「トイレに入る際の周囲の視線」で31.1%、2位は「トイレに入る際の周囲からの注意や指摘」(23.5%)、3位は「男女別のトイレしかなく、選択に困ること」(21.4%)となりました。
 「他者の視線を気にせず自由に選べる場合、どのトイレを利用したいと思うか」という問い(複数回答可)に対しては、出生時に割り当てられた性別の方のトイレと、自認する性別の方のトイレ、両方の回答が挙がりました。
 「出生時に割り当てられた性別の方のトイレの利用に、いつ頃から違和感があったか」という質問に対しては、トランスジェンダーの43.1%が「中学生までに違和感あり」と回答しました。 

 また、TOTOは、車いすの方などを想定した広い多機能トイレとは別に、性別に関係なく利用できるやや広めの個室トイレ(オールジェンダートイレ)の普及を推進していますが、このようなトイレを利用したいですか?という質問に「そう思う・ややそう思う」と回答したトランスジェンダーの割合は72.1%に上り、このようなトイレが公共トイレとして普及していくことに「賛成・やや賛成」と回答したトランスジェンダーの割合は85.7%にも上っています。
 同社の担当者は「(駅などで普及している広い)多機能トイレは、車いす利用者やベビーカーを押している人が優先的に使うと認知されていて、トランスジェンダーの方が利用する場合、心理的抵抗もあると見られています。性的マイノリティの人に加えて、高齢の夫婦など男女同士が介護しているケースでも男女共用のトイレは有効です」と説明します。
 
 なお、オールジェンダートイレにLGBTフレンドリーであることを示すレインボー・カラーのサインを掲示する試みについては、トランスジェンダーの方の60.4%が賛成した一方で、29.1%が反対と回答しました。
 

 2016年、リクシルと特定非営利活動法人虹色ダイバーシティが共同で「性的マイノリティのトイレ問題に関するWeb調査結果」を公表しました。トランスジェンダーの64.9%がトイレ利用で「困る・ストレスを感じる」と回答し、50.4%が「他の利用者から不審な目で見られた」経験があり、25.4%が膀胱炎や失禁などの排泄障害を経験していることが明らかになりました。MtF、FtMの方よりもMtX、FtXの方(自認するジェンダーが典型的な男/女に当てはまらない方)のほうが共用の多目的トイレの利用を望む傾向も窺えました。
 トランスジェンダーの方たち(特にXジェンダーの方や性別移行途中の方)、あるいは無性の方などにとって、職場や外出先でのトイレの利用は切実な問題であるということは、今や広く認知されつつあります。
 TOTOでも2015年頃から当事者へのヒアリングを開始し、トランスジェンダーの方たちにも使っていただきやすいトイレとはどのようなものか?と考え、研究を重ね、独自の配慮のプランとして上記のようなオールジェンダートイレを提案するにいたったそうです(こちらの記事で詳しく語られています)
 新たにこのようなトイレを設置する場合、工事費用もかかるため、一朝一夕には解決しない、長いスパンで見ていかないといけない課題となるのでしょうが、トランスジェンダーの方にとってどのようなトイレが望ましいか?についての一つの答えが見えたことには意義があると言えそうです。
 


参考記事:
トランスジェンダーの3割「トイレに入る際の視線でストレス」(ITmedia)

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