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LGBT関連ニュース

テレビ山口がトランス女性への差別的な扱いとアウティングを伴う番組を放送、謝罪へ    

記事日付:2019/11/15

 TBS系列のテレビ山口が11月15日、情報バラエティ番組の中で街頭で取材したトランスジェンダーの方を「珍 女性のような男性」として放送したことに対し、ご本人から「ショックを受けた」と抗議を受けたのをはじめ、社会的に問題視され、謝罪コメントを出しました。
 
 テレビ山口によると、山口県内向けの情報バラエティ番組「週末ちぐまや家族」の中で、地域で珍しい名字の人や店などをアポなしで訪ねる企画で、出演者のタレントが県内のある地域で作業着姿で車のオイル交換をしている人に出会い、「オイル交換?」「女性で?」「自分で自分の車を?」と話しかけ、「変わっているって言われませんか」と発言。「実はこの方には、あるわけが」とナレーションが入りました。
 CMを挟み、本人がいないところで親族とやりとりしたタレントが「わざとですか」「実は男性なんですか」「びっくりしたぁ」と話し、本人の映像に重ねて「(マル囲みで)珍 女性のような男性」というテロップを出しました。
 
 ご本人は放送の2日後、テレビ山口に「偏見に満ちた放送で、男性として放送されたのはショックです」と電話をかけ、抗議しました。ほかにも電話やメールでの抗議が複数、あったそうです。
 ご本人は朝日新聞の取材に対し「女性として取材を受けたのに、私自身に確認せずにわざわざ男性だとさらされた。職場の同僚や取引先が放送を見たら…と考えて一時は絶望的になった」と語りました。

 本人の確認なく、トランスジェンダーの方が最も苦痛を感じるような差別的な扱いをテレビというメディアで「いじり」や「ネタ」として(視聴者の嘲笑を誘うような仕方で)放送してしまっただけでなく、仕事関係の方にトランスジェンダーであることを伝えていなかったのにこの放送によってバレてしまいかねないわけですから、アウティングにも該当します。たいへん悪質であると言わざるをえません。
 性的マイノリティのことに詳しい針間産婦人科(山口県宇部市)の金子法子院長は、「東京五輪も来年に迫り、多様性が尊重される時代だ。このような偏見と無理解が、人生にどれだけ深刻な影響を与えるか報道機関は自覚してほしい」と語りました。
 また、虹色ダイバーシティの村木真紀代表は「本人の許可なく性の情報を暴露することは『アウティング』と呼ばれ、人権侵害にあたる。メンタルを崩して、命を落としてしまう人もいる」と問題の深刻さを指摘しています。 
 
 テレビ山口は放送番組基準に「性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する」「人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別しない」と掲げているそうですが、今回の件に関して、公式サイトで以下のようなお詫びコメントを掲載しました。
「2019年11月9日放送「週末ちぐまや家族」の番組内で、不適切な放送をしてしまいました。
 今回の件は、番組制作者が諸事情への配慮に欠け、取材対象者に対する確認を怠ったことが原因で、会社として深く反省しております。ご本人ならびに関係者の方々にお詫び申し上げます。
 会社としても今回の放送に至った経緯、原因を検証し、再発の防止に努めるとともに、有識者の方を講師に招いて研修会等を行う予定です」

 また、テレビ山口の池田総務局長は取材に対し、「放送前に細心の注意を払うべき内容で、ご指摘を真摯に受け止めている。当初は女性だと思って取材をしたが、放送の可否を本人に確認すべきだったと反省している。字幕についても適切ではなかった」と答えました。本人に直接謝罪する意向だそうです。取材には番組プロデューサーが同席していたといい、「番組の内容はプロデューサーがチェックするが、今回はプロデューサー自身が取材を担当していた。今後はチェック態勢を強化したい」と語りました。
 
 今回問題となった番組は、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会の審議にかけられているそうです。

 放送でのトランスジェンダー方の扱いをめぐっては、読売テレビが5月に放送した報道番組の街頭ロケで、出演者が一般人の性別を確認しようと体に触れたり、保険証を確認したりして、生放送でコメンテーターが「許しがたい人権感覚の欠如」と激怒するという出来事があったばかりです(詳しくはこちら

 「原因を検証し、再発の防止に努める」とのことですので、何が原因だったのか?の究明については、もうしばらく待たないといけませんが、少なくとも社の放送番組基準の「性的少数者の人権への配慮」が実効性を持っていなかった、プロデューサーの方ですら理解が全くなかった(研修などによる周知が行き渡っていなかった)ということは言えるでしょう。

 今後も他の局で同様の差別事案が発生したりしないよう、やはり、一部の自治体の取組みだけでなく、LGBT差別禁止法のような法制度の整備が必要なのではないでしょうか。
 
 
 


参考記事:
性的少数者を「珍 女性のような男性」 テレビ山口(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASMCG5S30MCGTZNB015.html
「珍 女性のような男性」 テレビ山口が番組で性的少数者に差別表現(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191115/k00/00m/040/257000c
性的少数者に「珍」テロップ テレビ山口の番組(産経新聞)
https://www.sankei.com/west/news/191115/wst1911150017-n1.html
テロップで「女性のような男性」 性的少数者の取材相手に対し―テレビ山口(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111500902
情報番組で「女性のような男性」 テレビ山口がおわび(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASMCH5F05MCHTZNB019.html
LGBTに対して不適切放送 テレビ山口が謝罪(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52233640V11C19A1000000/

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