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WHOが性同一性障害を「精神障害」の分類から除外しました   

記事日付:2019/05/27

 スイスのジュネーブで開かれている世界保健機関(WHO)の総会で25日、「国際疾病分類」改定版(ICD-11)が了承され、性同一性障害が「精神障害」の分類から除外され、「性の健康に関連する状態」という分類の中の「Gender Incongruence(性別不合)」に変更されることになりました。これにより、出生時に割り当てられた性別への違和が「病気」や「障害」ではないと宣言されることになりました。ICD-11は、2022年1月1日から効力を発します。

 昨年の、WHOの「国際疾病分類」が改訂され、性同一性障害が「精神疾患」から外れることになりましたというニュースでもお伝えしましたが、これまでトランスジェンダーに向けられてきたスティグマ(社会的汚名、烙印)や差別の大半は、精神病と見なす医療制度のあり方に由来するもので、トランスジェンダーのメンタルヘルスの悪化をも引き起こしてきた、名前や公的文書上の性別を変更する条件として「性同一性障害(GID)」の診断を義務づける政府が多いことは、労働や教育、移動など基本的権利の享受の妨げになってきた、とヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘しています。
「新たなWHOの疾病分類は、思春期と成人のトランスジェンダーの人びとにとって大きな前進です。近いうちに「精神疾患」と見なされずに医療ケアを求めることができるようになる可能性が出てきたからです」

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 WHOは性同一性障害を「精神障害」の分類から除外し、「性別不合」へと変更することに関して、「障害と分類されなくても、当事者が望めば性別適合手術などの医療行為を受ける権利は保障されるべきだ」としています。
 WHOで「国際疾病分類」を担当するロバート・ヤコブ氏は、「性同一性障害は精神的な病気でも身体的な病気でもないとわれわれが考えるようになることは、社会にとって強いサインになるだろう」と述べ、その意義を強調しました。そして、「障害という項目から外すことによって、これからは『性別不合』と呼ばれる人たちがこれまで着せられてきた汚名を返上することにつながる」と述べ、今回の変更によって、これまで「性同一性障害」の人たちが受けてきた差別が解消されることに期待を示しました。
 デンマークの代表は「精神障害の分類から除外したことは、あらゆる人たちが尊厳のある生活を送ることにつながる大きな一歩だ」と述べ、今回の変更を歓迎しました。

 会議に出席した厚生労働省の池田千絵子総括審議官は、「精神障害から除外されたということは、さまざまな配慮が進んできたということだと思う。各加盟国からは、新しい分類に、スムーズに、きっちりと移行したいという意見が多く出ていた」と語りました。
 

 出生時に割り当てられた性別に違和を覚える人を社会がどう扱ってきたか、について、ざっと歴史を振り返ってみます。
 19世紀後半から近代精神医学は、出生時の性別と異なる性表現で生活しようとする人(異性装、トランスヴェスタイト)や、同性を好きになってしまう人(同性愛、ホモセクシュアル)を「性倒錯」という精神の病の一種として扱ってきました。
 1960年代には異性装は、同性愛とは別の病気として区別されるようになりました。
 80年代に入ると「性同一性障害」という用語が使われるようになり、1990年の国際疾病分類の改訂(ICD-10)で、この名称が正式に採用され、障害として位置づけられることになりました(この時、同性愛は削除され、病気ではないと宣言されました)
 制度面で見ると、1972年、スウェーデンが初めて法的にID上の性別を変更することを認め、以降、欧米の各国で、性別変更を承認する制度が整備されていきました。日本でも2004年に性同一性障害特例法が施行されました。同じ2004年、イギリスで、性別適合手術を受けなくとも当事者の法的性別の変更を認める「性別承認法」が成立しました(以降、スペインなどでも同様の法律が成立しています)。2012年にはアルゼンチンで初めて、精神科医の診断なしに性別変更を可能とする法律が制定されました(以降、デンマーク、アイルランド、マルタ、ノルウェー、ギリシャなどで同様の法律が制定されています)
 2013年、アメリカ精神医学会は、「障害」という言葉を使わない「性別違和」という名称を採用しました。
 2014年にはWHOが、2017年には欧州人権裁判所が「性別を変更するために生殖能力をなくす手術を課すことは人権侵害である」とする判断を出しています。


 なお、今回のWHOの決定を受けて、日本で今後、戸籍上の性別変更を望む当事者の方の扱いがどう変わっていくのかは、まだ未知数です。性同一性障害特例法の名称や内容を修正するのか、新しい「性別不合」の考え方のもとで法律を作り直すのか…。
 一部、これで手術が受けられなくなると誤解されている方がいらっしゃるようですが、WHOが述べているように、当事者が望めば性別適合手術などの医療行為を受ける権利は保障されるべきです(今回の変更は「脱精神病化」の達成であり、「脱医療化」ではありません)
 同時に、「断種」の手術を強制する現状が改善されること、未婚であることなどの要件の廃止、ホルモン治療への保険適用なども期待されるところです。
 

 

性同一性障害を「精神障害」の分類から除外へ WHO(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190526/amp/k10011929571000.html

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