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LGBT支援を検討する会合で茨城県医師会副会長が「多数派に戻る治療ないのか」などと発言し、批判の声が上がっています

記事日付:2019/05/07

 同性パートナーシップ証明制度導入を検討している茨城県が主催するLGBT支援策を検討する会合で、県医師会の満川元一副会長が「性的マイノリティの人に、マジョリティに戻ってもらう治療はないのか」と発言しました。
 満川氏は、昨年までエイズ拠点病院(水戸赤十字病院)の院長を務めていた人で、さすがにこの発言は不見識も甚だしい(根本的に同性愛のことがわかっていない)と、当事者を中心に物議を醸しています。

 この会合は、同性パートナーシップ証明制度を含め、県ができる支援策を検討する目的で、当事者や医師、弁護士など計10人の委員によって、6月まで4回開催されることになっています。問題となった発言は4月25日の初回で、委員それぞれが考え方を述べていた際にありました。
 満川副会長は「性的マイノリティの人に、性的マジョリティに戻ってもらう治療はないのかという思いはある」「少子高齢化の時代、産婦人科医としては一人でも多くの子どもをつくっていただきたい。戻っていただけないかと医者としての思いがある」と発言しました。

 この会合には、NPO法人東京レインボープライド共同代表理事の杉山文野さんもテレビ会議で出席していました。杉山さんは「ショックだった。多数派が正しく、少数派は間違っているから直すべきだという考え」「正しい知識を学んでもらえば『戻る』という言葉自体が出てこない。悪気はないでしょうが、この考え方が差別的と感じる」と語っています。

 世界保健機関(WHO)は1990年に「ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)」から同性愛の項目を削除し、「治療対象(病気)ではない」と宣言しました。日本精神神経医学会も1995年にICD-10に準拠する声明を出しています(ちなみに2018年発表のICD-11では、性同一性障害も疾病のカテゴリーから外されています)。もちろん厚労省も、同性愛は治療対象ではないという見解です。
 性的指向は基本的に生得的なもので、人為的に「治療」「矯正」することはできません(過去に(アメリカの一部の州などでは現在も)同性愛「治療」が行われたこともありましたが、治療が成功しないどころか、精神を病んで自殺に至るケースも多く、問題視されています)
 
 満川副会長は東京新聞の取材に対し、「治療は医師として普通に使う言葉だが、あの場では使わない方がよかった。社会の潮流は知っているが、それを当たり前と受け止めるのは医師として引っかかる。戻ることは不可能なのか、そのまま男女の成長をしてもらうカウンセリングはいけないのか」と話す。一方で「私は専門家ではない。無理解な言動もあり得るが、文献や他の委員の意見を参考に考えを整理する」とも釈明しました。

 東京新聞がこの件を報じるやいなや、当事者を中心に、「あまりに不見識だ」「そもそも医師として疑問。支援策を検討する会に出る前に最低限学んでほしい」「このドクターはエイズ拠点病院でもある水戸赤十字病院の院長を昨年まで務めていた人。年齢や専門分野を考慮してもさすがにダメだと思う」「医師として、WHOの見解とどう折り合いをつけているのか知りたい」「後追い釈明の内容すらダメだと思う」「なぜこの方を選んだのか。県の任命責任を問うべきではないか」などの批判が噴出しました。
  
 今回はたまたま、茨城県がLGBT支援に乗り出したことがきっかけで明らかになりましたが、エイズ拠点病院の院長を務めるような医師の方ですら同性愛のことを理解していないという現状が浮き彫りになった以上、今後、何らかの対策(国家試験に取り入れるとか、医療関係者に対するLGBT研修を必修化するなど)を行っていくことが求められるのではないでしょうか。


 
参考記事:
LGBT支援検討会合 茨城県医師会副会長発言「多数派に戻る治療ないのか」(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019050602000173.html

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