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LGBT関連ニュース

札幌市で「パートナーシップ宣誓制度」がスタート、政令指定都市では初

記事日付:2017/06/03

 札幌市は6月1日、LGBTのカップル(レズビアンやゲイの同性カップルだけでなく、トランスジェンダーの方なども含め、性別を問わず)を公的に認める「札幌市パートナーシップ宣誓制度」の運用を始めました。「札幌市パートナーシップ宣誓制度」は条例ではなく、市の内部規定である「要綱」で定められ、宣誓書に市職員の面前で署名して提出すると、市が受領証と宣誓書の写しを発行するという、いわゆる「世田谷方式」です。札幌市に居住している(または転入を予定している)20歳以上が対象で、法的な権利や義務は生じませんが、賃貸住宅の入居や病院での面会、生命保険の受取りなどについて男女の夫婦との平等(差別の解消)が期待されます。
 全国の自治体で同性パートナーシップ証明制度を導入してきたのは東京都渋谷区、世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、那覇市の5自治体で、札幌市は6例目となります。政令指定都市としては初めてです。これにより、日本の全人口の3%にあたる自治体に住んでいる方が同性パートナーシップ証明制度を利用できることになります。
 
 6月1日からの制度施行を前に、16組のカップルから申請がありましたが(当日15時半時点で17組になったそうです)、初日は4組のカップルが市役所を訪れ、「互いを人生のパートナーとする」とした宣誓書に署名した後、市から受領証を受け取りました。
 1日午前に手続きを終えた20代と30代の女性カップルは「うれしい。やっとこの日がきた。(公認が)あるというだけでも安心感が持てる」「自己満足かもしれないが、自分が幸せになれることなので、ほかの人も周囲を気にせずに制度を使ってほしい」と笑顔で語りました。 
 同様にこの日、パートナーシップ証明を受けたゲイの奥田真理(まこと)さんは、「今日この日を迎えられてうれしさがこみ上げてきています。これまで、ふさぎ込みがちになることもありましたが二人の関係がパートナーとして認められてやっと表に出てもいいんだなという気持ちになっています」「(宣誓書は)機会があったら使いたい。現状はパートナーを家族や友人に紹介しにくいのですが、当たり前のように紹介できる社会になるのが理想です」と語りました。

 制度の導入を要望してきた「ドメスティック・パートナー札幌」の鈴木賢代表は、「希望の扉がようやく開き始めた。さらに次のステップへ進んでいきたい。全国のLGBTの仲間やその支援者が、各地で地元の行政に働きかけてほしい」「札幌が、多様な生き方に寛容で、多くの若者をひきつける街になってもらいたい」と語りました。

 札幌市の秋元克広市長は「性的マイノリティの方も含め、誰もが自分らしく生きることのできる街にしていくことが必要。制度が広く市民に受け入れられていくよう、今後も取り組みを進めていきたい」と語りました。 
 札幌市男女共同参画室の廣川衣恵課長は「プライバシーに配慮しながらしっかりと制度を運用してきたい。また、制度がどのようなものなのか正しく理解してもらうために周知や啓発の活動にも力を入れていきたい」と語りました。

 制度スタートを前にした5月13日には、札幌駅前通りでLGBT支援団体「コミュニティセンター・にじいろほっかいどう」が「札幌大通レインボー大作戦!!!」と称した街頭PRを行っていました。約10人のLGBT+アライの方が「私たちはあなたの身近にいます」と書いたプラカードやレインボーフラッグを掲げ、道行く人にチラシを配ったり、制度導入を心待ちにしてきたLGBT当事者たちのメッセージをマイクで読み上げたりしながら、制度への理解を呼びかけました。
 
 今回の制度をきっかけに札幌市内では、LGBTへの理解を深めるための新たな取組みを始めた企業もあります。
 NHK北海道によると、札幌市豊平区にある印刷会社「丸吉日新堂印刷」は、一昨年4月、LGBTに配慮した職場環境の整備を進めていこうとする「LGBTフレンドリー宣言」を行っています。制度の開始に合わせ、丸吉日新堂印刷ではこの日、従業員にLGBTについて配慮すべきことなどを知ってもらおうと、講師を招いて勉強会を開きました。勉強会には従業員5人が参加しました。勉強会に参加した40代の女性の従業員は、「自分の話した言葉で相手を傷つけてしまう可能性があるということを頭の片隅に置いて、これからは人と接していきたい」と話していました。同社の阿部晋也社長は、「今後もこうした勉強会を通じて理解を深めていきたい。会社側がきちんと体制を整えることでLGBTも働きやすい環境にしてきたい」と語りました。

 社会の差別や偏見を少しでも払拭したいと、新たな取組みを始める人たちもいます。
 札幌市在住で、ゲイバーやクラブイベントを運営しながらレインボーマーチの実行委員としても活躍してきた桑木昭嗣さんは、これまで講演会などでLGBTの実情などを話してきた経験を生かして、どのような配慮をすべきか企業の従業員に教える研修を行うことにしています。桑木さんのもとにはすでに数社から研修の依頼が来ていて、来月には、老人ホームを高齢者に紹介する事業などを行う会社に研修を行う予定です。5月31日にはこの会社を訪れて打ち合わせを行い、2時間程度の研修を数回に分けて開くことや事前にアンケートを行って理解度を確かめた上で研修を行うことなどを決めていました。
 桑木さんは、今回の制度をきっかけにLGBTに対する社会の意識が少しずつ変わることを期待していて「LGBTは世の中に確かに存在していることをこの機会に多くの人に知ってもらいたい。そして、LGBTだけでなくさまざまな人がいることを互いに認め合える社会になってほしい」と語っていました。

参考記事:
札幌市がLGBTカップル認定(NHK北海道)
LGBTカップル、札幌市が公的認定 政令指定市で初(テレ朝)ほか