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「コロナ禍の影響で住まいを失いそうなLGBTへのアンケート」の結果の詳細と考察が発表されました

【支援のお願い】コロナ禍で住まいを失ったLGBTのためのシェルター増設に向けての記事でもお伝えしたように、「LGBTハウジングファーストを考える会・東京」がこの5月、LGBTのなかにも新型コロナウイルスの感染拡大の影響で仕事や収入が減り、住まいを失ってしまう方が増えていくのではないかとの懸念から緊急アンケートを実施し、その結果、仕事が危機的という方が3割に上り、今後、多くの方が住まいを失う可能性がある、すでに住まいをなくしている方も4名、ということがわかりました。同会は昨年設立したシェルター「虹色ハウス」に急遽、1名入居という対応を取りましたが、やはりもう1部屋シェルターを増やしたいということで、クラウドファンディング(支援のお願い)を始めています。
 このアンケートの結果の詳細と考察がこちらに掲載されましたので、ご紹介いたします。122名(ほぼ20代〜50代で、多くがゲイやレズビアンの方)から回答が寄せられました。
 もちろん、一般の会社で働いていて仕事がなくなって生活が苦しくなったという、世間の多くの方と同様のお話もたくさんあったのですが、それだけでなく、休業を余儀なくされたゲイバーの方々が、お店を閉めることになった、収入がゼロになり、仕方なく部屋を引き払って荷物を詰めて地方の実家に帰った、といった切実なお話もたくさんありました。
 【署名のお願い】二丁目コミュニティが消えてしまわないように… #SAVEthe2CHOME(ご協力ありがとうございました)でもお伝えしたように、二丁目(をはじめとする全国のゲイバーやレズビアンバー)はただの繁華街・歓楽街ではなく、家庭や学校や職場で本当の自分をオープンにできずに苦しんでいる方たちが自分らしくいられる貴重な場所であり、セクシュアルマイノリティの仲間や生涯のパートナーに出会えたりもするかけがえのない場所であり、自分はこのままでいいんだと思え、セクシュアルマイノリティとして生きるパワーを与えてくれるような場所です。ゲイやレズビアンの方が、同じゲイやレズビアンの仲間のために自力でオープンし、コミュニティ的な場所として経営を続けてきたわけですが、コロナ禍のなか休業を余儀なくされ、このような苦境に立たされていること、本当に胸が痛みます。
 また、「親にも言えないマイノリティは、自分の家族もできなかったりするので、本当に孤独ですし、精神的にも辛すぎです」「仕事をして社会的地位を確保しながら贅沢ができなくても安心して死ねるような環境がほしいです」といった、そもそもの根源的な同性愛者の生きづらさが悲痛な叫びとなって現れたような声や、「外国人のパートナーが在留資格が不安定で、外出も容易でないなか、仕事もできず、精神的に不安定になり、関係の危機に…」といった、同性婚が認められていないがゆえにコロナ禍の影響がより深刻となるケースについての苦悩の声もありました。
 
 
【アンケート結果】

<質問1への回答:仕事や収入への影響>
 「イベントの仕事をしていたが、全く仕事がない状況(40代、ゲイ)」「内定をいただいた勤務先も入社日が先延ばし状態で、アルバイトも決まらず生活が苦しい(20代、ゲイ)」「フリーランスなので仕事が全くない状態(30代、レズビアン)」「外回り営業(お酒関係の会社)の仕事のため、完全に仕事が無く、今現在収入がない状態(20代、ゲイ)」「会社が潰れることになった。7月以降に無職(30代、ゲイ)」といった声が上がっていました。
 ほかにも、「ゲイバーを経営しているが、収入が激減した(40代、ゲイ)」「勤務先のゲイバーが休業となり、辛い(ゲイ、20代)」「半年前にうつ病で会社を退社し、ゲイバーで働きながらなんとか生計を立てていましたが、お店が閉店してしまった。(ゲイ、40代)」「夜の仕事。生活保護から抜け出す予定が白紙になった。障がい者雇用を目指し、就労移行支援に戻ろうと思う(トランス女性、40代)」といった、LGBTならではの回答が寄せられました。
 
<質問2への回答:住まいへの影響>
 「ネットカフェや、公園に寝泊まりしている(30代、バイセクシュアル男性)」「部屋を出なくてはいけなくなったが、実家は地方なので、なるべく帰らないようにしようと思い、都内の友人の家に泊まることに(20代、ゲイ)」など、すでに住まいを失っている方、「いずれホームレスになってしまうおそれがある(40代、ゲイ)」「貯蓄がなくなれば家賃が払えず住む場所がなくなる(40代、バイセクシュアル女性)」など、住まいをなくす恐れがある方、家賃を滞納中であるという方、家賃が払えないので地方の実家に帰るしか選択肢がないが、「地獄に行く心境です(40代、ゲイ)」という方、「引越資金もなく、出るに出られない(20代、ゲイ)」という方などもいらっしゃいました。
 
<質問3への回答:今後必要なサポートについて>
「生活保護の利用への支援(50代、ゲイ)」といった生活保護関連のこと、「電話やネットで週に10分でも専門知識のある方と話ができたら(40代、ゲイ)」など相談窓口に関すること、「引っ越しをするための資金だけでも支援してほしい(40代、ゲイ)」など資金援助に関すること、「LGBTハウスの拡大(40代、トランス男性)」など住宅の提供に関すること、「住まいだけでなく、仕事も紹介などトータルなサポートがあるとよい(30代、ゲイ)」など就労支援に関することが挙げられました。
 そのほか、LGBTならではの回答として、「報道によって自分がセクシュアルマイノリティである事を晒されるのがこわい。もし体調に異変がある場合、相談先を通して、個人情報を保護し、適切な医療機関へ紹介してくれるような支援があってほしい(20代、トランス女性)」「仕事をして社会的地位を確保しながら贅沢ができなくても安心して死ねるような環境がほしい(50代、ゲイ)」「ゲイバーの営業再開が世間的に認められてほしい(20代、ゲイ)」「安心できる場所づくり、そこにアクセスする方法を知ることができれば助かります(30代、ゲイ)」「個人事業主とか会社しか補助金が出ないので、個人のそしてさらに親にも言えないゲイやマイノリティは、自分の家族もできなかったりするので、本当に孤独ですし、精神的にも辛すぎです。どうにかしてほしいと切に願います(40代、ゲイ)」「どこから支援してほしいかわからないほど、毎日混乱しています(40代、ゲイ)」など、さまざま、切実な声が寄せられていました。
 
【分析】
 質問1「仕事・収入」と質問2「住まい」への影響について、回答の内容から1.危機的で介入が必要な状況、2.まだ持ちこたえられるがサポートが必要な状況、3.軽微な影響を受けている状況、4.影響ない状況、5.無回答、の5段階で評価を行ってみた結果をお伝えします。まず、仕事に厳しい影響が与えられていることが窺えます。今後、時間の経過により、住まいへの影響が現れてくることが懸念されます。


【考察】
■同じような影響を受けている
・仕事について、コロナの影響は、LGBTにとって、LGBTではない方と同じように様々な職種・業種にわたり、中間層まで含めて影響を受けていることが窺える。
■複数の要因が重なることで生活困窮に
・副業などダブルワークをすることなどでギリギリ生活を維持していた方々が、本業のみならず、副業がなくなることで、生活が困難に陥るなど、自己努力で覆い隠されていた生活の困窮状況があらわになった例も多く見受けられた。
・精神面での困難や障害など、外国籍による課題など、複数の要因が重なることで、生活のバランスが崩れて困窮化してしまうLGBT当事者の生活状況の脆弱さをもっている場合があることもわかった。
■今後は住宅を失う可能性が大きい
・住宅については、調査時点では、仕事ほどではないが、緊急度が高い例も見受けられ、現に住宅を失っているものや失う可能性が高いものも多数あり、今後コロナの影響が長引けば、住宅を失う人が多数出ることが想定される。
■安心できる場が必要
・求めるサービスについては、精神的に追い詰められている声やカミングアウトのしづらさによる不安感も寄せられて、LGBTとして安心していられる場(住まい・職場)を求められている。
■「助けて」と言いづらい
・また、そうしたカミングアウトへの不安や偏見にさらされることを恐れて、行政や支援の窓口や家族など身近な人たちにもSOSがなかなか出せないという、セーフティーネットのへのアクセスはしづらさへの解消も課題であると明確になった。
 
 
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 よろしければ、こちらからご支援をご検討いただければ幸いです。

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