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レポート:東京トランスマーチ2025
11月22日、東京トランスマーチ2025が5回目を迎え、3年ぶりにブース出展やステージイベントもあるかたちで開催されました。レポートをお届けします
トランスマーチはトランスジェンダーの可視化や固有の社会的課題の解決を目指し、トランスコミュニティの結束力を高めるために1997年にパリで初めて開催され、以後、サンフランシスコやトロントなど、世界各地で開催されるようになりました。台湾もそうですが、多くはプライドの期間中に開催されます。日本では、ネット上でのトランスヘイトの激化やコロナ禍による当事者の孤立化などでトランスジェンダーの人々の命の問題が深刻化したことを受け、TransgenderJapanの方たちによって2022年に初開催されました。
【これまでのレポート】
レポート:約400名が参加した日本初のトランスマーチ
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/features/2021/19.html
レポート:東京トランスマーチ2022
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/features/2022/48.html
レポート:東京トランスマーチ2024
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/features/2024/36.html
11月22日(土)、よく晴れてうららかな小春日和となったこの日、紅葉が美しく色づいた新宿中央公園に続々とトランスコミュニティのメンバーの方たちやアライの方たちが集まってきました。水の広場には、3年ぶりにたくさんのブースが並び、ステージも出現しました。
はじめに出展ブースをご紹介します(全部でなくてすみません)
今回はマルイが協賛してくれました。マルイは10年近く前からトランスジェンダーなどの就活生に性自認に合ったスーツを着られるような取組みを展開したり、TRPにも多大な協賛をしてくれたり(渋谷のMODIがレインボーになったこともそうですし、2018年には渋谷駅前からパレード出発地点まで数百名分のOUT IN JAPAN写真のバナーが並び、感動を誘いました)、新宿三丁目のマルイメンが1階にレインボーフラッグを掲げたり、TOKYO LOVE PARADEのアフターイベントとして会場提供してくれたり、そのLGBTQコミュニティ支援の例は枚挙にいとまがありません。今回はトランスマーチに際してマルイ本館・マルイアネックス・マルイメンでトランスジェンダーミニフラッグを掲げているそうです。
FTM GOGOとしても活躍してきたYOSHIYUKIさんがいらっしゃいました。Binders Japanというトランスジェンダーやクィアをフィーチャーしたアイコニックなアイテムを展開するブランドのブースで、「They/them」などのプロナウンをデザインしたり、トランスジェンダー・プライド・フラッグのカラーリングをロゴ化したり、素敵なラインナップでした。
かれこれ20年以上も発行され続けているFTMマガジン『LapH(ラフ)』。今やゲイ雑誌も全てなくなり、LGBTQの雑誌(紙媒体)がほとんどなくなってしまったなか、毎号15~20人のトランス男性を取材し、その魅力をファッション誌のような誌面で紹介しているそうです(その大変さはよくわかります。頭が下がります)
Xジェンダー、ノンバイナリーの方もはきやすいアンダーウェアを展開する「Aixx's(エクシス)」のブース。「ユニセックス」ではなく、自認性が典型的な男性/女性に当てはまらない方が手に取りやすいようなアイテムを、当事者の方が開発し、販売しています。素敵です。
「G-pit」のブースでは、お菓子のつかみどりをやってました。性別も年齢も関係なく誰でも楽しめる企画で、とても盛り上がってました。
かれこれ20年くらいレインボーアクセサリーを手作りし、パレードや映画祭でブース出店し続けてきたniji-depot。今回、ぐみさんが体調不良のためお休みしていて、うめさんが寂しそうにしていました(ゲイのお手伝いさんが頑張ってました)
10年前に芸能人どうしでの初の同性結婚式を挙げたことで有名になった一ノ瀬文香さんが二丁目で開いている異セクシュアリティ交流bar「香まり」が、今回初出店していました。一ノ瀬さん、とても素敵な方なので、みなさんぜひ会いに行ってみてください。
今週末に「結婚の自由をすべての人に」東京二次訴訟の判決を控えた「Marriage For All Japan」のみなさん。本当におつかれさまです。
Queer Publisher's Projectのブース。LGBTQ(クィア)関連の良質な書籍を翻訳してどこよりもたくさん届けてくれているサウザンブックスも参加していました。
HIV陽性者支援の活動で知られるぷれいす東京のみなさん。TOKYO AIDS WEEKSの忙しいときに出展。U=UやPrEP、コンセントプロジェクトのことなどもお知らせしていました。
それから、小林りょう子さんが席を外してしまい、戻って来られたお写真を撮らせてくださいと言って、結局タイミングを逸して写真を撮れなかったのですが、「LGBTの家族と友人をつなぐ会」もブース出展していました。そこにいらした方のお話によると、最近は当事者の子を持つ親御さんがずいぶん若い世代になっている、人々の理解は進んだものの、自治体や学校側の対応が柔軟でない地域もあり、そこが課題になっている、とのことでした。
午前11時、司会のよだかれんさんと安藤奏汰(MAGU)さんがステージに登場し、会場に明るい声を響かせました。
初めに代表の畑野とまとさんがご挨拶。来場のみなさんや協力者のみなさんへの感謝を述べ、イベントを楽しんでくださいとしつつも、今年もすでに365名のトランスジェンダーの命が(自死も含めて)望まない形で失われたということに言及し、今日ここに来れなかった人たちにも思いを馳せましょうと語りました。
数々のクィアのイベントで活躍してきたDJのMiZUK!さんによるDJタイム。アリアナの「Break Free」とかカイリーの「All the loveers」とかアガる曲をたくさんかけてくれました。ずっとクラブミュージックが鳴ってるプライドイベントっていいですね。
続いて、韓国で初めてトランスジェンダーであることをカムアウトして活動する弁護士の朴韓熙(パク・ハンヒ)さんが来日し、急遽スピーチをしました。初めてトランスマーチに参加できて光栄です、韓国のコミュニティから日本のコミュニティへの連帯を、韓国でも性別変更に手術が必要で、同性婚ができない、本当の自分として生きられないというのは日本に似ています、ヘイトが激しく、主に保守的キリスト教の人たちですが、その主張が嘘であること知ってますよね、性別変更のために手術を強制することが違憲だとする判決も地方から出ています、共に闘う人が大きな勇気を与えます、韓国でもトランスマーチがあります、この街にいるということを示すために歩きます、「叩けば叩くほど私は響く」という言葉があります、全ての人が幸せに生きられるようになるまで力強く歩みを続けましょう、といったお話しでした。
2年連続でミスインターナショナルクイーンの代表に選ばれた椎名理火さんが、日本舞踊のパフォーマンスを見せてくれました。中島美嘉さんの「花束」などの曲を使ったとても美しいパフォーマンスでした。演じ終わった後のMCで、体調を崩していて、今回が復帰パフォーマンスとなったと、途中、涙が止まらなかったと語っていらっしゃいました。青空の下でたくさんの方の前で披露できて感無量です、とも。

流星瞬さんは、以前はあゆの歌をカバーしていましたが、今回は西原さつきさんが作った初のオリジナル曲を披露しました。11月29日にBDライブを開催するそうです。
イシヅカユウさんと西原さつきさんがコラボしてライブを披露。イシヅカさんが書いた歌詞に西原さんが曲をつけたという「真夜中の光源」という曲で、R&Bのサウンドが心地よい、素敵な歌でした。俳優/モデルとして活躍するイシヅカさんですが、初めて歌も聴けてよかったです(結構緊張していらっしゃいました)
13時にマーチに向けて移動が始まりました。角筈橋が出発地点になっていて、みなさん、そちらに向かいました。13:30、いよいよマーチがスタート。フロートには美しい華魁のいでたちの蝶羽さん、美羽さん(よだかれんさんがダンサーだった頃に一緒に踊っていた方たちだそう)、ドラァグクイーンのラビアナさん、FTM GOGO/DANCERのSHOW-1さんらが搭乗し、とまとさんがDJで盛り上げ、ときどきマイクでも「素敵な仲間たちと一緒に歩いています」といったアナウンスをしていました。たぶん500名近い方たちが歩いていたと思うのですが、後ろの方では「We're already living together」「一緒に生きよう」などのコールをしていました。
マーチは甲州街道をゆっくり進みます。警察官の方たちも親切でした。万が一トランスヘイターなどの妨害があったときにも対応できるよう、アライの男性たちがたくさんスタッフとしてマーチについていました。おそらく当事者の方で、マーチには参加せず、伴走しながらトランスカラーの旗を振る方などもいました。
ルミネやバスタ新宿のある新宿駅南口のあたりや、明治通りの伊勢丹のあたりでは大勢の人たちがいて、歩くほうは笑顔で手を振ったりなどしていましたが、しげしげと見つめる方もいれば、手を振り返してくれる方もいたり、さまざまなリアクションでした(たぶんゲイじゃないかと思われる外国人の方が応援してくれたりもしました)。靖国通りでは三車線の真ん中を歩いたりもして、参加者のボルテージも上がっていました。
たくさんのアライの方たちが来られていました。全国各地のプライドに参加している、関西から来られた方とお話する機会があったのですが、当事者というのはマイノリティの人たちではなくマジョリティのことだ、我々が社会を変えなければいけないんだという思いで参加するようになったそうで、ちょっと感動しました。トランスマーチは参加者の多くがアライだと思いますが、アライの真髄のようなお話を聞けた気がしました。
ゴール地点では「にじいろかぞく」の小野春さんらがおかえりなさいのお出迎えをしてくれました。



































帰着後、MCのお二人がお話して、フロートに乗っていたキャストのみなさんが戻ってきたところで集合写真を撮り、後半のステージイベントが行なわれました。(懐かしのTRPの公式キャラクター、トビーも来てくれてました)
YouTubeで「登録者数が1万人を超えたら性別適合手術を受けたいどなたかをタイへ連れて行く」と宣言しているFTMラジオりょうさんが、仙台から、仕事を蹴って来てくれて、本当に少ししか反応がなかった頃から始めて、いろんな人に支えられて今がある、私もつらい思いをしている方を支えたい、とスピーチしていました。
Xジェンダーのための会員制サークル「label X」の方のスピーチ。こういう格好で会社員をしていて、日々の生き方が活動です、と語り、その後、「台湾ノンバイナリークィアスラッツ」から届いたメッセージを読み上げました。台北のトランスマーチには3500人が参加した、私たちは存在している、特別ではない、ずっとここにいるということを伝えられた、アジア社会は似たような課題を抱えていると思う、台湾でもまだ変えるべきことがある、可視化は社会を変える、マーチやコミュニティのおかげで一人じゃないと思えた、「we’re here. you’re not alone.」…素晴らしいメッセージでした。
ステージイベントのトリを飾ったのは、今年の東京プライドにも出演していた西原さつき+ねこねこダンサーズのみなさん。ねこの振付を練習して、会場の観客のみなさんも一緒に踊ったりして、盛り上がりました。
浅沼智也さんがクロージングの挨拶をしました。勾留中、トランスへの剥き出しの偏見に晒され、辛かったということ、それでもここに再び立っている、帰って来ていいんだよと言ってもらえたことがどれだけうれしかったことか、こうして集まれるのは「当たり前」などではありません、日本でも無理解や暴力があふれています、と語り、そして「今日まで生き延びてくれてありがとう」「あなたの存在そのものが勇気です」「来年ここでまた会いましょう」「今日ここに来られなかった人たちのことも忘れません」と締めました。大きな拍手や声援が送られました。
最後にもう一度「We are here!」を一緒にコールして、お開きとなりました
- INDEX
- 「結婚の自由をすべての人に」九州訴訟二審・福岡高裁判決の意義
- レポート:ピンクドット沖縄2024
- レポート:高知にじいろパレード
- レポート:「トランスジェンダーを含むLGBTQ+差別に反対する映画監督有志の声明」掲出プロジェクトに関する会見
- レポート:東京トランスマーチ2024
- レポート:みやぎにじいろパレード2024
- レポート:「work with Pride 2024」カンファレンス
- レポート:やまがたカラフルパレード
- 来年ワシントンDCで開催されるワールドプライドについて、Destination DCのエリオット・L・ファーガソンCEOにお話を聞きました
- レポート:レインボーフェスタ!2024(2)


