GLOSSARY

LGBTQ用語解説

ノンバイナリー

 性自認が男性と女性の間のグラデーションの上にあるとか、男性でも女性でもない(該当する性別がない)とか、どちらでもあるといった、男性/女性の典型的な二分法(バイナリー)に当てはまらない方全般を指します。日本では「Xジェンダー」という言葉が(MtX、FtXなどの言い方も)先行して使用されてきましたが、欧米では「ノンバイナリー」がよく用いられています。
(なお、ノンバイナリーは性表現についても用いられる言葉で、そこがXジェンダーとは異なっています)
 
 出生時に割り当てられた性別と自認する性別が異なり「性別違和」に悩むという意味では、広義のトランスジェンダーの中に含まれると見ることができます(欧米ではシスジェンダーではない非常に多様なありようを総称するTRANSGENDER UMBRELLAという考え方が提示されています)。一方、いわゆる(狭義の)トランスジェンダーの方が男性または女性のどちらかの性別を強く自認していることから、ノンバイナリーはトランスジェンダーに含まれない、別であると考える方もいらっしゃるようです。
 
 サム・スミスや『クィア・アイ』のジョナサン・ヴァン・ネス、デミ・ロヴァートなどがノンバイナリーであることをカムアウトしており、世界的に広く知られるようになった感があります(日本でも、宇多田ヒカルさんがノンバイナリーであるとカムアウトしたことが大ニュースとなりました)

 権威ある辞書「メリアム・ウェブスター」が2019年の「Word of the Year」に単数形の「they」(ノンバイナリーの方への配慮として用いられる性別を問わない代名詞)を選んだことも、象徴的でした。

 ノンバイナリーの方に対する敬称(Prefix)としては、Ms.やMr.ではなく「Mx.(ミクス)」があります。
 世界には、ノンバイナリーの方のために、パスポートやIDに「M」「F」以外に「O」や「X」を設けている国もあり、少しずつ増える傾向にあります。
 
 
 なお、ノンバイナリーとほぼ同様の意味合いの言葉が、様々あります。

 「ジェンダークィア」は、ノンバイナリーとほぼ同義です。ノンバイナリーが「性別二分法にとらわれない」というニュアンスであるのに対し、「ジェンダークィア」は「非典型である」というニュアンスだと思われます。

 「ジェンダー・ノンコンフォーミング」も、ノンバイナリーとほぼ同義ですが、既存の枠組に収まらない、従来の社会通念で規定されたくない、というニュアンスがあります(「conform」は(規則などに)従う、遵奉するという意味)


 古くから(インドのヒジュラーや、メキシコのムシェなど)世界には「第三の性」と呼ばれる方が存在してきました。「第三の性」の方は伝統的に、お祭りの時に祭司を務めたり、ヒーラーであったりすることが多く(時にカースト外であり、時に神の遣いと崇められる存在だったりしてきました)、「ノンバイナリー」とは異なるイメージを持たれがちです。厳密に区別すべきであるということではありませんが、より現代の文脈でニュートラルに語ろうとする場合は、「第三の性」よりも「ノンバイナリー」と言ったほうがよいでしょう。
 

<法的に、出生証明書やパスポートの性別欄でノンバイナリー(サードジェンダー)を選べる国>
インド
ネパール
バングラデシュ
パキスタン
オーストラリア
ニュージーランド
ドイツ
オーストリア
アイスランド
カナダ
アメリカの一部の州(オレゴン、メーンなど)

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