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OECDが加盟国の同性愛受容度を発表、日本は36ヵ国中25位

 4月1日、経済協力開発機構(OECD)が「図表で見る社会2019(Society at a Glance 2019)」を発表し、LGBTに焦点を当てた特別章が設けられ、各国のLGBTの置かれている社会経済状況、LGBTを包摂するための政策などについて論じられました。LGBTに関する基礎的な資料の一つとなるようなものですので、内容をご紹介します。
 
 まず、OECDに加盟する36ヵ国についての要約です。日本語でも読めます。
 最初に、「全体的に、LGBTの人々は依然として様々な形で差別を受けている。差別は倫理的に受け入れられないだけではなく、多大な経済的・社会的なコストも伴う。したがって、性的マイノリティの包摂は、OECD諸国の政策の最優先事項となるべきである」と述べられています。
 以下、箇条書きでご紹介します。
・LGBTの人々は、少数者といえども相当数に上る(推定値が入手可能なOECD加盟14ヵ国では、LGBの人々が成人人口に占める割合は2.7%、少なくとも1700万人に上る)
・LGBTを自認する人の割合は高まっている。より若い年齢層ほどLGBTであることを開示する人が多い(アメリカでは1945年以前に生まれた人でLGBTと自認している人の割合はわずか1.4%であるのに対し、ミレニアル世代(1980年~1999年に出生)では8.2%に上る)
・性的少数者の受容が拡大しつつあるにもかかわらず、同性愛者やトランスジェンダーに対する嫌悪は蔓延している
・LGBTの人々は、差別が横行していると報告している(トランスジェンダーは、LGB以上に差別を感じている)
・労働市場ではLGBTの人々が深刻な不利益を被っている(調査データによると、LGBT以外の人々に比べて雇用される可能性が7%低く、労働所得は4%少ない)
・実験データはLGBTの人々が差別されていることを裏付けている(履歴書等に同性愛者であると書いた場合、求職者が面接に呼ばれる可能性は異性愛者よりも1.5倍少なくなることが調査結果から判明。トランスジェンダーの求職者も著しく差別されている)
・LGBTの人々は精神疾患に罹るリスクがより高い(LGBTの人々に広く心理的苦痛が見られる。メンタルヘルス悪化の少なくとも一部は、社会が付与するスティグマに原因がある。LGBTの人々は異性愛者やシスジェンダーが感じることがないストレスを感じている)
・LGBTの存在と、彼らが被る不利益を国の統計で可視化することは、LGBTの人々の社会的包摂の前提条件である(性的指向と性自認に関する情報を、国勢調査などで収集することは、LGBTの人々が被っている不利益に対する意識を高める上で極めて重要である)
・LGBT差別を法律で禁止し、LGBTの人々の平等な権利を確保することは、彼らが置かれた状況を改善するために不可欠である(差別禁止法や均等法の施行により、違反行為が起きにくくなるだけでなく社会規範が形成されることになり、LGBTの社会的包摂性が改善する。例えば、同性の関係を認める政策が取られた国では同性愛の受容がそれ以外の国々より急速に進んでおり、法改正が態度の変化をもたらすことを示唆している)
・人々の無意識の偏見に対抗する教育は、LGBTの社会的包摂の改善を目指す政策パッケージの重要な要素である(アメリカでは、各家庭を短時間訪問するという戸別介入により、市民がトランスジェンダーの人々に対して心を開き、好意的になり、介入から3ヵ月が経過した後も目に見える効果が続いている)

 続いて、日本のLGBTの状況です。
・日本では世論調査など全国規模の代表性のある調査で、LGBTの人の割合に関する情報を集めたものはない。国の調査で、LGBTの人たちが受けている不利益を可視化することは、LGBTの人々の社会的包摂の前提条件である。日本は、性的指向と性自認に関する情報を定期的に収集すべきである。
・LGBTの人に対する態度は世界的に改善しており、OECD 諸国では一貫して、その他の国より肯定的である。しかし、まだ大幅な改善の余地が残されている。日本も例外ではない。日本国民は、同性愛の完全な社会的受容にはまだ道半ばであり、同性愛需要度のスコアは4.8である(OECDの平均とほぼ同じ)。日本の回答者のうち少数(45%)が、子どもが別の性別の格好をしたり自己表現したりすることを認めるとしている。
・LGBT差別を法律で禁止し、LGBTの人々の平等な権利を確保することは、LGBTの人たちが置かれた状況を改善するために不可欠である。日本はこの分野で遅れており、雇用で性的指向に基づく差別をすることが明示的に禁じられておらず、同性婚も法制化されていない。例えばアメリカでは、同性婚の承認により、LGBの思春期の自殺未遂が15%近く減少した。


 なお、同性愛受容度は「同性愛を正当とみなすことができると考えるか」という質問に対して1~10の点数で回答させ(1は全く認められない、10は常に認められる)、国別に換算した数値だそうです。OECD平均は5.1点、日本は4.8点です。最も受容度が高い国はアイスランド(8.3点)で、スウェーデン(8.1点)、オランダ(7.6点)…と続き、日本は36ヵ国中25位でした。アメリカは5.0点、韓国は2.8点、最も低かったのはトルコ(1.6点)となりました。

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