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レポート:名古屋レインボープライド2025

5月17日に開催された名古屋レインボープライド2025の模様をVENさんがレポートしてくれました。今年は初めて2会場開催になり、ステージイベントが終わったあとにサテライト会場で「プライド&ライト」が開催されたりもしました

 2025年5月17日(土)、名古屋市の中心部で今年も名古屋レインボープライド(NRP)が盛大に開催されました。同じ日に秋田では「秋田プライドマーチ」が、大阪では「プライドクルーズ大阪」も開催されました。5月17日はIDAHOBITの日でもあり、2011年に「やっぱ愛ダホ!in名古屋」のミニパレードを歩いた時のことが浮かんできて感慨深かったです。 
 コロナ禍でのオンライン開催を除けば5回目となる今年のNRPは、初めて「オアシス21銀河の広場」「久屋大通公園シバフヒロバ」の2会場で開催されました。
 
 前日の天気予報では「愛知県内は災害級の雨になるところもあるでしょう」と言われていました。当日も準備段階では激しい雨が降っていたそうです。10時過ぎに会場へ到着したときは、雨は弱くなってはいたものの、傘がないと濡れるような感じでした。ステージではリハーサルが行なわれており、各ブースは準備で忙しそうでした。10時半にNRPがスタートした頃には、幸い、雨も小降りになっていました。

 まずはメイン会場「オアシス21銀河の広場」の出展ブースを紹介します。



























 続いてサテライト会場「シバフヒロバ」のブースです。



 その他、お伺いできなかったブースも紹介します。
 ASTA・名古屋あおぞら部、中日新聞&LEGOLAND Japan、行政書士と手づくりお菓子、PrideMeansMore(アクセンチュア)、」キトコノ(キッズスペース)、ヴィラジュニシムラの「甘いけどしょっぱい」、元祖鯱もなか本店、KINARU(調香体験)、灯りの専門店GROWCONNECT、Hana Hana(皮小物)などバラエティ豊かなブースが出展されていました。
 今年はキッチンカーも登場。キッチンカーカメレオンではりんご飴、ロングポテト、ロングチュロス、手羽先を、カレーハウスCoCo壱番屋ではカレーを、LOUKOMA TRUCKでは焼きそば、レインボーケーキ、レインボーかき氷、レインボードリンクのほかフラッグや小物も販売していました。

 10時30分、今年もレインボーブラスのみなさんによる吹奏楽でNRPが幕を開けました。息の合った演奏とカラーガード(フラッグパフォーマンス)のおかげで幸先の良さを感じさせるオープニングとなりました。演奏後、共同代表のライラ・グレイルさん、樹梨杏さん、後藤彩仁さんが登場し、開会のあいさつをしました。雨も小降りになり、安心している様子でした。



 各方面で活躍しているパフォーマーがNRP2025のために集まって結成した「COLORs」のみなさんがパフォーマンス。雨雲を吹き飛ばす勢いのステージを見せてくれました。最後には、会場も巻き込んでのダンスタイムとなりました。


 アクセンチュア株式会社、チェリオグループ、大橋運輸株式会社、デロイト トーマツ グループというステージ協賛企業のみなさんがスピーチしました。

 続いて、プライドハウス東京の村上愛梨さんがスピーチ。2026年名古屋市で開催のアジア大会に向け「プライドハウス愛知・名古屋2026」の設置を計画中とのことです。楽しみです。

 レインボーフェスタ!やNLGR+などにも出演している「ReSTA*」のみなさんがパフォーマンス。Mrs.GREEN APPLEなど人気のJ-POP楽曲のカバーを歌ってくれました。

 長きにわたって全国のレインボーイベントを盛り上げてくれている「虹組ファイツ」。今回は東海メンバーのみなさんがオリジナル曲を元気に歌って踊ってくれました。ラストはおなじみ「なんちゃって大奥」でした。NLGR+にも参加するそうです。

 いよいよパレード出発が近づいてきました。出発式が行なわれ、MCの方から注意事項などのアナウンスがありました。

 なお、パレードが行なわれている最中も、歩くのをためらったりブースのお留守番で会場に残っているような方たちのために、Vocalist石崎旭さん、アクラル・カビーラのみなさん(ベリーダンス)、Your mail Isのみなさん(ダンス)、mariPanさん(弾き語り)、Kingly’s.from studio G.O.A.Tのみなさん(ダンス)がステージでパフォーマンスしてくれていました。
 
 
 今年のパレードはシバフヒロバ側で受付を行ない、整列や出発もこちらになっていました。
 マスコミの方もたくさん来ていて、先頭あたりに集まっていました。
 また、今年はフロートの数も増えて規模もさらに大きくなりました。チェリオカーが先導するフロートが5つ、DJやドラァグクイーンが盛り上げるトラックのフロートが2つありました。フロートごとに救護班のみなさんがついていらっしゃいました。
 13時になり、いよいよパレードがスタートしました。スタートの合図は「Happy Pride!」でした。
 先頭は「プライドフロート~誇りを高々と掲げよう!~」。3名共同代表が横断幕を持ちました。ライラさん、樹梨杏さんのお召し物が今年も素敵でした。その後に続いて札幌、京都、大阪、和歌山(那智勝浦)など全国のプライド団体の方々がそれぞれのフラッグを持って歩きました。風になびくフラッグが鮮やかでした。本当はレインボーブラスのみなさんが先導する予定でしたが、雨のため中止となり、共同代表とプライド団体のみなさんが先頭を歩くことになったそうです。音楽はありませんでしたが、さびしさを感じさせないくらいのインパクトでした。スタートしてすぐの沿道ではアクセンチュアの方々がフラッグやタオルを持って「Happy Pride!」と大きな声で応援してくれていました。カラフルブランケッツのみなさん、積水ハウスのみなさん、名鉄ホテルのみなさんなども歩いていました。「いっしょに法律を変えよう」「HAPPY PRIDE」といったプラカードを持った方もいらっしゃいました。街の反応も良く、バスの中やお店の中、沿道から手を振ってくれる人もたくさんいました。










 続いて「東海フロート~わたしたちはここにいる~」。東海地方の自治体や大学のみなさんがたくさん歩いていました。先頭ではフラッグを持った方々がマイクでアピール。その後ろにはサンゲツのみなさん、豊田市ジェンダー平等推進センターのみなさん、犬山市の原欣伸市長(住民票表記を「未届」を望んでいる人が一人でもいるのなら「未届」表記にしましょうとおっしゃった市長)と多様性社会推進課の方々、木もれ陽@犬山の方々、ハピネスお茶会の方、中京大学の風間教授や生徒さん、椙山女学園大学、愛知県県立大学のみなさん、にじいろリハネットのみなさん、エクシオグループのみなさんなどが歩いていました。中京大学のみなさんの「中京大学は性に関する本人の意思を尊重します」と書かれたプラカードが印象的でした。







 続いて「MFAJフロート~結婚の自由をすべての人に~」。先導するトラックにはドラァグクイーンのみなさんが乗って沿道へマイクアピールしていました。NTT西日本の方々、マリフォー関係や支援者の方々、一般社団法人あすにはの方々、LGBTサポート協会の方々、西三河レインボーフラッグスの方々、高浜市議議の柴口征寛氏などが歩いていました。高裁判決を受け、「はよ 立法しよまい」「結婚するかしないかは、自分で選びたい」「いっしょの法律を変えよう」など同性婚法制化に関するプラカードや、「2人とも改姓しない選択肢を!」「わたしのなまえは わたしのもの」「別姓の実現を!選択的ふうふ」というのぼりを持った方もいらっしゃいました。「ふうふ」という異性間だけはないというメッセージが素敵でした。






 続いて「トランスジェンダーフロート~ヒューマンライツ!~」。Transgender Japanのみなさん、司法書士会のみなさん、資生堂のみなさんなどが歩いていました。






 続いて「ユースと手話のフロート~未来へつなぐ!~」。名古屋あおぞら部のみなさんが書いた寄せ書きを車体に飾った先導車の後ろを、名古屋男装イケパラアイドルグループ「Otto」のメンバーがマイクアピールしながら歩いていました。LGBT-Allyプロジェクトのみなさん、三洋化成の社長や社員のみなさん、三菱のみなさん、明治のみなさんなどが歩いていました。教員の方でしょうか、「職員室にもいるよ‼」というプラカードもありました。






 続いて「クィアフロート~ちがいをちからに!~」。先導のトラックにはステージのMCをしていたバナナブロッサムさん率いるドラァグクイーンの方々が乗っていました。マイクアピールも素晴らしかったです。「僕らの移住生活」の方、岐阜県パートナーシップ宣誓第1号のカップル、「LGBTと友人をつなぐ会」の浦狩さん、「ダイバーシティラウンジ富山」のなかがわさん、「ALLYES」のみなさん、家や不動産の方、全国のパレードでおなじみの方々が歩いていました。「ALLYES」はALLY1000万人プロジェクトに挑戦中ということで、そんなのぼりを持っていました。心強く感じました。




 続いて「ダイバーシティフロート~あゆみを止めない!~」。先導カーの後ろでは虹組ファイツのみなさんがマイクアピール。ぷれいす東京のみなさんは「LGBTをつなぐコンセント」というメッセージともに「U=U」や「コンセントプロジェクト」をアピールしていました。デロイト トーマツのみなさんはお揃いの黒いTシャツを着てフラッグを持って歩いていました。




 続いて「インターナショナルフロート~フィナーレを飾ろう!~」。外国人の方がたくさん歩いていました。ホテルインディゴ犬山のみなさん、アクセンチュアのみなさん、チェリオのみなさん、ヒルトン名古屋のみなさんなども歩いていました。とにかくみなさん明るく元気でした。途中、沿道の人とハイタッチもしていました。
 最後尾を歩いていたボランティアスタッフの方は、ゴミを拾いながら歩いていました。





 パレードコースは昨年より長くなり、約3キロの道のりを歩きました。途中、雨が降ったり止んだりもありましたが、大きな天気の崩れはなく、全てのフロートがオアシス21にゴールしました。

★パレードのフォトアルバムはこちら
 

 オアシス21銀河の広場に戻ると、ステージ上では、シドニーで活躍していたDJ Shigekiさんが洋楽から邦楽まで幅広い選曲で盛り上げてくれていました。

 後半のステージイベントが始まりました。まずは、浜崎あゆみさんや安室奈美恵さんのMVにも出演歴があり、今は北九州を拠点に活動しているCHESANさんがポールダンスを披露。しなやかさと力強さが競演しているような素晴らしいダンスでした。

 それから、急遽MCのバナナブロッサムさんがクイアフロートに乗っていたドラァグクイーンをステージに上げて、ミニトーク。パレードに参加した感想などを聞いていました。

 JAPAN PRIDE NETWORKのみなさんがスピーチ。札幌、京都、大阪、和歌山(那智勝浦)の団体の方が登場しました。

 関西のハロプロ楽曲オンリーダンスカバーグループ「H-Pag!」のみなさんが登場。最初に研究生「エイチパグエッグ」のみなさんが登場し、途中からH-Pag!のみなさんも一緒になってパフォーマンスを披露し、楽しませてくれました。NLGR+にも出演するそうです。そしてH-Pag!は今年8月で結成20周年を迎えるそうです。すごいですね。

 続いては、音楽活動も始めたさつきぽんこと西原さつきさんが登場し、オリジナル曲「星物語」を聴かせてくれました。お母様も会場にいらしていました。

 松岡宗嗣さん、水谷弁護士(「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟弁護団)、村上愛梨さん、さつきぽんさんによるトークショー。裁判の行方、アジア大会に向けてなど旬な話題を堅苦しくないトークでわかりやすく解説してくれました。

 続いて、IZ★MANのみなさんがパフォーマンス。キレキレなダンスに会場も沸いていました。とても楽しかったです。ちなみにMCのバナナさんは元メンバーだったそうです。

 続いて「Nagoya Sing For Life Singers」のみなさんが素敵なゴスペルを聴かせてくれました。力のこもった歌声に吸い込まれそうでした。この流れでメンバーのSARIさんがステージ中央に登場し、NRPのテーマソング「心に君の花を」を歌い、共同代表やスタッフ、演者のみなさんもステージに上がって大合唱。ライラさんは手話を交えて歌っていました。


 共同代表の3名が閉会のスピーチをしました。昨年はパレード後に体調不良を起こし、エンディングに立ち合えなかった後藤彩仁さんが、今年は立つことができて良かったと話していました。最後はみんなで「Happy Pride!」と言って締めくくりました。



 今年のNRPは、これで終わりではありません。
 サテライト会場のシバフヒロバで、中野泰一氏がプロデュースした「プライド&ライト」が開催されました。キッチンカーが並び、飲み食いしたり話したりしながらゆったりした時間を楽しめました。レインボーカラーにライトアップされた中部電力MIRAI TOWERとのコラボもきれいでした。



 それから、アフターパーティとして「ゴルベス」「with ME」「METRO OROCHI」というクラブイベントも3会場で開催されました。

 
 実は取材中、こんなことがありました。
 ステージの写真を撮っていたら、アライのフラッグを持っていた若者から「初めて来たんですけど、LGBTQ+の人たちに自分ができることはなんですか?」と聞かれました。近くにいた友達らしき若者と一緒に来たようです。
「こうやってフラッグを持って、ここに来ていることが心強いですよ」と私は答えました。
 パレードの参加を迷っている様子でしたが、参加方法だけ説明して、「沿道で見るという参加もありますよ」と一言伝えて、私は次の取材へ行きました。
 パレードが始まり、沿道で撮影していると、その若者がパレードの中にいました。笑顔で手を振ってくれました。心が温かくなりました。
 ちなみに、パレードの中にその若者を見つけることができたのは、その若者の友達らしき人が、「あっ!さっきのおじさんだ!」と私に向かって叫んだからです。「お.じ.さ.ん???」 一瞬戸惑いましたが、この人たちからしたら「おじさん」なんだろうな、と思い知った瞬間でした(笑)


 こうして2025年の名古屋レインボープライドは無事終了しました。年々、規模が大きくなっていき、参加者も増えています。来年もさらに大きくなることでしょう。
 みなさん、来年もまた名古屋でお会いしましょう。

(取材・文:VEN)


VEN
岐阜県在住のゲイ(50代)で、1994年の日本初のプライドパレードから現在に至るまで、全国で開催されるプライドパレードのほとんどに参加し、自身のPRIDEを示しながら地方のパレードも応援してきた方で、その参加回数は100を超えています(おそらく日本一)。2006年の第10回レインボーマーチ札幌のステージでは、全10回に参加したとして「皆勤賞」を授与されています。「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」や「性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクション」にも参加しています。2023年6月21日の朝日新聞「ひと」にも登場しました。

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