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ゲイカップルの日常を描くドラマ「きのう何食べた?」に対して「高まる「主演女優賞」の声」と書いたJ-CASTニュースに非難の声

記事日付:2019/06/18

 現在放送中のドラマ「きのう何食べた?」(テレビ東京)は、誇張表現やステレオタイプな表現がなく、リアルにゲイカップルの日常を描いている(+毎回必ず料理のシーンがある)原作の魅力や、原作の再現度の高さ(主演のお二人の演技など)で大好評を博し、4月クール作品では最高の満足度(オリコン調べ)を記録、展覧会まで開催されていますが、ケンジ役の内野聖陽さんの演技に対して、「ネット上で「主演女優賞」を授与したいとする声が高まっている」というWebニュースがJ-CASTにアップされ、ゲイの方々を中心に、非難の声が上がっています。

 原作漫画の「きのう何食べた?」でも、ケンジは確かにキャピキャピしているタイプのゲイです。ステレオタイプな「オネエ」では決してなく、喜怒哀楽が豊かでかわいらしい感じの(年の割には若い感じの)男性です。
 大河俳優であり、その演技力には定評がある内野さんは、実に意欲的に、ケンジの役柄についてよく考え、研究して、苦心して、おおらかで、感情豊かで、キュートなキャラクターだけど「ベタベタなオネエ」ではない(にじみでるオネエ感はあるものの)、まあ、こういうゲイの人っているよね、と当事者にも概ね受け入れられるような演技に成功していると思います(ただ、一部のゲイの方は、やはり「オネエ」がにじみ出てしまっている演技に違和感を表明し、「男臭さを削ぎ落とすことと女性っぽさを誇張することは違うんだよね」などと指摘しています)。そして、内野さんの感情表現の素晴らしさは、多くのLGBTの方々も絶賛しています。
  
 ところが、「「何食べ?」内野聖陽に高まる「主演女優賞」の声」というタイトルで、ネット上で「主演女優賞」を授与したいとする声が相次いで上がっている、という内容のWebニュースがJ-CASTにアップされ、これには多くの当事者が反発しています。
 例えば「なぜ主演女優賞? ケンジもシロさんも男性なのに。ゲイの中身は女性というステレオタイプは理解と真逆でちょっとがっかり」というツイートは、5795回リツイートされ、7065件のいいねがついていますし、「信じがたい無理解。いかに世の中が異性愛主義に縛られているかがよくわかる」というツイートは、7490回リツイートされ、9101件のいいねがついています(2019.6.18現在)
 ほかにも、「このドラマの何を観ているのか。「そういうこと」にささやかに抗っているふたりの中年男性のお話ですよ」「日本のドラマいつになったらアメリカのドラマみたいに、ごく自然に同性愛を扱えるようになるんだろう…。同性同士なだけで、普通の恋愛じゃない」など、様々、たくさんの批判コメントが上がっています(炎上していると言っても過言ではありません)
 
 J-CASTに限らず、例えば東スポWebに掲載された「内野聖陽「きのう何食べた?」ゲイ演技で聖地・新宿2丁目チン現象」なども、微妙です。この記事に書かれているような、「内股で小躍りしながら帰宅するシーンや、体をクネクネさせて喜びながら彼氏の手料理に舌鼓を打つシーン」を称賛したり、内野さん自身をゲイだと勘ぐったり、恋したり、といった話は(筆者は1000人以上のLGBTとつながり、二丁目にも毎週のように通っていますが)ついぞ見聞きしたことがありません。仮にそういう方がいたとしても、それがゲイの世界の大勢であるかのような書き方は、誤解を招き、偏見を助長することにもなりかねません。
 
 せっかく原作者のよしながふみさんが、フラットに、ニュートラルにゲイを描き(しかも『モーニング』という男性誌で)、「こういうのもアリだよね」と世のストレート男性たちに浸透させてきた(ある意味、現在のLGBTブームや、世間の方たちのアライ化への下地をつくってきたとも言えます)のに、こうして未だに「ゲイ=オネエ」だとか「ゲイは心が女性的」だとか「女性として見られたい」だとかいうステレオタイプ、無理解、偏見を撒き散らしてはばからないメディアの杜撰さ…。ライターさんや編集部の方に、ぜひLGBTについて学び、理解を深める機会を持っていただきたいと願うものです。
 
(後藤純一)

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