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LGBT関連ニュース

原宿の神宮前交差点に「プライドハウス東京2019」がオープンしました

記事日付:2019/09/22

 2019年9月20日(金)、原宿の神宮前交差点に、LGBTとスポーツに関する情報発信施設「プライドハウス東京2019」が開館しました。2020東京大会におけるLGBT+アライの交流の拠点となる、また、2020以降のLGBTセンターの設立をも見据えた、日本のLGBT史上のレガシーとなるであろう施設です。



 ラグビーW杯が開幕した9月20日(金)、原宿の神宮前交差点の角にある「subaCO」が、LGBTとスポーツに関する期間限定の情報発信施設「プライドハウス東京2019」としてオープンしました。 
 「プライドハウス東京2019」は、9月20日(金)から11月4日(月祝)まで、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会による後援のもと、原宿の「subaCO」(寄付をテーマとしたスペース。以前「コンドマニア」があった、原宿の神宮前交差点に面した場所です)にオープンしました。
 運営するのは任意団体「プライドハウス東京」コンソーシアムで、30のNPOや個人、18の企業、15の駐日大使館がセクターを越えて協働し、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズが事務局を務めています。「教育・多様性発信」「文化・歴史・アーカイブ」「セクシュアルヘルス・救済窓口」「アスリート発信」「祝祭・スポーツイベント・ボランティア」「居場所づくり」「仕組みづくり」という7つのチームに分かれ、様々なコンテンツの提供やイベント開催によって、社会的インパクトの創出を目指すプロジェクトです。


田亀源五郎氏がラグビーをモチーフに制作したアートワークも展示されています

 オープンに先立ち、19日にはプライドハウス東京と、日本ラグビーフットボール選手会、東京マラソン財団がそれぞれ協定書に調印し、LGBT差別撤廃に向けた協力などを宣言しました。同日には「プライドハウス東京2019」で日本ラグビーフットボール選手会(JRPA)の川村慎副会長(NECグリーンロケッツ)、同会の稲橋良太選手(クボタスピアーズ)、そして杉山文野さんによるトークイベントが開かれ、LGBTの課題に対してできることなどについて話し合いが持たれました(詳しくはこちら


世界中から集まったLGBTの絵本が展示されています
 
 実際に行かれたら、きっと「スゴい!」と思われることでしょうが、原宿の、表参道と明治通りの交差点(神宮前交差点)の角に、それはあります。日本でも最も華やかでメジャーな一等地にLGBTの施設がオープンしたことは、感慨深いです。
 中に入ると(もちろん、どなたでも入れます)、関連のグッズを販売するコーナーがあり、プライドハウス東京のパンフレットや「SPORTS for EVERYONE」というスポーツ関係者のためのハンドブックなどがもらえます。奥に進むと、田亀源五郎さんがラグビーをフィーチャーして制作したオリジナル・アートワークが展示され(レインボーカラーのユニフォームを着た6人のラグビー選手が描かれています)、また、世界中から集められた(各国大使館が寄贈してくれた)LGBTに関する絵本のライブラリーも設けられたり、7つのプロジェクトの説明を書いたボードなども展示されていました。それほど広くはないですが、じっくりいろんなものを読んだり、情報を得たりすることができます。



 これまで、HIV予防啓発の情報を提供するコミュニティセンターは全国にありましたが、日本には常設のLGBTセンター(LGBT支援や情報提供を目的に、何か困り事があった当事者が無料で利用できるようなコミュニティセンター)というのはなく、この施設がその試金石になります(将来的に、LGBTユースを中心に支援活動も行う施設の設立を目指すそうです)
 原宿にお出かけの際はぜひ、お立ち寄りください。
 
プライドハウス東京2019
場所:subaCO(東京都渋谷区神宮前 6-31-21)
期間:9月20日(金)〜11月4日(月祝)
開館時間:13時〜18時
火曜定休
 
 

 17:30からは、オープニング式典が開催されました。
 会場を埋め尽くす大勢の方が詰めかけ、熱気に包まれました。
 
 最初に、代表の松中権さんがスピーチし、「プライドハウス東京」設立の経緯についてお話しました。プライドハウスは2010年のバンクーバー五輪で地元のNPOが発案し、立ち上げたものです。スポーツ業界はLGBTにとって「最後のフロンティア」などと呼ばれ、なかなかアスリートがカムアウトできない、ホモフォビアが根強い世界でしたが、選手やその家族、ファンの中にもLGBTの人たちがいるし、なんとかその状況を変えていこうとする気運がありました。そこで、国際的なスポーツ大会において、LGBTの選手やファンたちが暴力を受けることなく安全に過ごせるセーフスペースとして、プライドハウスが企画されました。この素晴らしいアイデアは、ロンドン五輪などに継承されていきました。が、2014年のソチ五輪では、前年にロシアが同性愛プロパガンダ禁止法(アンチ同性愛の法律)をつくったことで国際社会の非難を浴び、各国首脳のボイコットなどを見ました。そのことを受けて、PRIDE HOUSE INTERNATIONALという国際組織が結成され、過去のノウハウを引き継ぐべく、リオ、平昌、そして東京などの団体の方たちが招聘され、会議が開かれ、松中さんがプライドハウスのコンセプトに共感し、プライドハウス東京の設立を決意したのでした。
 これまでの素晴らしい活動を踏まえ、プライドハウス東京では、今回の2019年の開設(TOWARD2020)、2020東京大会時の開設(UNITED2020)、それ以降(BEYOND2020)という3つのフェーズを設け、最終的には日本初のLGBTセンターの設立(主にLGBTユースの支援)を目指すということ、30のNPOや個人、18の企業、15の駐日大使館によるコンソーシアムという形をとること、7つのチームに分かれ、スポーツに限らず、社会的インパクトの創出を目指そうということになりました。
 プライドハウスは実は、過去に公式に五輪組織委員会と連携したことがないそうですが、プライドハウス東京は初の連携を目指すそうです。


代表の松中権さん(右)と、通訳を務めてくださった方

 続いて、オープンリー・レズビアンの現ニュージーランド国会議員であり、元女子ラグビー選手であるルイサ・ウォール氏が登壇し、スピーチしました。
「このようなプライドを示す場を作ってくれてありがとう」
「私たちはスポーツが好きだから、ここに来ている。スポーツも、私たちを好きであってほしい」
「スポーツ選手は、ハリウッド・スターのような存在。影響力は絶大で、だからこそ責任も重大。それは選手に限らず、コーチや組織も含めた全体が持っている責任です」
「ニュージーランドには、キアカハラ(Be Strong)という言葉があります。この言葉をエールとして贈りたい」


NZ国会議員で元ラグビー選手でオープンリー・レズビアンのルイサ・ウォール氏

 それから、英国で15年間国会議員を務めている政治家で、以前警察・司法大臣を務めたこともあるニック・ハーバート氏が登場し、スピーチしました。
「私が来日したのは、他の国会議員らと会って、アジア全体のLGBTライツの推進について話し合うためです」
「ルイサが言うように、ラグビーは平等を重んじるスポーツです。性的指向に関係なく、強さを競う。日本は今、ラグビーの世界大会を行なっていることで、世界中から視線を集めています。すべての人たちの平等や権利を尊重する世界と、LGBTの平等や権利を尊重しないBadな世界、二つに分かれている現状がありますが、日本はぜひ、前者に属してほしいです。G7の中で最後に結婚の平等を認める国になってほしい」
「すべての市民の平等な権利を求めて立ち上がりましょう。それがUnivesal Value(普遍的な価値観)です」


UK国会議員でLGBTライツのために活動しているニック・ハーバート氏

 それから、「教育・多様性発信」「文化・歴史・アーカイブ」「セクシュアルヘルス・救済窓口」「アスリート発信」「祝祭・スポーツイベント・ボランティア」「居場所づくり」「仕組みづくり」という7つのチームが、それぞれの活動や実績について、発表しました。
 「教育・多様性発信」チームでは、ゲイであることをオープンにしている小学校の先生として有名な鈴木茂義さん(シゲせんせい)が登壇しました。世界のLGBT絵本ライブラリーの設置、ユースを対象とする多様性についてのワークショップ(先生たちを巻き込みながら)、LGBTユース支援や教育啓発に携わる米団体GLSENとの共同調査、NHK教育映像賞「日本賞」との連携、が発表されました。
 「文化・歴史・アーカイブ」では、MtFトランスジェンダーの三橋順子先生が登壇し、日本のLGBTの歴史についての動画を制作したこと、現在の東京のLGBTのシーンを紹介する動画を制作したことなどを報告(いずれYoutubeにもアップされるそうなので、またご紹介します)。日本のクィア・アートの映像も作りたい、とのことでした。また、レインボー・リール東京とのコラボで、「スポーツとLGBT」をテーマとした映画の上映を行ったことも報告されました。
 「セクシュアルヘルス・救済窓口」については、訪日外国人向けのセクシュアルヘルス情報の提供、UNAIDSとの協力関係でのHIV/AIDSについての情報発信、LGBTQの性暴力被害実態調査、訪日外国人向けのホットラインの開設(このW杯の期間中にテストで1日開設する予定だそう)などが発表されました。
 「アスリート発信」では、野村ホールディングスの北村さんと、今年カミングアウトを果たした下山田志帆さんが登場。トップアスリートによるメッセージ動画の公開、多様なアスリートの本音トーク(ナイジェル・オーウェンスの登壇も検討されています)、スポーツ団体との連携、スポーツ関係者向けハンドブックの製作、などが報告されました。下山田さんがこんなことをおっしゃっていました。「7年前、『スポーツ LGBT』で検索してみたとき、海外の情報以外は、○○選手ゲイ疑惑、というような情報しかなかった。私は幸いにも周囲にもLGBTの人たちがいて、自分はOKと思えていたけど、社会はこんなにネガディブなのか…と。7年経って、今、『スポーツ LGBT』で検索すると、プライドハウスのことが出てくるんですね。悩んでいるLGBTアスリートの人たちがここに来て、アライと接したり、勇気をもらえることを願います」(胸が熱くなるような、いい話でした)
 「祝祭・スポーツイベント・ボランティア」では、東京レインボーマラソンやプライドカップの開催、プライドハウス東京でのワークショップ、海外プライドパレードでの発信、チャリティ音楽ライブイベント(ユーミンやMISIAが登場する『LIVE PRIDE』など)について発表されました。
 「居場所づくり」では元文京区議の前田さんが登壇し、「大学&企業の居場所」トークセッション、「子どもの多様性」トークセッション、世界のLGBTセンターの視察、各地の居場所づくりの団体からのヒアリング、などを報告していただきました。
 「仕組みづくり」では、アクセンチュアに勤務する方(当事者の方だそうです)、虹色ダイバーシティの村木さんが登壇し、コレクティブインパクト型の組織づくり、普遍性あるデザイン開発(プライドハウスのロゴも野老朝雄氏が手がけたそうです)、持続可能なコミュニティづくり(丸井とVISAの協力で手数料の一部が寄付されるクレジットカードを開発)、東京2020組織委員会への協力(職員向けのヒューマンライブリーの実施)などの活動が報告されました。


各国大使館の方からLGBT絵本の贈呈を受ける鈴木茂義さん(シゲせんせい)


現役選手で初めてカムアウトした下山田志帆さん(右)、とてもいい話をしてくださいました


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