GLOSSARY

LGBTQ用語解説

シビルユニオン

 シビルユニオンは、結婚に似た(しかし結婚とは区別される)法的に承認された取決めのことを指します。同性パートナーシップを法的に承認するために生み出された言葉です。国や州によって、シビル婚、シビル・パートナーシップ、登録パートナーシップ、ライフ・パートナーシップなど様々な呼び名がありますが、概ね、ドメスティック・パートナー法が「同性パートナーにいくつかの権利を与える」ものであるのに対し、シビルユニオンは「男女の夫婦とほぼ同じ権利を与える(ただ結婚でないだけ)」という意味合いで使われることが多いです。
 
 1980年代にサンフランシスコ(や近隣のバークレー)でドメスティック・パートナーという概念や制度が生み出され、結婚の一部の権利を認めるドメスティックパートナーシップ制度を発展させて、1989年にデンマークで登録パートナーシップというシビルユニオンが世界で初めて成立しました。1990年代後半には、欧米の各地でシビルユニオンの制度が作られるようになりました。2000年代以降、同性婚が実現した国々の多くは、シビルユニオンを結婚に置き換えていきました(希望すればシビルユニオンに留まることができる国もあります)
 
 シビルユニオンは、当事者コミュニティから「まずは同性婚への第一歩を踏み出した」「結婚と同等の権利が認められた」と肯定的に受け入れられましたが、すぐに、これは「分離平等政策※」であり同性愛者を「二級市民」の状態に置くものであると見なされるようになり、「結婚の平等」へと向かうようになりました。
 
※かつて、黒人と白人が使用する公共施設が別々であった時代に、両者の品質が同等であれば人種差別に当たらないとする「分離すれど平等」という主張がなされていた時代がありました。もちろん、のちに撤廃されることになります。
 
 いま同性婚(結婚の平等)を実現しているような国々でも、一気呵成に実現したのではなく、まず同性愛者のための準婚姻制度としてシビルユニオンを認めよう、というステップを踏んだ背景には、結婚には「神が認めるもの」という神聖な意味合いが含まれるため、カトリック教徒やキリスト教原理主義者(福音派など)が同性愛者の結婚に強く反対したという事情がありました。

 一方、フランスのPACS(民事連帯協約)のように、もともとは同性カップルにも法的権利を認めようという趣旨で創設されながら、同性カップルも異性カップルも利用できるような制度設計がなされたため、同性婚が実現した現在でも、(権利も義務も発生する重い契約関係である)結婚よりももう少しライトに法的なパートナーシップ関係を結べる制度として利用されているようなシビルユニオンもあります。


<シビルユニオンが認められている国や地域>
イタリア
サンマリノ
スイス
リヒテンシュタイン
チェコ
ハンガリー
アンドラ
モンテネグロ
ギリシャ
キプロス
スロベニア
クロアチア
エストニア
メキシコ(一部の州)
ベネズエラ(一部の州)
チリ

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