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レポート:名古屋レインボープライド2022

5月14日(土)、名古屋レインボープライド2022が3年ぶりにリアル開催されました。見事な晴天に恵まれ、栄の「オアシス21」という一等地を会場に、祝福感、高揚感、感動に満ちた素晴らしいイベントになりました。

2022年5月14日(土)、栄の「オアシス21」銀河の広場という素敵ロケーションで名古屋レインボープライド2022が開催されました。事前の雨予報をくつがえす見事な晴天に恵まれ、大勢の方たちでにぎわい、本当に晴れやかで、祝福感、高揚感、感動に満ちた、素晴らしいイベントになりました。レポートをお届けします。
(取材・文:後藤純一)


 名古屋では2012年から2017年まで「虹色どまんなかパレード」というプライドパレードが開催されていましたが、2019年に「名古屋レインボープライド」として装いも新たにプライドイベントが立ち上がりました。その後、コロナ禍でなかなかリアル開催することが叶わず、今回、3年ぶりの開催(リアルとオンラインのハイブリッド開催)が実現しました。
  
 5月14日(土)、事前の天気予報では雨マークがついていたにもかかわらず、前夜までザーザー降りだったのがうそのように晴れ渡り、さわやかな、絶好のパレード日和となりました。
 こちらのニュースでお伝えしていたように、名古屋の老舗百貨店・松坂屋では巨大なレインボーフラッグが掲げられ、店内のフロアにはレインボーロードと名古屋レインボープライドの説明書きが描かれていました(あとで聞いたのですが、最初レインボーロードが7色だったのですが、当事者の方が「性の多様性のシンボルとしてのレインボーカラーは6色なんですよ」と教えてあげたところ、わざわざ水色を消して6色に修正してくれたんだそうです)。松坂屋は以前「ひつまぶし」を食べに行ったこともあり、高級で格調高い百貨店というイメージを持っていましたが、そのような百貨店が今回、このような取組みをしてくれたことの感慨が、実際に大きなレインボーフラッグを見上げるにつけ、じわじわと込み上げてきました。



 栄へと向かいます。会場の「オアシス21」は、栄の久屋大通と錦通の交差点という一等地に位置し、ガラスの大屋根「水の宇宙船」がシンボルの立体型公園となっていて、上は芝生が広がる公園、下は「水の宇宙船」を仰ぎ見る巨大な吹き抜け構造になっている(屋外だけど、たとえ雨が降っても天井があるので大丈夫という)「銀河の広場」という、素敵な場所でした(みなさん、口々に「良い場所」と言ってました)
 地下鉄栄駅にも直結し、大勢の市民が行き交う「銀河の広場」には、LGBTQの方々もアライの方々も、通りすがりの市民の方々もたくさん訪れ、にぎわいを見せていました。


 11時に開場し、パレード受付とブース出展がスタート。企業ブースも当事者団体のブースも個人ブースも、同じ大きさでいい具合に混ざっていて、とてもよかったです。まずは出展ブースをご紹介します。













 13時、オープニング(開会式)で共同代表のライラさんと樹梨杏さんがMCとしてご挨拶し、この名古屋レインボープライドのために集まったというレインボーブラスのみなさんの演奏が行なわれました。さわやかな五月の空の下に響き渡る吹奏楽の音色が、心に沁みました。ゲイだけじゃなくトランス女性と思しき方も参加していたのも素敵でしたし、何よりも、みなさんが真剣に演奏する姿に心を打たれました。



 協賛・ブース紹介に続き、名古屋が誇るハロプロ振りコピユニット「DXハンター」と、プライドイベントに欠かせないゲイアイドルユニット「虹組ファイツ」のみなさんによるパフォーマンスが繰り広げられ、楽しく盛り上がりました。



 
 続いて、風間孝中京大教授(もともと「動くゲイとレズビアンの会」(1997年に府中青年の家裁判で画期的な判決を勝ち取った団体)で活動していた方で、岩波新書『同性愛と異性愛』をはじめ著書も多数。とても偉い方です)がモデレーターをつとめ、「Marriage For All Japan」の弁護士のみなさんが「結婚の自由をすべての人に」訴訟について語るトークショーが行なわれました。


 それから、「STICKTOK」のみなさんが、福祉用具である杖をおしゃれに使ったダンスパフォーマンスを見せ、ジェンダー、セクシュアリティ、体の形、人種の異なる多様なモデルさんたちによるグループ「House of fabulosity」のみなさんが、プログレス・プライド・フラッグのカラーリングをモチーフとした美しいファッションショーを披露してくれました。

 
 出発式に続いてパレードへ向けての整列が始まり(みなさんエレベーターで屋上の芝生エリアへと上がっていく光景がとても新鮮でした)、15時半にパレードがスタートしました。
 先頭はライラさん&樹梨杏さん、そしてレインボーブラスのみなさんが演奏しながらパレードする第1フロート、続いて、学生サークル「名古屋あおぞら部」の寄せ書きが掲げられたトラックが『GO WEST』などのクラブミュージック(パレードの定番の音楽)を流し、JPN(ジャパンプライドネットワーク)のみなさんや三洋化成、LGBT-Allyプロジェクトなどが歩いていた第2フロート、それから「Marriage For All Japan」のトラックが先導し、House of fabulosityのみなさんなどが歩いていた第3フロート、最後が、撮影禁止の第4フロートでした。三越、松坂屋、PRRCOが並ぶ、名古屋市内でもたぶん最も高級感あふれるエリアをぐるっと一周するようなコースを、晴れやかに、カラフルに、楽しく行進しました。
 パレードに参加できる人数は上限800名とされていたのですが、もっとたくさん…1000名以上は参加してたんじゃないかなぁと思うくらい、大勢だったように感じました。出発地点には、パレードを歩くのはためらわれるけど、せめて見送りたいという当事者の方たちもたくさんいらっしゃいました。
 オアシス21から三越側へは、栄の交通量の激しい交差点をダイナミックに渡ることになるため、警察官の方たちが一生懸命交通整理をしていて、歩行者の方たちに、道を空けるよう声をかけてくださったり、あと、ゴールの手前、久屋大通の辺りで(なかなか車が進まないので)クラクションを鳴らして怒っていた車の運転手に警察官の方が説明してくれている姿も見ました(ありがとうございます)


















    
 無事にみなさん帰着し(今度はみなさん、会場の銀河の広場を見下ろしながらエレベーターを下って行きます)、ステージ上では、パレードを歩かない方も楽しく過ごせるようにDJさんが楽しい音楽をかけてくれていて、「おかえりなさい」のMCもあり、17時からエンディングのイベントが始まりました。
 大阪のハロプロ振りコピユニットとして活躍し「Rainbow Festa!」などにも出演してきた「H-Pag!(エイチパグ)」のみなさんが登場。数曲ほどダンスを披露しました。客席のみなさんも手拍子で応援したりして、楽しく、熱い盛り上がりを見せました。

 
 続いて、天道清貴さんがライブを披露。清貴さんのライブは数えきれないくらい聴いているのですが、この、名古屋のイベントのあたたかさと、それに呼応するかのような清貴さんの情熱的な歌、そして、バックコーラスのみなさんのピュアな姿や思いのこもった表情…そのすべてが、今日一日のイベントの成功や、人々の笑顔や、幸せを願う気持ちや…とあいまって、泣けてきて仕方がありませんでした。清貴さんのライブのなかでも、いちばん心に沁みた、忘れられないライブになりました。


 ラストの演目は、今回のテーマソングである『心に君の花を』。実行委員のなかにろう者の方がいらっしゃるということで、サビの部分の手話をみんなでやろうということになり、手話の講座(練習タイム)ののちに、SARIさんと笠寺いちりさんがパフォーマンスしました。お客さんも手話を一緒にやることで一体感も生まれ、素敵なフィナーレとなりました。
 最後に司会のお二人がご挨拶し、みんなで「ハッピープライド!」と言って閉幕となりました。



 閉幕となった18時から、テレビ塔がレインボーカラーにライトアップされました(まだ外が明るかったので、はっきりとはわからず…。夜になると、とてもきれいに見えたようです。以下はNRP公式に上げられていた画像です)



 3年ぶりに開催された名古屋レインボープライド。天気が味方してくれたのも本当によかったですし、ロケーションもすごくよかったですし、規模感もちょうどいいと思いました。手作り感やアットホームさもありつつ、プライドイベントとしての大事なところはちゃんと押さえられていて、理想の形に近いイベントだった気がします。
 

<LGBT-Allyプロジェクト ご参加くださった皆様へのお礼>
 当日、LGBT-Allyプロジェクト(OUT JAPAN)ブースにお立ち寄りくださったたくさんの皆様、一緒にパレードを歩いたり沿道で応援してくださった皆様、本当にありがとうございます。LGBT-Allyプロジェクトでは、今後も、アライ企業の皆様の取組みをご紹介しつつ、全国のプライドイベントを応援していく所存です。







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