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LGBT研修を選ぶポイント

記事日付:2023/12/31


LGBT研修を実施する企業が2018年から急増してきました。今回は2017年からLGBTに関する研修を始めて今まで大手企業を中心に全社員10名ほどのスタートアップ企業、地方自治体など様々な組織に向けて年間で100回以上LGBT研修やLGBTセミナーを実施してきました屋成和昭がLGBT研修を選ぶポイントを解説します。

実際に2023年12月に台東区主催で行われた講演の様子をこちらから御覧頂けます。

私自身はLGBTのいずれでもなく、ストレートの男性(異性愛者でシスジェンダー)であり、2016年にLGBTの方向けの人材紹介会社の立ち上げに関わるまでは全く何もわかっておらず、誤解ばかりしていていました。
そんな、私が何故研修をするようになったのかはLGBTERさんにインタビューをして頂いたのでよろしければご覧ください。

LGBT研修はアウト·ジャパンが提供しているサービスではありますが、今回は客観的に研修を選ぶ立場でポイントを整理していきます。





LGBT研修を選ぶポイント①
会社や講師はどうやって選ぶ?
 

研修というサービスの中で最重要なのは、講師です。
情報、知識を伝えるという事が研修の本質なのでわかりやすい、聞きやすい、惹きつける、場合によっては面白いなどは必須の条件です。

ただ、私自身もたくさんの研修を受講しましたがほとんど講師の方(研修講師までされている方)はわかりやすく、聞きやすいモノでした。
なので、あまり遜色はないように感じますのでここは好みや相性になってきます。
講師の方と直接お話する機会をもって「ピン」とくる方を選ぶのがよいと思います。

もう1点、LGBT研修の大きなポイントになるのがLGBT当事者の方が良いかどうか?です。

「LGBTに会った事がない」「話した事がない」「テレビの中の話」「新宿2丁目とか特別な場所にいる人」などたくさんの誤解をされている方が多いので、そういった方にはLGBTの方の話を目の前で直接聞く事は、その事自体に大きな意味があります。

そして、実体験に基づいた体験談や職場でのエピソード紹介は大好評で反応はとても良いです。LGBT基礎研修でははずせない要素だと感じます。

一方で、LGBT当事者でない講師はどうなのかというと(私もそうです)こちらも評判はいいです。多くの受講者はLGBT当事者ではないので同じ視点から何故アライ(LGBTを理解し、支援する人)になったのか?といった話しや私が誤解していた頃に失敗をしていた話を紹介する「しくじり先生」のようなエピソード紹介は好評です。

多くの受講者がLGBT当事者ではない研修では、当事者でない視点を持って話しができる側面とLGBT当事者が直面してきた事実をきちんと伝える側面の両面が伝えられる講師がよいのではないかと思います。

私自身はそんなに器用ではないので、LGBT当事者の方をゲストスピーカーとしてお呼びする事で両面性を確保しています。





LGBT研修を選ぶポイント②
価格·費用·時間はどうなの?

費用に関しては研修を受講する立場からすれば、安ければ安いほうがいいです。
ただ、準備する立場からすれば研修を実施するための情報や知識のインプットからのコストを考えて頂ければ嬉しいです。
一度だけでなく複数回や定期的に開催して頂くのであれば価格についての相談にのりやすくはなります。
費用の相場は内容や時間などでかなり幅がありますが、30万円~50万円くらいが多い気がします。
アウト・ジャパンではゲストスピーカー1名と私の2名で行うLGBT基礎研修は25万円くらいでやらせて頂いております。(内容や条件などによって変更します)

研修の実施時間は対象や目的によって変わりますが90分~120分ほどで実施する事が多いです。60分で実施する事もありますが、理解を深めて頂くためには90分くらいはあった方がよいかな?と感じます。



LGBT研修を選ぶポイント③
実施方法、研修のやり方(オンライン研修、eラーニング)はどうなの?

今までは集合研修でやっていくのが90%以上だったLGBT研修ですが、2020年の3月以降は物理的に集合ができなくなりオンラインで実施する事が増えました。
どちらが研修の効果があるかに関しては、総合的にみるとLGBT研修に関しては集合研修かなと今のところは感じます。(オンラインはまだまだ事例が少ないので今のところは)

ただ、集合できないからオンラインでやるといったネガティブな理由で行った研修の中でもメリットを感じる事がありました。

オンラインでの研修によって起こった最大の変化は当事者のエピソードトーク後の質問が増えた事です。

この理由は、質問を受け付ける方法やそれまでのプログラムでの工夫などの影響もあると思いますが、みんなの前で挙手をして質問をするというハードルがなくなった点と誰が質問したのか?がわからないという安心感によるものだと感じます。

もう1点、これはコストとも関連する内容ですが遠隔地から人を集めるための時間や金銭的負担を減らせるために開催回数や時間を確保できるメリットはLGBT研修に特有ではないですが大きなメリットだと感じます。

今後、内容によって集合研修でやったほうがいい内容、オンライン研修でした方がよい内容の見極めや効果を考えていく事が重要になると感じます。

また、eラーニング教材などを活用していく事も増えてきています。
新入社員研修、新任管理者研修、ハラスメント研修などのヒトコマとして10分ほどの動画をうまく活用している事例も増えてきました。

アウト・ジャパンが提供しているコンパクトにまとまったeラーニング用動画に興味ある方はこちらから



LGBT研修を選ぶポイント④
内容は?

研修の内容に関しては、この3年間で実施した8割以上がプログラムとしてはLGBTの基礎知識、「正しく知ろう」といった内容でした。
LGBTとはSOGIとはSOGIハラとはなどを解説すると共に、LGBT当事者のエピソードを聞くといった内容です。

ただ、プログラム内容はほとんど同じでしたが、各社の目的はそれぞれ違います。 相談窓口の運用をしていきたい、その担当者に受講させたい。 今後、会社として取組みをはじめたいので役員や管理職に基礎知識を学んでほしい トランスジェンダーからの要望があったので応えていきたい など、様々でした。

この記事を読まれている方はおそらくなんらかの理由があり研修の実施を検討されている方だと思います。内容に関してはぜひ、研修会社に相談される方がよいと思います。

LGBTとはといった知識や情報はどこもきちんと伝えてくれる内容になっています。大事なのは「なぜ、LGBT研修を実施しようか」という理由や目的にあるはずなので、そこを伝えてしっかりとした内容を検討されるのがよいと感じます。

とは、いってもどんな内容があるのか、メニューや実績を見てみたいと私が担当者であれば思うので、アウト・ジャパンではできるだけ多くの実績や研修の様子内容を実施企業のみなさまへお願いして公開させて頂いているので参考にしてください。
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LGBT研修に必要なモノは何なのか?と数年間ずっと考えています。答えはまだ見つからないのですが、
本屋大賞2019ノンフィクション本大賞受賞した「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」の中でとても心に響くフレーズがありました。

世界中で起こっているいろいろな混乱や問題を乗り越えていくためには自分とは違う立場の人々や違う意見を持つ人々の気持ちを想像してみる事
「他人の靴を履いてみること」「エンパシー」が大切だというフレーズがでてきます。

この「エンパシー」こそ、LGBT研修に必要なものなのではと感じています。

こちらに詳しく書かれています。

「シンパシー」は同情とか相手の気持ちへの同調という意味ですが、「エンパシー」は共感、感情移入などと訳され、完全に相手と同じ気持ちになることはできないとわかっていながら、
相手を尊重し、相手の立場だったら…と想像力を働かせ、能動的に支援しようとするニュアンスです。

「エンパシー」、「他人の靴をはいてみること」のきっかけになれる事がLGBT研修に必要な要素であると感じます。



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