FEATURES

レポート:道南はこだてレインボープライド

9月5日(土)、道南はこだてレインボープライドが初開催されました。道内からも東北などからもたくさんの方が駆けつけ、風光明媚な函館の街を晴れやかに行進しました。2026年後半のプライドシーズンの幕開けを告げるパレードの模様をレポートします

 台風シーズンでもあり(つい最近も青森で記録的な大雨となり)天気が心配されていたなか、パレードの日は(1年でいちばんのいい天気とおっしゃってた方もいたほど)暑いくらいの好天に恵まれ、150名を超える参加者のみなさんが、函館駅前やベイサイドを晴れやかに行進しました。

 12時過ぎに会場のはこだてグリーンプラザCブロック(函館駅から徒歩5分くらいの市民広場)に到着。すでに参加者の方が集まりはじめていました。大雨の影響で函館本線の一部が不通となっていて、札幌方面などから来られる方の足に影響があるのでは?とも心配されましたが、無事に到着されたようでした。
 
 12時半、オープニングイベントがスタート。最初に実行委員長の笠島さんから開会のご挨拶と注意事項の説明があり、それから、ボランティアスタッフのみなさんが前に出て、一言ずつスピーチ。(たぶん人手が足りなかったのを見かねて)東北のパレードの方がたくさんボランティアで参加してくださっていて、絆の強さを感じさせました。笠島さんの同級生のじゅりあんさんという方も、今回の諸々のデザインやいろんなところで頑張ってくれたんだそう(なんと麗しき友情…)



 道内外のプライド団体をはじめLGBTQ団体の方から一言ずつスピーチが行なわれました。北海道だけでなく青森、秋田、岩手、宮城、福島…東北中のプライドの主催の方たちが結集していて、胸熱でした。


















 その後、函館ゆかりの方を中心に、市議や道議などの政治家の方たちのご挨拶の時間が設けられました。主要な政党にすべて声をかけたそうですが、当日来てくださったのは中道改革連合、立憲民主党、公明党、共産党、社民党の方たちで、各会派ごとに一言ずつスピーチしていました(たいへん申し訳ないのですが、ここまでで結構なボリュームになってしまったので、政治家のみなさんの写真とスピーチは割愛させていただきます)
 
 メディア関係者の紹介の後、いよいよパレードに向けて整列が始まりました。スタート直前に「道南、どうなん?」というコール(かけ声)をみんなで練習。「Happy pride!」でも「We have pride!」でもなく、「道南、どうなん?」。シャレでもあり、実は地域の人たちに問いかけ、耳を傾けてもらう狙いも感じさせる、よく練られた斬新なコールなのではないかと思いました。
 

パレード!

 13時半過ぎ、最高の晴天の下、パレードがスタート!
 レディ・ガガの「Born This Way」やフレディ・マーキュリーの「I Was Born To Love You」、みんな知ってるJ-POP(とらつば主題歌の米津玄師「さよーならまたいつか!」だったり、函館出身のYUKIの歌だったり)がスピーカーから流れる先導車を先頭に、パレードは路面電車が走る駅前の大通りを進みます。
 笠島さんがマイクで、これはLGBTQの権利擁護のためのパレードです、とか、見えないかもしれないけれども函館にもたくさんのLGBTQが暮らしています、とか話したり、参加者から寄せられたメッセージを読み上げたり、実行委員の方にマイクを渡して語ってもらったり(ジーンとくるようなお話もありました)というかたちで行進しました。ときどき「道南、どうなん?」のかけ声も。
 函館駅のところで左折すると、右手には人気の屋台村「函館ひかりの屋台大門横丁」と函館朝市が並びます。概して沿道の方たちの反応はあたたかく、朝市で働いてる方が手を振ってくれたり、結構なご高齢の方が車から手を振って「頑張って!」と声をかけてくれる場面もありました。
 素敵なホテルやなんかを右手に見ながら開港通りをさらに進み、人気のスポット「金森赤レンガ倉庫」のほうに右折します。人力車のお兄さんがいた!と思ったら、目の前に函館港が広がり、素敵な光景にうっとり…。左折して海沿いを進み、最後に、急な坂を登って、元町公園にゴールしました(笠島さんがマイクで無理せずね、と優しい言葉をかけたりしてくれましたが、みんなでヒーヒー言いながら登りました)

























 元町公園で笠島さんが、締めの言葉として、地方だからしょうがないとよく言われる、私もあきらめたことがある、でも一人ひとりの思いをかたちにしたくてパレードをやりました、1曲目の『愛の讃歌』は尊敬するレズビアンの先輩が亡くなる前に最後に歌った歌だった、もうすぐ最高裁判決が出るけれども、もう同性婚実現に間に合わず亡くなったという知らせを聞きたくない、パレードがこの状況を変えていく一つのきっかけになってほしい、9/21の富山、9/28の札幌のパレードのみなさんも同じ気持ちだと思う、故郷を帰って来れる街にしたい、と語りました。本当にそうだよねと誰もが思うような、素晴らしいスピーチでした。拍手。



交流会・ブース出展

 元町公園から歩いて10分くらいのところにある函館市地域交流まちづくりセンターで15時から17時まで交流会・ブース出展が行なわれました。
 会場の中央にはテーブルと椅子が並べられ(お茶菓子とかも置かれ)、自由に座って話したりできるようになっていました。その周りを囲むように、各地のプライドの方たちや団体の方たちなどがブースを出展していました。








 昔懐かしい方とひさびさにゆっくり話せたり、前から会ってみたいと思ってた方にお会いできたりもして、とても充実した時間になりました。参加者のみなさんも思い思いにブースを見て回ったりおしゃべりしたりして楽しんでいらっしゃいました。

 
道南はこだてレインボープライドを振り返って

 こうして、2026年後半のプライドシーズンの幕開けを告げるパレードでもあった道南はこだてレインボープライドは、初回にして見事に成功しました(2026年下半期のレインボーイベントのスケジュールはこちら
 風光明媚な函館の街の人気スポットを巡るようなコースでしたし、とても素敵な、いいパレードでした。
  
 北海道だけでもかなりたくさんの団体の方たちが来られていましたが、道内だけでなく東北からも、しかも青森とかだけじゃなく福島からも来られていて(函館〜福島って東京〜神戸と同じくらいの距離ですよ)、東北ほぼ全県のプライドの主催者の方が集結していましたし、ボランティアスタッフとして働いてもいました。聞くと、笠島さんたちが東北のパレードに熱心に足を運んでいたので、そのお礼として、という気持ちもあったようです(ゲイバーのおつきあいとかもそうですが、そういう義理堅さって本当に大事ですよね)。東北六県のみなさんの絆の強さは以前から見てとれましたが、実はそこに函館も加わっていて、いわば第七の(隠れた)メンバーになっていたのかも、と思ったりしました。
 
 あまり個人のことに還元するのはよくないのかもしれませんが、それでも書き留めておきたいのは、これだけいろんな方が手伝い、サポートしてくれたのは、笠島さんの明るさや、どんな人とも親しく接する物腰のやわらかさ、人柄の魅力のおかげでもあったんじゃないかと思います。もちろん、笠島さんのLGBTQのことに対する真摯な思いが共感を呼んだということも言えると思います。
  
 オープニングイベントの最後に、取材する人たち(新聞社とか)が所属や名前を言って参加者に認知してもらう時間が設けられましたが、もともとは青森レインボーパレードでやっていたことでした。笠島さんは以前、青森の実行委員も務めていたので、そのDNAを受け継いでいるのだな、と気づきました。
 2014年にたった3人で歩きはじめた青森レインボーパレード。当時(まだ同性パートナーシップ証明制度も存在せず、世の中が今ほどフレンドリーじゃなかった時代です)、東京や名古屋・大阪・札幌以外の地方ではパレードってほとんどなくて、青森のような保守的な地域でパレードをやるってスゴいことだったのですが、その小さな一歩が次第に、どんどん共感を呼び、地方の方たちを勇気づけ、今では全国津々浦々、ほとんどの地域でパレードが行なわれるようになっています。笠島さんはそのリアリティを肌で体感しつつ、東北の各地のパレードに足を運び、絆を強めたり、いろんなことを学んだり感じたりしながら(実は函館ならではの複雑な事情や難しさがあったかもしれない)函館でのパレード開催という偉業を達成したんじゃないかと思います。
 
 笠島さんのような若くて人望に厚い(しがらみのない)活動家の方が現れたことはとても喜ばしいことです。これからの活躍にも期待します。
 
(後藤純一)

ジョブレインボー
レインボーグッズ