GLOSSARY

LGBTQ用語解説

ホモフォビア

 同性愛嫌悪=ホモフォビア(Homophobia)は、同性愛に対する非合理的な嫌悪のことで、社会心理学的な概念です(心の中で「気持ち悪い」と感じること自体はホモフォビアではなく、その嫌悪感・憎悪が行為として表現された時にホモフォビアと呼ばれます)
  「同性愛を嫌悪する」という形容詞はホモフォビック (Homophobic) 、「同性愛を嫌悪する人物」はホモフォーブ (Homophobe) と言います

 例えば古代ギリシアのポリスでは(あるいは日本の戦国武将の間では)ホモフォビアはありませんでした。時代や社会によって、ホモフォビアが「蔓延」したり、なくなったりします。個人個人の好き嫌いではなく、宗教や政治、社会のありように規定されるのです。

 1960年代まで同性愛は、犯罪というだけでなく、精神病であるとみなされていましたが、70年代になってゲイの精神科医がカムアウトして「病んでいるのは同性愛者ではなく、同性愛を嫌悪する感情の方だ」と主張しはじめました。精神医学界は、カミングアウトしたゲイは 「患者」で、隠している人は「治療する側」に分類されるという異常な事態に気づくようになりました。それが「ホモフォビア(同性愛嫌悪)」という概念へと結晶していきます。
  1990年5月17日、精神科医が診断の手がかりとする世界保健機構(WHO)の「国際疾病分類(ICD)」から、同性愛が「人格異常」や「精神の病」だとする記述が削除され、晴れてゲイは異常ではないということが国際的に認められるようになりました。
 
 ホモフォビアは、家父長制の男尊女卑的な社会、宗教国家、軍隊や体育会的社会において根深いものとなりやすいと言われています。男だけで結託して社会を牛耳ろうとするような、男社会的な関係性(集団)を「ホモソーシャル」と言いますが、ホモソーシャルな集団には女性と同性愛者を見下し、排除することで男どうしの「絆」を強めようとする傾向が強いのです(言い換えると、ホモフォビアとミソジニー(女性嫌悪)で特徴づけられます)
  
 なお、ホモフォビアは異性愛者だけの病ではありません。同性愛者自身も世間のホモフォビアを自ら内面化し、苦しむことが多いのです。


 

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