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レポート:レインボーフェスタ!2025(2)Day2

10月11日(土)・12日(日)に大阪の扇町公園で開催されたレインボーフェスタ!のレポートをお届けします。(2)は2日目のステージとパレードの模様です

ステージイベント(朝〜パレード出発)

 奇跡的に晴れた1日目とは対照的に、2日目は、あいにくの小雨模様でした。
 真ん中のテーブルと椅子が並べられたエリアのテーブルに水が溜まっていたのをボランティアスタッフの方が拭いてくださっていて(2017年のときの、地面にできた水たまりの水をスタッフの方たちがスポンジで吸ってバケツに絞っている姿を思い出しました)、本当に頭が下がる思いでした。
 
 10時過ぎ、ステージでは「セクマイ系しんがーでそんぐなふぁいたーでぱんだ狂」なmariPanさんのライブが行なわれていました。限りなくL寄りのBだそうです。パンダのかぶりものがかわいかったし、耳なじみのよい歌声が心地よかったです。mariPanさん、前夜のバナナホールのイベントでも24時過ぎにライブをしていて、きっと眠かったと思うのですが、朝からレインボーフェスタ!にふさわしいライブを届けてくれました。

 MCのあと、レインボーフェスタ!ではすっかりおなじみというかもはやレギュラーの感があるご当地アイドル「TEN6」のみなさんが…あれ?グループじゃなくて1人しか…と思っていたら、メンバーの1人が体調不良で来られなくなり、ソロライブになってしまったんだそうです。それでも全力でやり遂げてましたし、ファンのみなさんの熱い応援もありました。おつかれさまでした。


 KeNyo!さんが登場。2年前のこのステージで初めて拝見して、ゲイテイストなパフォーマンスに魅かれました。今回はオリジナル曲「みぎめ みみげ みぎみみ」のほか、大勢のダンサーさんたちと一緒に「This is me」を披露し、広いステージをめいっぱい使ったダンスパフォーマンスを見せてくれました。


 そして、「レインボーイベントといえばこの方たち」な虹組ファイツのみなさんが登場(ここで雨足が強くなってきてしまい、テントに避難…その関係で、遠くから撮った写真になってしまいましたが、ご容赦ください)。たぶん20年くらい前から全国のレインボーイベントを盛り上げてくれているゲイアイドルグループですが、今回は新しいメンバーも加わって、定番の「なんちゃって大奥」だけでなく新曲なども披露し、盛り上げてくれました。

 パレードまでに雨やんでくれるかな…という不安のなか、「お猿の森」さんの猿まわし、打楽器中心でサンバを奏でるチーム「ヂスペルタドール」のみなさんのライブが続き、12時半頃、パレードに向けた整列が始まりました。

 私も急いでごはんを食べたり(吉野家がキッチンカーを出してくれていたのがとてもありがたかったです。すぐ食べれます)トイレに行ったり、撮影に向けて準備をして、パレード出発地点に向かいました。


関西レインボーパレード

 13時、まだポツポツと雨が降っているなかではありましたが、今年も関西レインボーパレードが意気揚々とスタートしました。いつもはカンテレ前で撮影するのですが、雨を避けて、少し天六のほうに歩き、JR環状線の高架下まで移動しました。雨にも負けないパレード参加者のみなさんの笑顔や「ハッピープライド!」のかけ声に元気をもらえた気がします。

 第1フロート「RED」は日本イーライリリーが協賛。ヒルトンやアマゾンなどの企業やMix Rainbowなどの団体の方たちも歩いていました。





 第2フロート「FESTA!」はレインボーフェスタ!のフロート。全国のパレード主催団体の方たちや「にじいろかぞく」の小野春さんなど、いろんな方たちが歩いていました。思い思いの格好で参加する個人の方たちが多かった印象です。






 第3フロート「ORANGE」はベルシステム24が協賛。フロートにはエスムラルダさんとちあきホイみさんが乗っていました。Trandgender Japan、アライエス、ユニバーサルスタジオジャパン、JR西日本、伊賀市、性善寺、レインボープライドたからづか、ANAのみなさんなども歩いていました。








 第4フロート「YELLOW」はチェリオが協賛。尾辻かな子さん、ハピネスお茶会やMarriage For All Japanなどの団体のみなさん、セールスフォース、IBM、AIG、アワーズ(アドベンチャーワールド)のみなさんなども歩いていました。






 第5フロート「GREEN」はアクセンチュアが協賛。EXEO、パナソニックコネクト、デロイトトーマツのみなさんなども歩いていました。




 第6フロート「BLUE」は協賛のパナソニックインダストリーのみなさんが歩いていました。



 第7フロート「NAVY」はLGBT-Allyプロジェクト(OUT JAPAN)が協賛。フロートでは東郷潤さん&結香さんがハイテンションに盛り上げていました。三洋化成、大同生命、京セラ、明治、ダイナム、資生堂、タイ政府観光局、Tsunagary Cafe、積水ハウス、高島屋のみなさんなども歩いていました。






 第8フロート「PURPLE」はW OSAKAが協賛。マリオット系列のホテル(WやAloftなど)、アストラゼネカ、三井住友トラストなどのみなさんも歩いていました。




 そして最後に撮影禁止の「PINK」のフロートがありました。カメラを下ろし、数十人の参加者の方たちに手を振って見送りました。

 パレード中、沿道の人やパレード参加者に小さなレインボーフラッグを配ってる方がいて、沿道で応援する人がレインボーフラッグを振ってるだけでパレード参加者の方たちもパーっと笑顔になったり手を振り返したりっていうのがあって、すごくいい取組みだなぁと思ってました。で、パレードが終わってから「おつかれさまです。スタッフの方ですか?」と声をかけてみたところ、そうではなく、毎年、身銭を切って500本も用意して配ってるんだそう(頭が下がります)。JOYSTICKさんという方で、関パレには最初から参加していて(その前は東京のパレードにも参加していたそうです)、初めは歩きながらレインボーフラッグを配っていたけど、扇町公園に移ってからは、この場所でレインボーフラッグを配るようになった…けれども、還暦になるのを機に今年でこの活動を終えられるそうです。これまで本当にありがとうございました。

 扇町公園に戻ると、最初のほうに出発したフロートが公園に戻って来ているタイミングでした。ある若いスタッフの方が、帰着する方たちの100m先から「おかえりなさーい!」と叫んで、他の方も道の両端に立って手を振って出迎えていて。なんだか胸が熱くなりました(そういえば、関パレでは最初からこの「おかえりなさい」をやっていたと思い出しました。今でもこうやって出迎えてくれていること、本当に素晴らしいです)



ステージ(パレード後)

 そうこうしているうちにステージでエスムラルダ&ちあきホイみさんのライブが始まりました。八方不美人をプロデュースする及川眠子さんの代表曲の一つであるWinkの「淋しい熱帯魚」を二人でパフォーマンスした後、それぞれの持ち曲を披露し(エスムさんの「蒼いディスタンス」もホイみさんの「純愛ごっこ」もすごくよかったです)、最後に(大阪だから、ということもあるのでしょう)和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」を熱唱、という、実にサービス精神満点なライブでした。幸い、この頃には雨も上がっていました(エスムラルダさんのパワーのおかげかも)


 続くゲストは昭和歌謡の魅力を現代に伝えるものまね芸人・りょうさん。男性だけど女性演歌歌手のものまねをやっているという、ドラァグにも通じる方です。小林幸子さんやら八代亜紀さんやらちあきなおみさんやらを次々に披露。本当にそっくりだし、歌上手いし、めっちゃ楽しかったです。美川憲一さんになった時はステージ下に降りてきて観客とハイタッチ。アンコールのかけ声は自分で音源を用意(笑)。プロフェッショナルなショータイムでした。ブース出展してた岸和田の助産師さんがこの時だけはステージ前に来てノリノリで楽しんでたり。みんなを元気にする素晴らしいショーでした。毎年出てほしいと思いました。



 ここで天道清貴さんが登場。今年でデビュー25周年という節目を迎え、御殿場で18日に「YOUR FES 2025」というフェスを開催することになっていました。ご自身のイベントの前の大事な時期に、大阪に来てくれて、変わらぬ歌声で、思いを込めて歌ってくれて。清貴さんのライブは、いつ聴いても、感動させられます。今回はバックコーラスのみなさんだけでなく、ヂスペルタドールさんも一緒にステージに上がったりしていました。ライブ後、サプライズで実行委員長の桜井さんから25周年を祝うお花と記念品が贈呈され、清貴さんもうれしそうでした。


 そして、今年の大トリをつとめるゲスト・堀ちえみさんが登場しました。ものすごい、生死にかかわるような苦労を乗り越えて、歌手としても復帰して、このステージに立っているということを思うと、それだけでも胸が熱くなる思いでしたが、レインボーフェスタ!に合わせてちゃんとレインボーカラーをあしらったドレスを着て登場してくれて、MCで『スチュワーデス物語』のときのあの「教官。私はドジでのろまなカメです」というセリフを言ってくれたり(まさか、生で聴ける日が来るとは…)、個人的にいちばん好きな「リ・ボ・ン」も歌ってくれて、本当に感激でした。生きててよかった…と思ったし、悩んでいた中高生の頃の自分に「頑張って生きてたら、いつかちえみちゃんに会える日が来るよ」と教えてあげたい、と思いました。(※撮影NGだったのですが、ライブ終了後に「まあいっか」と言って撮影をOKしてくれました。神対応)


 フィナーレとして、バルーンリリースの代わりにカラフルなハンドクラッパーが配られ、みんなでパタパタ鳴らしました。
 最後に実行委員のみなさんがご挨拶して(桜井さんが感極まっていて、こちらももらい泣きしそうに)、みんなで集合写真を撮って、お開きとなりました。
 
 

2日間を振り返って
 
 大阪のレインボーフェスタ!は、(今回「PluS+ 」と同じ、道に面した側にステージが設けられていたこともありますが)2000年代のパレードや「PluS+」のようなコミュニティ感や手作り感、アットホームな温かさや感動があるし、関西に住むいろんな人たちと年に一度この場で会えるのも楽しみで。今回は、あらためて、仲間に会える場所、連帯を強める場でもあると思いました(温かく接してくださったみなさん、ありがとうございました)
 まだ1日だけの開催だった時代、ステージにまだ屋根がなかった時代から通っている人としては、2日間開催となり、ゲストも豪華になり、とだんだん進化を遂げていくのも感慨深く。(2022年には島谷ひとみさん、23年には酒井法子さん、昨年は愛内里菜さん、そして今年は堀ちえみさんのようなすごい方が来てくれました)
 
 出展ブースとかも、ちゃんと地元の当事者や支援者の方たちが協賛してブースを出してて、たぶん自腹を切ってでもレインボーフェスタ!に参加しようと思う、その心意気の集まりなんだろうな、と思いますし、ボランティアスタッフのみなさんが雨水で濡れたテーブルを一生懸命拭いてたり、パレードを歩いて公園に帰ってきた方たちに100m先から「おかえりなさい!」と迎えたりしている様子にも胸が打たれましたし、レインボーフェスタ!がLGBTQの生きやすい社会になるように、という願いや、性の多様性を祝福しよう、という趣旨のコミュニティイベントだということをみんなが知ってて、そうやって自分ができることを少しずつ持ち寄って、いいイベントになるよう、笑顔で、気持ちよく参加してる感じがします。そういうみんなの心意気や温かさが結集して実現する祝福の空間。ちえみちゃんとか出演者のみなさんもそうです。スタッフ、キャスト、協賛のみなさん、本当にありがとうございます。

 多くのみなさんは、性的マイノリティ(クィア)であるがゆえの生きづらさを多かれ少なかれ感じながら生きてきたと思いますが(たとえ今は感じていないとしても、過去のどこかの時点では感じてきたはず)、このレインボーフェスタの時だけは、誰にもとがめられたりせず、祝福され、自分らしくいられます。誰しも、日頃仕事がしんどかったり、失恋を経験したり、いろんなつらいこともあると思いますが、この晴れやかでハッピーな空間が元気にしてくれます。ここに来れば会える友達や仲間もいて、なんだか同窓会みたいだし、新たな出会いもあるかもしれません。そういう場として、当事者も、アライの方たちも、みんながハッピーを感じられるイベントです。
 
 そんなレインボーフェスタ!は来年、(関西レインボーパレードとしてスタートした2006年から数えて)20周年を迎えます。きっと来年も盛大に、でもレインボーフェスタ!らしさはそのままで、アットホームなイベントとして開催されることでしょう。楽しみです。

(後藤純一)

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