OUT JAPAN Co,.Ltd.

CONTACT US

LGBT関連ニュース

LGBTから見た日本の職場環境の問題点

記事日付:2016/03/22

生まれつき性的指向が同性にしか向かないゲイやレズビアン、同性も異性も好きになるバイセクシュアル、生まれつき体と心の性が一致しないトランスジェンダー(性同一性障害を含む)などの性的少数者(LGBT)。これまで、日本にはいない、うちの職場にはいない、ベッドの中の話は聞きたくない、趣味なのだから好きにすればいい、などとして職場で顧みられないことがほとんどだったため、当事者も職場ではカミングアウトできず、職場でバレてクビになった、いづらくなって辞めたというような悲劇が後を絶ちませんでした。しかし、近年ようやく(欧米に遅れること数十年)、LGBTの権利(結婚の平等をはじめ、市民として当然与えられるべき権利)が認知され、企業もダイバーシティ&インクルージョンの一環としてLGBT施策を行うのは当然だという認識が高まってきました。  

3月22日付の日本経済新聞電子版の記事では、LGBTへのインタビューを通じて日本の職場の問題点が浮き彫りにされ、また、企業としてどのようなことに取り組んでいけばよいのか、そのヒントが示されています。 「普通の結婚はできないから、手に職をつけたかった」。ドイツ証券で働く今津那奈子さん(31)はレズビアン。職場でカミングアウトし、中学生の時から興味があった株式の専門知識を武器に日本株営業を担当しています。就職活動をしていた頃の日本は「女性は事務職で入社後、結婚して出産するのが当たり前」。レズビアンとしてどうやってキャリアを描いたらいいのか。出した答えが、得意の株式を扱う証券会社での仕事でした。  

カミングアウトは仲良くなった同僚から少しずつ始めました。「隠していると同僚との話に入っていけず、情報交換の面で不利になるから」。同僚と交わす会話から、仕事に役立つヒントが得られることも多いそうです。「日本は海外に比べて10年遅れ」。今津さんは日本企業ももっとLGBT施策を行うべきだと訴えます。 「長年、職場の中で壁をつくっていた」。ゴールドマン・サックス証券の法務部で働く稲場弘樹さんは、外資系と日本企業との違いを肌で感じています。大学を卒業後、日本の大手銀行に就職し、キャリアアップを求めて外資系に転じました。「邦銀の頃は自分がゲイだと隠していたが、同僚から『ホモだゲイだ』と冷やかされることがあった」  稲場さんがカミングアウトに踏み切ったのは2015年のこと。それを促したのが社内のLGBT支援ネットワークでした。同社ではLGBT施策に責任を持つ「MD(マネージング・ディレクター)アライ」が各部署に1~2人配置されており、社内で啓発活動が浸透し、カミングアウトしやすい環境が整っていました。カミングアウトの結果、「社内で発言しやすくなり、自分で仕事をリードしたくなった」と稲場さんは語ります。上司で法務部長を務める藤田直介さんは「彼はいろんなプロジェクトを引っ張っていくようになった。仕事力は間違いなく30%アップしたと思う」と太鼓判を押しています。  

「多様な人材がいてこそクリエーティブな仕事ができる。まずは違いを知ることから始めましょう」──。ギャップジャパンが2015年12月に開いた社内研修会では、LGBTを支援するNPO法人 ReBit(リビット)から講師を招き、社内での理解を促しました。アパレル業界はコーディネートの提案など接客面でLGBT対応が急務になっていると言われ、職場の対応策にも敏感です。  

この日の研修会では「採用の仕事をしているとLGBTからの相談が増えてきた」「米国本社の取り組みが参考になるのでないか」など、活発な意見が交わされました。参加した人事部の石毛栄子さん(39)は「最低限の知識はあると思っていたが、知らないことがたくさんあった。自分のチームに共有したい」と語ります。    

転職市場でもLGBTの存在感が高まっています。人材サービスのネオキャリアが手がけるLGBT向けの転職支援サービスには、月平均100件もの登録があるそうです。「あくまで正社員が対象のサービスだが、派遣社員なども使いたいと申し込みが殺到している」と反響の大きさに驚いています。  LGBTの雇用に詳しいリクルートワークス研究所の湊美和研究員は、「カミングアウトできないと組織に居場所がないと感じてしまい、自分の能力を発揮できなくなる」と指摘します。「LGBTが働きやすい職場をつくれば、他人への想像力が豊かになる効果がある」  

今津さんや稲場さんのように、外資系企業になじみ、職場でカミングアウトして能力を発揮できる方は少数です。多くのLGBTは、たとえ能力があっても、昔ながらの日系企業の男尊女卑的な傾向の強い職場環境にあって、差別的言動を見聞きし、カミングアウトもできず、ひっそりと会社を辞めたり、LGBTが働きやすい企業を求めて転職を考えています(LGBT向け転職サイトに毎月100件もの登録があるのは、そういうことを如実に物語っています)。そうした優秀な人材を獲得するために(離職させないために)すでに日系企業でもLGBT施策に取り組み始めるところがたくさん出てきています。

参考: LGBTが見る「日本の働きかた」の課題 世界が問う 2016.3.22 日本経済新聞電子版