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レポート:京都レインボープライド2024

2024年4月20日、京都市で第4回を数える京都レインボープライド2024が開催されました。パレードに約1000名、フェスには約5000名が参加しました(主催者発表)。VENさんのレポートをお届けします

 京都では2021年から京都レインボープライド(そらにじ京都)のパレードが開催されています。1回目は市役所前から円山公園までパレードし、2回目は市役所前から梅小路公園までパレードした後、フェスも開催、3回目も同様でした。今年は市役所を離れ、梅小路公園→堀川通→塩小路通→京都駅→東本願寺→五条通→堀川通→西本願寺→梅小路公園いう新しいコースとなりました。また、(おそらく会場の都合で)TRPと重なる日程となりました。1994年の日本で初めてのパレードに参加して以来、日本で最もたくさんパレードに参加してきたVENさんによるレポートをお届けします。
 
【これまでのレポート】
レポート:京都レインボープライドパレード
https://gladxx.jp/features/2021/scene/7034.html
京都レインボープライドパレードフェス2022
https://gladxx.jp/features/2022/scene/7752.html
京都レインボープライド・パレードフェス2023
https://gladxx.jp/features/2023/scene/8567.html


 2024年4月20日、第4回京都レインボープライドが開催されました。今年のテーマは「ただいま。おかえり。 いつでも帰りたいと思える京都、誰でも迎えられる京都を目指して。」でした。
 今回初めて、集合場所が梅小路公園となり、梅小路公園でのフェスのなかでパレードも行なうかたちとなりました。
 昨年と違って今年は青空の下、開催されました。

 朝10時、梅小路公園でフェスがスタートしました。
 まずは出展ブースをご紹介します。









  このほか、「レインボー風車を作ろう」ブースや「あすには(選択的夫婦別姓・全国陳情アクション)」、レインボーフェスタ和歌山にも出店していた光洋軒(九条ねぎ、宇治茶の七味、スイーツを販売)、「Japan Pride Network」(全国の団体のオリジナルグッズを販売)、交流スペース、「PLANET」(HIV/エイズに関する資料を展示したり、販売していました)などのブースもありました。ブースはありませんでしたが、チェリオの社員の方々がライフガードを無料配布してくださって、暑さの中、喉が潤いました。いつもありがとうございます!
 
 ステージでは、キズキシルシさんが司会をつとめました。
 代表のLOYさんが開会の挨拶をして、昨年は雨でしたが今年は晴れましたね、と嬉しそうに話しました。

 その後、京都市の吉田良比呂氏副市長がスピーチし、参加者にエールを送ってくれました。
 ステージパフォーマンスのトップバッターは、司会も務めるシンガーソングライターのキズキシルシさん。元気なステージでみなさんにパワーを送りました。

 続いて、梵senriのお二人が津軽三味線を披露。ダイナミックな演奏を聴かせてくれました。

 続いて、ほんまなほさん。ドキュメンタリー映画「94歳のゲイ」の長谷忠さんが作詞作曲したという歌を歌ってくれました。心情が伝わってくる歌詞でした。

 続いて、駐大阪・神戸米国総領事館の方が登場し、LOYさんとトーク。昨年、米国領事館から招待を受けて「結婚平等の闘い」をテーマに米国で研修を受けたメンバーによる報告が行なわれ、可視化と継続性が大事だということを学んだ、とても有意義な研修だったといいうお話でした。日本での「結婚の自由をすべての人に」訴訟の現在の状況についても話されていました。



 続いて、Japan Pride Networkのみなさん。さっぽろレインボープライド、京都レインボープライド、レインボーフェスタ、岡山レインボーフェスタ、九州レインボープライドのみなさんが、今年のプライドイベントの告知をしました。さっぽろレインボープライドのぐっちさんは京都の出身で、自身のセクシュアリティに悩み、京都から離れた、時間が経って自身を受け容れることができ、今回、京都レインボープライドに初参加したと語りました。まさに「ただいま。おかえり。」ですね。

 続いて、作家のりゅうこころさんのトークショー。一緒に登壇したのは、ジェンダーフリーの美容室を経営している方。著書「きみのとなり」を執筆するきっかけになったエピソードを交え、力強いトークを聞かせてくれました。「知らないから差別してしまう人もいると思います。そんな人にも発信していきたい」と語っていました。

 続いて、京都でHIV/エイズにまつわる啓発活動を行ない、長きにわたってキャンドルライトパレードを開催してきた「PLANET」の方が登壇。今年5月18日に32回目のパレードを開催するそうです。コロナ禍の始まりの時はエイズパニックを思わせるような状況だったと語り、血液製剤からの感染、性感染、裁判のこと、最近の梅毒の感染拡大への危機感などについてお話していました。
 続いて、京都で2021年から学生が行なっているプロジェクト「にじのわ」のみなさん。個性を認め合いみんなが暮らしやすくなるよう、LGBTQ+を題材とした映画上映、勉強会、交流会などを行なっています。メンバーは当日のボランティアもしていました。

 続いて2月に設立したばかりの関西大学の学生団体「Your Voice Lounge」のみなさん。女性や性的マイノリティ、外国にルーツのある学生などの声を可視化し、大学側に伝え、男女二元論の問題、大学側の対応の遅れ、性に関して話せる場所づくりなどに取り組んでいき、ゆくゆくは学内にプライドセンターを作りたいという目標を掲げ、頑張っていくそうです。

 続いて、建国中高等学校・伝統芸術部「夢舞〜ムーブ〜」のみなさんによるステージ。創部以来、韓国と日本、アジアの架け橋になることを願い、韓国の伝統打楽器や民族舞踊の習得に励み、今回、京都レインボープライドのステージに初めて登場してくれました。息のあった迫力あるパフォーマンスに、フェス参加者だけでなく、梅小路公園に来ていた親子連れなども集まってきました。素晴らしいステージに、私も感動しました。


 13時半頃、パレードに向けて整列がはじまりましたが、ステージ上から与謝野町の山添藤真町長がエールを送っていました。(なお、パレードスタート直前、立憲民主党の福山哲郎議員も駆けつけてくれました)
 パレード中もステージでは、タイラーさんによるポールダンス、RUKAさんの歌のステージ、茉宮槿(まみやむくげ)さんのライブ、女御亭抱好喜(おなごていだいすき)さんの落語、セビロジンさんの漫才、Focus of Attentionのみなさんのダンスなどが行なわれました。
 
 14時、パレードが出発しました。
 梅小路公園から堀川通に出て、京都駅前を目指します。
 先頭には横断幕を持ったLOYさん、キズキシルシさん、副代表のゆうこさん、後ろにJapan Pride Networkのみなさんが続きます。作家のりゅうこころさん、参議院議員の石川大我さん、三洋化成のみなさん(第1回から欠かさず歩いている安藤会長も)、日本新薬のみなさんなども参加していました。パレスチナ問題についてのプラカードを持って歩く方々も後に続いて歩きます。
 塩小路通を曲がり、いよいよ京都駅前に。学生さんや買い物客、観光中の外国人の方など、たくさんの方たちが沿道から見ています。近くまで来て応援してくれる方、遠くから見ている方、レインボーフラッグを持って先回りしている方などもいました。温かなムードでパレードは進んでいきます。
 京都タワーの角を曲がって烏丸通を東本願寺の方へ上がります。東本願寺の前では、大きなフラッグを持って「Happy Pride」と応援してくれる方もいれば、浜松の鈴木げんさんがパートナーの方と一緒にフラッグを振って応援してくれたりもしました。東本願寺のマルシェで買い物をしていた方もパレードを見ていました。
 五条通りを西に入ると、行きかう車やバスの中からも手を振ってくれる方がいました。撮影中、近くにいた二人連れが「京都でこういうパレードを見るとは思わなかった。東京とかならありえるけど」と言っていました。
 堀川通を下り、パレードはラストスパートにさしかかります。西本願寺の辺りも人が多かったです。西本願寺には五色幕が飾られ、パレードを応援するかのように、風になびいていました。
 西本願寺のところで西に入り、梅小路公園まであと少しとなりました。最後にもう一度、みんなで「Happy Pride」とコールしました。
 梅小路公園にゴールし、エンディングのステージが始まる前に、記念撮影をしました。離れてしまった後方グループの到着を待ち、参加者みんなで並んでパチリ。みなさん、良い表情でした。












 少し休憩を挟んで、エンディングのステージイベントが始まりました。
 LOYさんのライブ。「ソンゴンシデ〜成功時代〜」、映画「風が通り抜ける道」挿入歌「ニライカナイ」の2曲を披露しました。
 そしてラストは、実行委員5名による合唱。プライド開催のために頑張ってきたみなさんが素敵な歌声で「どんなときも」「私は最強」を歌ってくれました。
 最後にLOYさんが「生きづらい世の中じゃなくなるまで、差別や偏見がなくなるまで、京都レインボープライドはやり続けます」
「逆風がまだ吹いていますが、京都レインボープライドはいつもここにあります。みなさんの味方です。ひとりじゃありません。あなたの居場所はここにあります」「京都出身の人も、そうじゃない人も、いつでも、ただいま、おかえり、と言える京都にしたいです」と語りました。心が温かくなるような力強いスピーチでした。
 そして「おかえり!」(実行委員のみなさん)、「ただいま!」(参加者のみなさん)との掛け声で、フィナーレを迎えました。


 また来年も京都レインボープライドでお会いしましょう。

(取材・文:VEN)


VEN
岐阜県在住のゲイ(50代)で、1994年の日本初のプライドパレードから現在に至るまで、全国で開催されるプライドパレードのほとんどに参加し、自身のPRIDEを示しながら地方のパレードも応援してきた方で、その参加回数は100を超えています(おそらく日本一)。2006年の第10回レインボーマーチ札幌のステージでは、全10回に参加したとして「皆勤賞」を授与されています。「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」や「性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクション」にも参加しています。2023年6月21日の朝日新聞「ひと」にも登場しました。

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