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LGBT関連ニュース

トランプ大統領の「トランスジェンダー従軍禁止」発言に対して各方面から一斉に非難の声が上がりました

記事日付:2017/07/28

 トランプ米大統領が7月26日22時頃(現地時間)、Twitter上で「私の将軍たちと軍事専門家と相談した結果、アメリカ政府はトランスジェンダーがいかなる形でも軍で働くことは認められない。われわれの軍は圧倒的な勝利を収めることに集中しなければならず、トランスジェンダーがもたらす多額の医療コストや混乱を負担できない」と述べました。
 
 オバマ前政権は昨年、「世界でもっとも優秀な戦闘部隊を維持するため、役に立つすべての人材が必要」だとして、米軍のトランスジェンダー入隊禁止規則を撤廃すると発表し(方針には、軍ですでに勤務する人々が性別移行を希望した場合の医療支援も含まれていました)、国防総省も承認、実際の受け入れ体制を整えるため1年間の期間が設けられ、7月1日から施行される予定でした。しかし、トランプ政権のマティス国防長官は6月30日、この政策の施行を半年間先送りすると発表していました。
 トランプ政権は(選挙中はLGBTに向けて「あなたたちのために戦う」などと語っていたにもかかわらず)LGBTの権利擁護に否定的な姿勢を見せています。今年2月には、オバマ前政権が全国の公立学校に対して生徒が自分が望む性別のトイレや更衣室を使うことを認めるよう求めた通達を破棄しています。 
 
 トランプ大統領が示した方針が、すでに入隊しているトランスジェンダーの人たちにも適用されるのか、今後入隊を希望する人に限定されるのかどうかは不明です。また、トランスジェンダーの軍人の強制除隊を可能にする法的根拠もはっきりしません。
 国防総省が積極的にトランスジェンダーの軍人を除隊させようとする場合、人権をめぐる大きな訴訟に発展する可能性が高いと専門家は指摘します。
 
 26日のホワイトハウスの記者会見では、この件に関する質問が相次ぎました。
 サラ・サンダース報道官は、入隊禁止の措置がすぐ実施されるわけではないと述べました。「国防総省とホワイトハウスが協力して進めることになる」「今回の決定は軍の決定に基づくものだ」として、具体的な検討は今後進められると述べるにとどまりました。

 すでに米軍に入隊しているトランスジェンダーの人数は2000人弱とも1万人以上とも言われています(国防総省傘下のシンクタンク、ランド研究所による推計では、2016年時点で、約4000人のトランスジェンダーが現役もしくは予備役として米軍にいたそうです)

 ランド研究所の調査では、トランスジェンダーの受入れによって増えるコストは、米軍全体の医療費のうちわずか0.13%だと指摘されています(つまり、「多額の医療コスト」は根拠がないのです)

 突然のトランスジェンダー排除方針の発表を受けて、各方面から一斉に非難の声が上がりました。
 
 アメリカ医師会は会長名で「トランスジェンダーを軍から除外する医学的な根拠はない。トランスジェンダーがもたらす医療コストは国防予算の誤差の範囲で、愛国心のあるアメリカ人が国に奉仕する機会を拒否する口実に使われるべきではない」との声明を発表しています。

 アメリカ最大の人権団体、全米市民自由連合(ACLU)は「ひどい行動」だと、「国家のために前線にいる数千のトランスジェンダーたちは、基本的人権を否定する最高司令官より尊敬に値する」との声明を発表しました。その他多くの団体が非難のコメントを発表しています。

 米グーグルやフェイスブックなどIT企業のトップも続々と声明を発表しています。
 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは「誰であろうと、誰もが自分の国に貢献できるべきだ」と投稿しました。
 グーグルのスンダル・ピチャイCEOは「軍隊に服務しているトランスジェンダーの人々に感謝している」と投稿。
 アップルのティム・クックCEOも「私たちは軍役についているすべての人に恩がある。誰かに対する差別は、すべての人を後退させる」と続きました。
 Twitterの共同創業者であるジャック・ドーシーCEOも「どのような形であれ、差別は私たちすべてにとって間違いだ」とツイート。
 Microsoftのブラッド・スミス代表も「われわれは、米軍に所属するトランスジェンダーの人たちを含め、国のために尽くしているすべての人々を尊敬し、尊重する。#LetThemServe」とツイートしています。
 
 レディー・ガガやケイティ・ペリーらのセレブも続々と、批判のコメントを発表しました。

 その日の夜には、ホワイトハウスの前やニューヨーク、全米各地で、トランプ大統領に抗議するための緊急集会が開かれ、「トランスジェンダーの権利は人権だ」といったプラカードが掲げられました。
 
 SNS上には水色、ピンク、白のトランスジェンダー・フラッグとともに、トランスジェンダーへの支援を表明するコメントがあふれました。

 こうして、一夜にして、理不尽なトランスジェンダー従軍禁止措置の発表に対して(企業の方も含めて)これだけ多くの方たちが一斉に声を上げ、行動を起こしたことこそ、注目に値すべきことではないでしょうか。トランスジェンダーの権利を守るため、アライとして支援するために、即座に、敢然とNOを言う人々の姿勢に勇気づけられた当事者の方も、少なくないはずです。

参考記事:トランプ大統領「軍にトランスジェンダー認めぬ」(NHK)ほか