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LGBT関連ニュース

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード」が発表され、東京五輪に提供する商品やサービスの製造・流通等に関わるすべての企業がLGBT施策の実施を求められることになりました

記事日付:2017/04/20

 年度末から年度初めにかけて、「日本オラクル、社員の同性パートナーにも福利厚生制度を拡充」「キリンがトランスジェンダー社員の支援策として、性別適合手術などのために最大60日の有休を取れるようにすることを発表」「KDDIが同性パートナーも配偶者として扱うよう社内制度を改定」といったニュースが立て続けに届きました。これまでにも数多くの企業が社内LGBT施策への取組みを行ってきており、もはや当たり前になりつつあります。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックを前に、こうしたLGBTに関する企業の施策が今後もっと増えていくことになりそうです。というのも、3月24日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が策定した「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード(以下「調達コード」)」に性的指向・性自認に関する差別の禁止が盛り込まれたからです。

 「調達コード」は、「組織委員会が調達する物品・サービス及びライセンス商品の全てを対象」にするとともに、組織委員会が「サプライヤー及びライセンシーに対し、調達物品等の製造・流通等に関して、調達コードを遵守することを求め」るとともに、「サプライチェーンも調達コードを遵守するように働きかけることを求める」ものです。要はオリンピック・パラリンピックに関係する物品やサービスなどの調達(購入)に関するルールです。調達する先の企業もこのガイドラインに沿っていることが厳格に求められ、商品製造者やサービスを提供する企業だけでなく、その材料を作っている企業やライセンスを受けている企業まで、いわゆるサプライチェーン全体に関わるものとなっています。

 今回、「調達コード」に性的指向・性自認に関する差別の禁止が盛り込まれたのは、2014年(ソチ五輪でロシアの反同性愛法への抗議として欧米各国の首脳が開会式をボイコットするなど非難が相次いたことへの反省として)、国際オリンピック委員会が定めるオリンピック憲章に「性的指向による差別の禁止」が明記されたことが背景にあります。

 「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード」の性的指向や性自認に関わる記述は、以下のとおりです。

 まず、「基本原則」では、「組織委員会は、人権の尊重を重視する。そのため、サプライヤー及びライセンシーに対し、製造・流通過程において、人種、国籍、宗教、性別、性的指向、障がいの有無等による差別やハラスメントが排除され、また、不法な強制立ち退き等の権利侵害の無い物品・サービス等を提供することを求める。」と書かれています。

 調達コードの詳しい内容は「持続可能性に配慮した調達コード(第1版)」の「4.持続可能性に関する基準」に書かれています。
(3)人権
組織委員会は、「このオリンピック憲章の定める権利および自由は、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」というオリンピック憲章の理念を強く支持する。また、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)の観点を重視する。
②差別・ハラスメントの禁止
サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、人種、国籍、宗教、性別、性的指向・性自認、障がいの有無、社会的身分等によるいかなる差別やハラスメントも排除しなければならない。
⑦社会的少数者(マイノリティ)の権利尊重
サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、民族的・文化的少数者、性的少数者(LGBT等)、移住労働者といった社会的少数者(マイノリティ)の人々の権利を、他の人々と同様に尊重し、それぞれの特性に応じたプライバシー保護にも配慮しつつ、これらの人々が平等な経済的・社会的権利を享受できるような支援に配慮すべきである。
(4)労働
⑤雇用及び職業における差別の禁止
サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等に従事する労働者について、人種、国籍、宗教、性別、性的指向・性自認、障がいの有無、社会的身分等による雇用や賃金、労働時間その他労働条件の面でのいかなる差別もしてはならない。
 
 まとめると、東京オリンピック・パラリンピックに関わるすべての物品やサービスは、性的指向や性自認による(要はLGBTの)差別・ハラスメントを禁止している企業から調達(購入)する必要がある、そうでない企業からは買ってはいけません、ということです。しかも、製品を製造する企業だけでなく、その材料を作っている企業、運搬する企業など、流通に関連するあらゆる企業に当てはまります。
 つまり、東京オリンピック・パラリンピックに関わりたい企業は、すべからくLGBT施策を行いなさい、そうでない(差別的な)企業はお断りです、と宣言されたのです。

 LGBT施策とは、例えば、社内規程や社内ポリシーで性的指向や性自認に関する差別の禁止を明文化すること、社内でLGBTに関する研修やセミナーを実施し、従業員にLGBTのことを理解させ、差別的な言動を防ぐこと、などです(必ずしも「PRIDE指標」で満点を取る必要はないと思われます)。東京オリンピック・パラリンピックに関わりたい企業は、大急ぎでこうした施策を実施する必要があります。
 昨年4月に就業規則を改定して「同性婚を認める」と発表したパナソニックは、東京五輪トップ・スポンサー企業としてLGBT施策は必須だと考え、数年前から社内での取組みを始めたんだそうです(『職場のLGBT読本』で担当の方へのインタビューが読めます)。先見の明と言えます。
 これから2020年に向けて、本当にたくさんの企業がLGBT施策に乗り出すことでしょう。
 
 最後に、今回の件に関するLGBT法連合会の声明をお伝えします。
「先般、私たちが声明において取り上げた人事院規則10−10も含め、日本社会において着実に、性的指向・性自認に関する差別やハラスメントをなくすための大きな一歩を踏み出しつつある。一方で、この調達コードの対象とならない企業・団体、あるいは地方自治体において、性的指向・性自認に関する差別やハラスメントによって、ネガティブな影響が野放しにされる、他の人びとと異なる権利状況に置かれる、などといったことがあってはならない。私たちは立法府に対して、社会のあらゆる分野において実効性のある、差別をなくすための法の制定を引き続き求めていく。」
 

参考記事:
【声明】「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード」における性的指向・性自認に関する規定について(LGBT法連合会)
東京オリンピックに関わる企業「LGBT施策」が必要な理由(ハフィントンポスト)