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沖縄県の玉城デニー知事が「性の多様性尊重宣言」を発出、都道府県では初

 玉城デニー沖縄県知事は26日、県庁で記者会見し、性の多様性を尊重する「沖縄県性の多様性尊重宣言(美ら島にじいろ宣言)」を発しました。都道府県としてLGBT支援宣言を発するのは初めてです。あわせて相談窓口の開設も発表されました。
 

 「美ら島にじいろ宣言」は(1)自分の性と全ての人の性のありようを尊重する、(2)性に関する多様な声に耳をかたむける、(3)多様な性を理由とする偏見・差別やあらゆる種類の暴力を許さない、(4)多様な性を理由とする困難を解消するために取り組むという4点を掲げ、誰もが自分らしく生きられる沖縄を目指すものです。
 性の多様性のシンボルであるレインボーカラーから、宣言の通称に「にじいろ」を取り入れたそうです。
 
 沖縄県によると、県が2020年度に実施した男女共同参画社会づくりに関する県民意識調査で、性の多様性について7割以上の人が肯定的な考えを示した一方、自分の性や性的指向について悩んだことがある人の76%が「差別、偏見がある」と回答するなど、当事者が生きづらさを感じている現状が明らかになっています。 

 玉城知事は「少しずつ理解が広がり、多様な生き方を認め合う社会が受け入れられつつある」と強調。一方、「偏見、差別があると答えた人が多く、当事者が生きづらさを感じている現状が依然としてある」と述べ、差別偏見のない沖縄社会を構築する取組みを進める決意を示し、「性の多様性の尊重について県の考え方を県民の皆さんと共有し、個人の尊厳や多様性が尊重される沖縄の実現を目指していく」とし、県民に性の多様性の尊重を呼びかけました。
 また玉城知事は、23日に浦添市議会が同性パートナーシップ証明制度も盛り込んだ「性の多様性を尊重する社会を実現するための条例」を可決したことについて、「個人の尊厳を守り、多様な生き方を認めようという考えが受け入れられつつあることをうれしく思う」と語り、今後、県内市町村と連携しながら具体的な取組みを推進していく考えを示しました。

 また、4月10日から性に関する悩みなどを相談できる「LGBTQ にじいろ相談」を開始することも発表されました。



 一方、沖縄県宜野湾市では26日、「多様性」の文言を抜いたかたちで「宜野湾市男女共同参画推進条例」案が可決されました。

 昨年7月に宜野湾市議会で「性的指向」や「多様性」などの文言を理由に主要与党会派が反対したため「市男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」案が否決され、ピンクドット沖縄創設者の砂川秀樹さんが署名を立ち上げ、再上程、可決を求めました。その後、市男女共同参画会議に諮問され、見直しが図られた結果、名称からも本文からも「多様性」の文言が削除され(LGBT支援の要素がなくなり)、「男女平等」も「男女共同参画」に変えられ、ヘイトスピーチを禁止する項目も削除されたかたちとなりました。

 この件について昨年のピンクドット沖縄では、「なかには理解不足というより、信念をもって反対している方もいて、そういう方を変えるのはなかなか難しい」「県が宣言を出し、企業がLGBTQを支援し、県全体としてムーブメントになっていくと、議員さんも無下にはできないのではないか」「性の多様性は人権。子どもの命に関わること。多数決で決められるのはおかしい。あきらめずに、負けずにやらないといけない」「負けないように強くならないといけない。多方面からアライを集めて、いい意味での影響力を持っていきたい」と語られていました(素晴らしいですね)
 
 なお、ピンクドット沖縄は、先日の札幌地裁の歴史的な判決を受けて、次のような声明を発表しています(ピンクドット沖縄はアライの方たちによって運営されていますが、日本の同性カップルの権利保障における画期に際し、きちんと判決の意義を理解し、このように声明を発出して連帯を表明していること、本当に素晴らしいと感じます)
 
「このように喜ばしいお知らせを皆様と共有できる事を心から嬉しく思います。本日札幌地裁で日本の歴史上とても重要な判決が下されました。

 この裁判は同性婚の是非を問うもので、札幌を含め全国5か所で複数の原告が国を相手に同時に起こしたものです。原告の主張は「同性間の婚姻を認めないのは憲法で保障された婚姻の自由や平等原則に反しており違憲である(憲法14条)」というもの。
 これに対し札幌地裁(武部知子裁判長)が、初めて同性間の婚姻を認めない事は法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると認定したのです。原告の賠償請求に関しては棄却しました。判決自体は国の勝訴ではありますが、重要なのは同性婚を認めない事は憲法違反とした事で、事実上の勝訴ととらえていいほど大きな一歩となりました。
 札幌地裁の賢明かつ勇気ある判断に心からの感謝と称賛を送りたいと思います。
 我々ピンクドット沖縄でも一昨年2019年2月14日の提訴からこの裁判に注目し続け、当初から連帯を表明してきました。一昨年開催したピンクドット沖縄2019では、原告の男性カップルや弁護団代表の寺原真希子弁護士をお招きしステージで一時間にわたるパネルディスカッションを開催しました。裁判に至った経緯やその意義、争点、今後の展望など我が国における同性婚裁判の最前線の様子をつぶさに語って頂き、最後まで志同じく連携していく誓いを新たにしました。
 更にオンライン開催となった昨年のピンクドット沖縄2020でも寺原弁護士にご出演頂き裁判の進捗をうかがいました。全国5か所の訴訟のうち札幌地裁の判決が最初になりそうだというお話はその時にうかがいました。札幌地裁の最終意見陳述に立たれた加藤弁護士が、ご自身のセクシャリティに触れ訴えかける言葉に触れたときは胸が熱くなりました。
 それから約5カ月。
 今日の判決は私たちピンクドット沖縄にとっても、これまでの取り組みの先に明るい光を感じるニュースとなりましたし、制度の壁に阻まれ苦しみながらも声を上げられない多くの方々の希望にもなりました。
 改めて、この裁判の意義は大きく三つあると考えます。
1、今現在セクシャルマイノリティの方々が婚姻関係に至れないことで生じている具体的な不利益を解消すること。
2、セクシャルマイノリティの存在を尊重することを国が認めることにより、差別を解消する大きな一歩なること。
3、社会が個々人の生き方を尊重できる試金石となり、すべての人たちの生き方にも大きな生きやすさをもたらすということ。
 これらをしっかり理解し、ピンクドット沖縄も引き続き連帯の強化と独自の取り組みを重ねて参ります。すべての人が自分らしく生きやすい社会のためにこれからも力を合わせて参りましょう」
 


参考記事:
「多様な性を尊重する沖縄に」 玉城知事が宣言/沖縄(毎日新聞/琉球新報)
https://mainichi.jp/articles/20210326/rky/00m/040/002000c
玉城デニー知事、性の多様性尊重宣言「美ら島 にじいろ宣言」を発表(沖縄タイムス)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/727821

男女共同条例案を可決 宜野湾市議会が全会一致(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1293381.html
男女共同参画推進条例を可決 宜野湾市議会、全会一致で(沖縄タイムス)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/727795

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