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米アマゾン、トランスジェンダーを「精神疾患」だとする書籍を販売停止に

 米アマゾン・ドット・コムは、誤った知識に基づきトランスジェンダーなどのジェンダーアイデンティティを「精神疾患」として描く書籍を販売しないことを表明しました。
 

 アンチLGBTQの作家、ライアン・T・アンダーソンが2018年に発表した著作「When Harry Became Sally: Responding to the Transgender Moment」は、でたらめな科学知識に基づきトランスジェンダーの人々のジェンダーアイデンティティを「精神疾患」として描いているとして発売直後から批判されていました。
 ライアン・T・アンダーソンは長年、LGBTQの権利擁護に反対してきた人物で、以前の著作「Truth Overruled」では、結婚は男性と女性の「相補性」に基づくものであり、結婚の平等を認めることは異なる信念を持つ人への迫害だなどと述べて同性婚に反対していました。

 アマゾンは今年2月、バイデン政権がLGBTQへの差別を禁止するイクオリティ・アクト(平等法)を下院で通過させたのと同じ週に、電子書籍版やオーディオブック版を含むプラットフォームからアンダーソンの著作を削除しました。

 アンダーソンは『FIRST THINGS』誌で、「ジェンダーにからむ問題が社会に重大な混乱を生じさせていることは明らかだ。人々の議論を呼ぶ問題を、彼らは消し去ろうとしている」「諸君がジェンダー・イデオロギーに異議を唱えたときにビッグ・テックが何をするか、いわゆる平等法ってやつが成立したらビッグな政府が何をするか、見ておくがいい」などと批判しました。
 共和党のマルコ・ルビオ上院議員らはアマゾンの対応について「保守派の米国人をプラットフォームから追放する試みだ」として説明を求めていました。
 その返答として、アマゾンのブライアン・ヒューズ公共政策担当副社長は、3月11日付の書簡のなかで、「本を売る者として、私たちはお客様に、ある人にとっては不快に感じられるかもしれないような本も含め、様々な視点で書かれた本を提供しています。とはいえ、それを販売することで疑問を抱かせてしまうような内容の本を売らずにおく権利も持ち合わせています。私たちは、LGBTQというアイデンティティを精神疾患として描く本を販売しない選択をしました」と述べました。

 GLAADはこの決定を歓迎し、「アンダーソンの著作は危険であり、トランスジェンダーの子どもたちにとって有害である。アマゾンの決定は、LGBTQ、とりわけトランスジェンダーの若者にとって有害な、誤謬に満ちたネガティブキャンペーンを終わらせるための前向きな一歩だ」との声明を発表しました。
 
 
 
参考記事:
米アマゾン、性的少数者を「精神疾患」と主張の書籍を販売停止に(Forbes JAPAN)
https://forbesjapan.com/articles/detail/40328
アマゾン、LGBTQを精神疾患とする書籍販売せず(ウォール・ストリート・ジャーナル)
https://jp.wsj.com/articles/amazon-won-t-sell-books-framing-lgbtq-identities-as-mental-illnesses-11615523093
Amazon Won't Sell Books Calling LGBTQ+ Identity a Mental Illness(Advocate)
https://www.advocate.com/transgender/2021/3/12/amazon-wont-sell-books-calling-lgbtq-identity-mental-illness

 

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