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レポート:愛と結婚を考えるバレンタインパーティー in 新宿二丁目
2月14日(土)、Marriage For All Japanが二丁目のAiSOTOPE LOUNGEで開催したイベント「愛と結婚を考えるバレンタインパーティー in 新宿二丁目」をレポートします。台湾やタイでいろんな人にインタビューしている新作映画の上映や、素敵なゲイカップルのトークなども楽しめました
全国で「結婚の自由をすべての人に」訴訟を展開し、数々の違憲判決を勝ち取ってきたMarriage For All Japan(MFAJ)が、一斉提訴からまる7年を迎えた2026年2月14日のバレンタインデーに二丁目のAiSOTOPE LOUNGEでイベントを開催しました。今年は、いよいよ最高裁で判決が出るとみられる年であり、現行法で同性婚を認めていないのは違憲であるとの判決が期待されます。そんななかMFAJの松中ゴンさんがインタビュアーを務め、お隣の台湾やタイでは婚姻平等が実現したけれどもそれによって社会が変わってしまったりしたのか、台湾やタイで同性婚したカップルや街行く人々は同性婚についてどう感じているのか、といったことをインタビューしたオリジナル長編ドキュメンタリー映画が製作され、今回、お披露目上映されました。さらに、ドラァグクイーンのエスムラルダさんや2組の素敵なゲイカップルが登場し、同性婚について語るというトークショーも繰り広げられました。レポートをお届けします。
(取材・文:後藤純一)
土曜の昼間という二丁目もほとんど人がいない時間帯に開催された「愛と結婚を考えるバレンタインパーティー in 新宿二丁目」。14時を少し過ぎてAiSOTOPE LOUNGEに到着すると、すでに会場は満員になっていて、共同代表の寺原さんがご挨拶しているところでした。
その後、今回協賛してくれた外資系ゲイカンパニー・Gridr(グラインダー)の方(台湾在住)がご挨拶。「人々はつながりや思いやりを求めている」「私たちはLGBTQの生活をよく知っている。カミングアウトのことや価値観の共有、愛する人々の夢を叶えようとしていること。結婚の平等は毎日の暮らしに安心を与えてくれる。全てのゲイが結婚を望んでいるわけではないのは知っているが、結婚の選択を可能にすることが大切」「台湾では同性婚法が2019年に制定され、社会が変わることもなくカップルが守られ、家族が平和を手に入れ、いつも通りの生活が続いた。変わったのは守られるとリラックスして暮らせること。今日の映画で言われたのは『結婚は幸せなストーリーの始まり』ということ。誇りを持ってこの勧める理由です」「変化は自動的に起こるのではなく普通に人々が参加することで変わっていく」「みなさんがコミュニティを築いていくこと、Marriage For All Japanを支援してくれることを信じています」という素晴らしいお話でした。
それから新作映画上映の1本目として、オリジナル長編ドキュメンタリー映画『世界の同性婚ができる国に行ってみた!』(タイ編)が上映されました。3組の同性カップルと法務省の方、そして街行く人々にインタビューしています。タイってずっと前からLGBTQの楽園であるとか、自由に生き生き暮らせる国だというイメージを持っている方も多いと思いますが、この映画に登場した女性カップルは、20年くらい前は女性どうし一緒に暮らすことも難しかったと語っていて、苦難を乗り越えて今、晴れて結婚できるようになったことの喜びが伝わってきました。一方、街行く人々に同性婚の法制化をどう思うかと尋ねたインタビューでは、本当にみなさんが肯定的な、いいことを言ってくれていて、感じ入りました(トゥクトゥクの運転手さんが「健全な民主主義だと思うよ」と言ってたのがスゴいと思いました)
紙にせよ映像にせよ、基本的にインタビューものって大変なんですが(質問を用意して、いろいろ気を遣いながらお話を聞いて、終わったら文字起こしして、あまり長くならないように、でもカットし過ぎて前後の意味のつながりが切れないように、うまく編集する)、今回、街行く人にも声を聞いているところが興味深かったし、面白かったし、素晴らしいと感じました。
時代や社会の記録としても、立派な価値がある作品だと思いました。
上映後には、司会のエスムラルダさん、松中ゴンさん、KANE&KOTFEさんが登壇し、トークショーが開催されました。エスムラルダさんが「(同性婚を認めない)日本、何しよるんやろって思う」と急に広島弁でしゃべったり、和やかに盛り上げてくれました。
今回の映画で1組目に登場したカップルのお一方が警察官で、制服を着て(つまり警察が公認して)登場していたのですが、元警察官のKOTFEさんは、そのことに感銘を受け、もし日本もこうだったら現職のうちにカミングアウトできたかもしれないと語っていました。
KANEさんが言葉少なめながら、レズビアンカップルの姿に涙したと語っていたり、以前は(消防士時代は)同性婚のこととかもあまり考えていなかったけど、KOTFEさんと一緒に東京に来てから180度変わったと語っていたのも印象的でした(メディアに出てカミングアウトし、今は親族一同応援してくれてるそうです)
KOTFEさんも、現職中は「オカマかよ」みたいなことを言ってた刑事の人が、カミングアウト後、LINEで「気づかずごめんな」とわざわざ謝罪の言葉を送ってきて応援してくれるようになった、あの人は絶対に理解がないと思っていた人が変わった、世の中捨てたもんじゃないと思えた、と語っていました(いい話!)
映画と同様、「あなたにとって結婚とは?」と尋ねる質問に対し、KANEさんは「START」と、KOTFEさんは「ドリームギフト」(二人の関係を保障する制度のパッケージ)だと答えていました。
休憩をはさんで『世界の同性婚ができる国に行ってみた!』(台湾編)が上映されました。台湾のほうが意外と街行く人たちの反応が渋めで、感情的には賛同できないけど、という含みを持たせたような発言がちらほらありました。逆に、同性婚法じゃなく民法改正(完全な婚姻平等)にすべきだと言ってくれる若い女の子たちもいて、うんうん、そうだよね、と思ったり。
1組目の40代のゲイカップルは、そんなに結婚を焦っていなかったのですが、49歳の方のお母さんが認知症が始まって、それでもいつも「結婚しないの?」「二人で生涯を共にすると誓わないの?」と言うので、それで結婚を決意した、式のときはお母さんが証人になってくれたと語っていて、ジーンときました。同性婚は当人どうしだけじゃなく周りの人をも幸せにするんだなと実感しました。
それから、台湾の女性団体の方が2008年頃、蔡英文に同性婚を含めた「結婚の民主化」を進言していて、その後彼女も国会議員になり、蔡英文も当選し、同性婚実現につながったという話がありました。やはり政治が大きくモノを言うのだなと思いました。
続くトークショーでは、二丁目でバーを経営するヒロヤさんとその夫で従業員のダニエルさん(台湾から来た方)が、お揃いのタンクトップ姿で登場しました。お二人ともGOGO BOY(ゲイのクラブイベントでセクシーに盛り上げるダンサー)をしていて、海外で知り合った、ダニエルさんは当時、同性結婚していたけれども半年くらい経って離婚して、それからだんだん二人の関係が深まった、というなれそめから、台湾で国際結婚したときのお話(独身証明書などを発行してもらって翻訳して台湾に持って行くことが必要。書類は有効期限が3ヶ月なので結構ギリギリだった)、ダニエルさんの周りの人たちも国際同性婚カップルがいたりする、というお話なども聞けて、とても興味深かったです。
台湾で結婚したお二人ですが、日本ではその結婚が無効になるので、ダニエルさんはヒロヤさんの会社でワーキングビザを発行することで滞在できている、海外への送金も難しい(結婚してたら簡単)といった話も。去年ダニエルさんが肺炎で救急搬送されたとき、ヒロヤさんが病院に付き添えなかったことなどもあり、やはり結婚できるようになってほしいとお二人は語っていました。「結婚とは?」の質問には、ヒロヤさんが「これからのふたり」、ダニエルさんが「意味:愛を法的に正当化すること。価値:国境を越え共に生きる保証」(素晴らしい)と答えていました。
おそらく、昨年11月の高裁判決や、先日の衆院選の結果(同性婚に反対の議員が多数を占める結果に…)にがっかりしていた方もいらしたかと思いますが、こうしてMarriage For All Japanによって明るく希望が持てるようなイベントが開催されたことで、元気が出たり、励まされたりした方もいらしたはずです。コミュニティへの「愛」があふれた素敵なバレンタインデーになりました。(なお、ろう者の参加者の方たちのために、モンキー高野さんのパートナーである高島さんらがずっと手話通訳をしてくれてました。おつかれさまでした)
今回のイベントは入場無料+1ドリンク付きという太っ腹な企画で(スポンサーさんに感謝)、さらに、ご来場の方にもれなく、明治と大日本印刷との共同で新デザインに生まれ変わった多様性へのメッセージが表現されたマーブルチョコレートも配布されました(素敵な取組み、ありがとうございます!)
今回上映された映画は、3月頃に何らかのかたちで公開されるそうです(ネパール編も撮影予定だそう)。お楽しみに!
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