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同性結婚している米女優シンシア・ニクソンがNY州知事選出馬へ

 米ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)』のミランダ役として有名で、トニー賞、グラミー賞、エミー賞の受賞経歴をもつ女優のシンシア・ニクソンが3月19日、ニューヨーク州知事選挙予備選に民主党から出馬することを表明しました。9月の民主党予備選で現職のクオモ州知事と党の候補者指名を争い、11月6日の本戦で勝てば、女性としてもLGBTとしても初のニューヨーク州知事となります。

2009年、NYで行われた結婚の平等を求める集会で演説し、聴衆の喝采を浴びたシンシア・ニクソン


 1990年代後半から2000年代初頭にかけて放送されたSATCは、ニューヨークで暮らす30代の女性4人の姿を描いたドラマで、エミー賞も獲得しています。女性やゲイの熱い共感を得て大ヒットを記録し、続編の映画も2本公開されました。ニューヨークという最高にオシャレでリッチな街で、それぞれ微妙にキャラが異なる女友達のなかにおいてミランダは、唯一のハーバード大出身の弁護士というカタいキャラクターで、その真面目さがコミカルに空回りしたりしつつも、サバサバした性格が支持されました。そんなミランダを演じたシンシア・ニクソンは、実生活でも真面目な活動家で、教育、LGBTの権利、女性の権利などの問題に積極的に取り組んできました。2009年には、ニューヨーク州での同性婚実現を求める集会に登場し、同性のパートナー、クリスティン・マリノーニ(現在、リチャード・ブエリー市戦略室助役のアドバイザーを務めています)との婚約を発表、「ニューヨーク州で同性婚が認められるまで結婚はしない」と宣言し、聴衆の喝采を浴びました。2011年にニューヨーク州議会で同性婚法案が可決され(クオモ州知事が法案に署名しました)、2012年にシンシアとクリスティンはめでたく結婚、2人の子どもも育てています。2013年のニューヨーク市長選では、当時副市長だったビル・デブラシオ市長を応援し、各地を遊説しました。現在、デブラシオ市長の諮問委員会委員も務めています。
 
 3月19日、シンシア・ニクソンはTwitter上に出馬表明となるキャンペーン動画をアップしました。
「ニューヨークは私のホームそのものです。私はニューヨーク以外に住んだことはありません。階段で5階まで上がらなければならないワンルームの家で、私は母と二人きりで育ちました。そして今は母として、自分の子どもも、ここニューヨークで育てています。私自身、公立校の出身で、子どもも公立の学校に通っています。現在のニューヨークの子どもたちにはないチャンスが、私にはあったのです。私たちのリーダーたちには失望しています。ニューヨーク州は、全米で最も貧富の差が激しい州となってしまいました。半数の子どもたちは、貧困線以下の暮らしを強いられています。どうしてこんなことになってしまったのでしょう。私はニューヨークを愛しています。他のどこにも住みたいと思ったことはありません。ですが、変化が必要です。政府が再びきちんと機能することを望んでいます。医療保険制度や大量投獄の見直し、そして地下鉄の修復も必要です。私たち国民のことより、ニュースの見出しや権力に注力する政治家にはもううんざりです。私の名前はシンシア・ニクソン、そして私はニューヨーカーです」
 2分12秒のキャンペーン動画には、家族がいっしょにくつろいだり、子どもを学校に送ったり、地下鉄に乗ったりする姿も映しだされています。 

 3月20日にはニューヨーク市で最も貧しく、最も犯罪率が高く、黒人住民が多いブルックリン区ブラウンズビルで記者会見が行われました。ニューヨーク州都市交通局(MTA)の地下鉄ダイヤが混乱していたため、シンシアは会見に遅れて到着。早速、「崩壊状態の地下鉄を立て直さなくてはならない。アンドリュー・クオモと異なり、私たちは毎日地下鉄に乗っている。ニューヨークに不可欠な血管なのだから」と述べました。
 そして、このような公約を発表しました。
1. ニューヨーク州は、全米で2番目に貧富の格差が激しい。州北部の半分の子どもが、貧困ライン以下の生活をしている。ニュースの派手な見出しだけを追い求めるリーダーはもういらない。
2. ニューヨーク州の学校は、全米で2番目の格差を抱えている。公立校の予算を増やし、1クラスの定員オーバーを解消する。
3. LGBTQの権利を拡大。人工中絶の権利の拡大。
 
 州内で最大の票田であるニューヨーク市では、地下鉄の脱線事故やダイヤの乱れ、ドアが開かなくなる、駅の間で止まってしまうなどのトラブルが続き、州が管轄する地下鉄の運営が過去最悪であることに批判が集まっています。また、同市に対する公立校への州予算の削減も続き、クオモ知事の支持率は伸び悩んでいます。シンシア・ニクソンが女性やマイノリティに焦点を当てた#MeTooの盛り上がりの波に乗ることは確実で、州知事選予備選挙で「台風の目」になる可能性もあると見られています。
 2014年の知事選でクオモを支持した団体は19日、CNNの取材に対し、今年についてはまだ態度を決めていないと述べています。
 今のところ、最近の世論調査では、支持率はアンドリュー・クオモが66%、シンシア・ニクソンは19%となっているそうですが、彼女は生粋のニューヨーカーですし、女優としての知名度もありますし、LGBTQからの支持も得られるでしょうし、今後、どんどん支持率を上げていくことも期待できるのではないでしょうか。
 2018年、もしかしたら同性結婚して子育てもしている女性のニューヨーク州知事が誕生するかもしれません。
 


参考記事:
セックス・アンド・ザ・シティ女優が知事選に(FNN)
女優C・ニクソン氏、NY知事選への出馬表明=米人気ドラマ出演(時事通信)
女優ニクソン氏が出馬表明 米NY州知事選(共同通信)
NY州知事選に出馬、米人気ドラマ出演のニクソンさん(日経新聞)
SATCミランダ役の女優C・ニクソン、NY州知事選に出馬表明(ロイター)
シンシア・ニクソン氏、NY州知事選に出馬 米人気ドラマ出演(CNN)
女優シンシア・ニクソン氏、NY州知事選に出馬へ(ウォール・ストリート・ジャーナル)
初の女優・レズビアン知事の誕生か?あのミランダがNY知事選に立候補(BUSINESS INSIDER)

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