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世田谷区が同性カップルも区営住宅に入居できるよう条例を改正

 2月9日、東京都・世田谷区が、同性カップルも区営住宅に入居できるよう条例に明記する方向で調整を進めていることが明らかになりました。

 世田谷区によると、2015年、全国に先駆けて導入した同性パートナーシップ証明制度をめぐって、当事者たちから「区営住宅に入居できるようにしてほしい」という要望が多く寄せられていました。また、区が昨年、LGBTを支援する団体を通じ、965人を対象にアンケートを実施したところ、半数以上が行政に望むこととして公営住宅への入居を挙げていたそうです。
 これを受けて、世田谷区はこれまで原則「親族」のみとしていた家族向けの区営住宅の入居条件を変え、同性カップルも入居できるようにする方針を決めました。
 住民票などで一緒に生活していることなどが確認できた同性カップルも区営住宅の入居対象にし、また、同性パートナーシップ証明制度を利用しているカップルに限定しないそうです。ただし、入居希望者が多いため、他の人と同様に、抽選や所得などの条件を満たした場合に入居が認められます。
 世田谷区では、こうした方針を条例に明記するため、必要な条例の改正案を区議会に提出する方向で調整を進めています。
 区の担当者は「同性カップルが継続的に一緒に暮らしている実態があるので、住宅や福祉面で門戸を閉ざすべきではない。他の人と同様に制度を利用できるようにする」と語っています。

 2003年に都市再生機構(UR賃貸住宅※)が同性カップルの入居を認め、2005年には(府議会で尾辻かな子府議が質問したことを受けて)大阪府の公社住宅※に同性カップルも入居できるようになりました。これは友人など単身者どうしの同居を可能とする「ハウスシェアリング制度」を導入することで実現したもので、不動産業者に入居を断られることも多かった同性カップルが、断られる心配をせずに安心して申し込むことができるようになりました。
 一方、低所得者向けのいわゆる公営住宅(県営住宅や市営住宅など)は、公営住宅法で同居親族がいることが入居時の資格要件と定められていたため、同性カップルは門前払いでした。2011年の公営住宅法改正で、同居親族要件が廃止され、単身者の入居は可能になりましたが、同居できるのは親族に限られているため(友人どうしや同性カップルは不可)、ほとんどの自治体では今でも、同性カップルが(たとえ家族同然であっても)公営住宅に入居することは認められておりません。
 この公営住宅について、同性カップルを結婚した夫婦と同等と認め、入居を可能にしたのが、2015年の渋谷区の新条例です(日本初。画期的なことです)。また、三重県伊賀市と沖縄県那覇市が昨年、同性パートナーシップ証明制度の導入に伴い、証明書を提示した同性カップルも市営住宅に入居できるようにしました。世田谷区で今回の条例の改正案が区議会で承認されれば、同性カップルが公営住宅に入居できる自治体として4例目、条例に明記されるケースとしては2例目となります。
  
※公営(公的)住宅について
都道府県営住宅や市区町村営住宅を公営住宅といい、低所得者・世帯向け(高齢者の単身者は入居できる)です。これに対して、都市再生機構が運営するUR賃貸住宅(旧公団住宅)や住宅供給公社が運営する公社住宅を公的住宅といい、これらは民間の住宅と同様、一定以上の所得がないと入居できず(家賃も安くはない)、世帯向けとは限りません。



参考記事:
同性カップルも区営住宅入居可に 世田谷区が条例改正へ(NHK)
同性カップル、区営住宅で暮らせるように 世田谷区が条例改正へ(ハフィントンポスト)

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