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日本初のトランスマーチが開催され、約400名の当事者+アライの方々が新宿を行進しました

国際トランスジェンダー追悼の日に当たる11月20日(土)、日本初のトランスマーチ「Tokyo Trans March 2021」が開催され、約400名の当事者+アライの方たちが新宿の街を行進しました。

 11月20日(土)の国際トランスジェンダー追悼の日、日本初のトランスマーチ「Tokyo Trans March 2021」が開催され、約400名※の当事者+アライの方たちが新宿の街を行進しました。レポートをお届けします。 

※マーチが終わった後のスピーチでは正確な人数の発表はなく、「警察の方が少なくとも300人はいたと話していました」とのことだったのですが、その後、東京新聞の記事で主催者発表400人とされていましたので、400人に訂正させていただきます。実際それくらいの方が歩いていたと思います。


 トランスマーチは2004年にサンフランシスコで始まり、世界各地に広まっています。プライドパレードの期間中に(例えばプライドパレードの前日に)行なわれることが多いようです。アメリカでは毎年何十人ものトランスジェンダーがヘイトクライムによって殺害されている現実があります。トランスマーチは、コミュニティの結束力を高め、トランスジェンダーの人権課題の認知度を高めるために開催されるようになったものです(言い換えると、トランスジェンダーのプライドパレードです。ちなみにレズビアン・バイセクシュアル女性を中心とした「ダイクマーチ」も、以前から開催されてきました)
 台湾でも2019年に初めて、台湾同志遊行(Taipei LGBT Pride)の前日にトランスマーチが開催されました(昨年も開催されています)
 日本でもお茶の水女子大がトランス女性の入学を認めると発表した時からネット上でのトランス女性への攻撃が強まり、どんどん深刻化しています。さらに、コロナ禍で、当事者が集まったり相談に乗ってもらったり仲間を見つけたりすることができずに孤立しがちな状況が続いたり、実家にいて理解のない親とずっと一緒にいることによって苦痛が増したり、ただでさえ就職に困難がつきまとうのに(性別のことで落とされる方が多いことが明らかになっています)失業してしまうと新たな働き口を見つけるのが難しく、貧困状態に陥ってしまう方も少なくありません。医療アクセスに関する不安がつのったり、性別適合手術が受けられなくなるケースも相次いだり、様々な困難が複合的に強まっています(なかには絶望から自死を選んだ方も…)。そのような状況で、トランスジェンダーのプライドを掲げるパレードが行なわれることには、大きな意味があると言えます。
 初めは昨年3月に川崎のGID学会に合わせて開催を予定していましたが、コロナ禍で11月に延期となり、さらに延期となっていましたが、この11月20日、ようやく日本初のトランスマーチが実現しました。





 
 11月20日(土)、おだやかな小春日和の午後、紅葉がはじまっている新宿中央公園水の広場に参加者の方が集まり、14時にパレードが出発しました。
 キャストが乗るようなフロートではないのですが、トランスマーチのことについて英語+日本語でアナウンスしたり音楽を流したりする黄色い車が先導し、主催者の浅沼智也さん&畑野とまとさんが「TRANS PRIDE」の横断幕を持って先頭を歩きました。
 その後に本当にたくさんの方たちが続き、ピンク、水色、白のトランスジェンダープライドカラーを身に着けたり、フラッグを振ったり、プラカードを掲げたりしながら、歩きました。三橋順子さん、ジャンジさん、杉山文野さん、細田智也さん、仲岡しゅんさん(弁護士として)、時枝穂さん、青森レインボーパレードの共同代表の方、永野靖さん(弁護士として)、鈴木賢さん、松岡宗嗣さん、MR.GAY JAPAN主催のお二人、『片袖の魚』の東海林監督、サウザンブックスの古賀さん、ロンリネスブックスの潟見さん、ノーマルスクリーンの秋田さん、Fruits in Suits Japanのローレンさん、野村證券の北村さん、ジャーナリストでありHIV予防活動家でもある宮田一雄さん、LGBTの家族と友人をつなぐ会の小林りょう子さん…私が把握できているだけでもこれだけたくさんのLGBTQ+Allyコミュニティの方たちが参加していました。
 都庁前から青梅街道に出て、新宿大ガードをくぐり、歌舞伎町ではたくさんの人々の目に触れました。特にコールをする感じではなく、自由にのんびりと歩けるスタイルで、参加者のみなさんは友達としゃべったりしつつ、二丁目の新宿公園まで歩きました。




 新宿公園では、主催者の浅沼智也さん&畑野とまとさんがスピーチし、浅沼さんは亡くなったトランスジェンダーの友人のことに触れながら、生き延びて、また来年この場で会いましょう、と目を潤ませながら語りました。
 
 この1年に世界で375名ものトランスジェンダーがヘイトクライムによって殺害されたそうです。今回のトランスマーチの参加者も同じくらいの人数でした。こんなにたくさんの方たちが殺されたのか…と思うとやるせない気持ちにさせられますが、ほぼ同じ数の方たちが(なかには遠方から駆けつけた方もいらっしゃいました)追悼や支援の気持ちでパレードに参加してくれたことはありがたく、力強く、希望を感じさせることでした。

 参加者のみなさんはしばらく新宿公園で語り合ったり、旧交をあたためたりしていました。DRAGON MENでのアフターパーティはさすがに300人は入れないとのことでしたので、私は遠慮しましたが(aktaとプライドハウス東京レガシーに立ち寄りました)、行かれた方も多かったと思います。
 様々な事情でこの場に来ることができなかった方も、SNSで国際トランスジェンダー追悼の日について話したりしていましたし、マーチの様子の投稿を見て励まされたりした方もいらしたと思います。

 トランスジェンダーの方たちが少しでも「味方がこんなにいるんだ」と思えたり、自死を選ばなくても済むように、という願いが結集した、本当に意義のあるイベントだったと思います。主催者やスタッフのみなさんの思いや尽力に敬意を表するとともに、これからも連帯していくことを誓うものです。

(文・後藤純一)

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