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LGBT関連ニュース

職場でLGBTの従業員に対してどのように接したらよいか

記事日付:2016/02/15

外国人従業員の増加やLGBTと呼ばれる性的少数者の認知など、日本の企業でもダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)が一段と進みつつあります。欧米ではすでに当たり前となっていますが、人種や民族、性的指向や性自認の多様さを認め、多様な価値観を持った人たちを取り込むことで、職場にも良い刺激を与え、企業も一枚岩ではない強靭さを得られます。  

一方で、マイノリティへの不用意な言動が職場の人間関係をこじらせる要因にもなりかねません。NPO法人虹色ダイバーシティと国際基督教大学ジェンダー研究センターの共同研究として実施された「LGBTに関する職場環境アンケート2015」http://www.nijiirodiversity.jp/wp-content/uploads/2015/09/7837de8ca9f4c38709eba5c8796f421b.pdfによると、LGBTの57%が職場で差別的言動を見聞きしたと回答しており、勤続意欲にマイナスの影響をもたらしていることが浮き彫りになっています。逆に、差別的言動がなく、ダイバーシティ意識が高いと感じる職場ほど、そこで働き続けたい人が増える傾向が見て取れます。  

では、具体的に何に気をつければいいのか、LGBTの従業員に対してどう向き合えばいいのか、といったところを日本経済新聞がまとめていたので、ご紹介します。  昨今、社内LGBT施策の一環として、就業規則を改定して同性カップルにも結婚祝い金を出すなど、差別解消が進み始めていますが、制度面の変更だけでは問題は解決しません。  LGBT施策で多くの企業がお手本にしている米IBMは2016年から、職場における「無意識の偏見」を正すための管理者向け研修を全世界で始めました。「外国人だからこう考えるはずだ、女性だからこう希望するはずだ、うちの職場にはLGBTはいないはずだ、といった偏見や思い込みをなく さないと、少数者の居心地が悪くなり、ダイバーシティの効果が表れない」と、日本IBMダイバーシティ担当部長の梅田恵氏は語ります。  

LGBTは差別を恐れて周囲にカミングアウトできない人が大半であるため、「職場でも当事者がいると気付かずに無神経な言動をしてしまいがち」(梅田氏)。例えば雑談時に、オネエタレントを「キモイ」などと揶揄して盛り上がり、近くにいる当事者を傷つけることもあります。LGBTへの蔑称である「ホモ」「オカマ」「レズ」「オナベ」などの言葉も、口にするべきではありません。  

昨年「Best of IBM」に日本から選出され、ゲイであることをオープンにしている日本IBMの川田篤氏http://gladxx.jp/news/2015/06/4291.htmlは「カミングアウトしていないゲイの人もいるでしょうから、『彼女いるの?』といったプライベートな質問は控えるべきだ」と助言します。「聞かれた側は、『まあ』などと適当にかわすこともできるが、そうすると今度は聞いた方が無視されたと感じ、いずれにせよ人間関係がぎくしゃくする」(川田氏)。さらに川田氏は、「カミングアウトした人はプライベートについて聞かれると喜ぶ人も多いが、やはり嫌がる人もいる。でも、それはストレート(異性愛者)でも一緒」と話す。当事者の中には「彼女」「彼氏」といった性別を限定した言い方(異性愛を前提とした言い方)ではなく「パートナーは?」という言い方だと好感が持てるという意見もあります。大事なのは、性的指向や性自認にかかわらず、相手を尊重したコミュニケーションです。  

もっとも、こうした「べからず集」ばかりだと職場が窮屈な雰囲気になりかねない、と見る向きもあり、それを避けるにはどうすればよいか?について、川田氏は、職場にカミングアウトした人がいたら、その人に「こういう言葉遣いはどうか」などとためらわずに質問することを勧めます。そうすることで互いの距離が縮まるといいます。  

職場の人間関係に詳しい産業能率大学総合研究所の内藤英俊氏は、心理学の「自己開示の返報性」理論の応用を提案します。家族や趣味など自分 のプライベートの話を最初に相手に披露すると、相手も同程度のプライベートの情報を開示してくれるという理論です。「スポーツなど無難な話題から徐々に話題を広げて相手との距離を縮め、相手が返事をためらったら、相手の事情を察すればよい」(内藤氏)  

最近は、外国人の採用や中途採用、非正規社員が増えるなど、価値観の異なる人たちが机を並べる職場も多くなっています。そこで注意するのは、日本人的な「あうんの呼吸」を当然と思わないことです。日本IBMの梅田氏は、「欧米に比べて日本企業のダイバーシティが遅れているのは、日本人が考えを言葉にして伝えることをしないから。『空気を読め』は通用しない」と語ります。

「これまでの日本の職場だと、例えば上司が『ドア開いているね』と言ったら、それはドアを閉めてくれという合図。それで動かなかったら 『君、何年うちの会社にいるんだっけ?』とか『気が利かないね』などとイヤミを言われる」と産能大の内藤氏は指摘します。

「つまり、こちらが言ったことを解釈できない相手が悪いという考え方。しかし、ダイバーシティの進む今の職場では、それは通用しない」。その上で内藤氏は、「異なる価値観の人たちも理解できるよう、部下であれ同僚であれ、丁寧に説明する努力が大切」と語ります。価値観の異なる人と距離を縮めるためには、積極的なコミュニケーションも必要。そんな時は、趣味や出身地、好きなスポーツなど、共通点が多いほど互いに打ち解けやすくなるという心理学の「類似性の法則」の応用が効果的だそうです。  

具体的に職場でどのようにLGBT従業員と接したらいいのか、何を話したらいいのか、といった視点での記事はこれまであまりなかったため、大変興味深いものがありました。基本は全社員へのLGBT研修の実施(セミナーやeラーニングなど)によって、LGBTについての基礎知識や、職場環境に関する困り事、要望などを理解するということ、そのうえでLGBTと接する機会をできるだけたくさん持つこと、でしょう。無難だと思って振った話題が全然響かなかったり(例えば、多くのゲイにとってスポーツは苦手な話題の一つです)、うまくいかないケースも多々あるでしょうが、 「相手を尊重したコミュニケーション」というスタンスを貫けば、必ず通じ合うものが生まれるはずです。

参考: LGBT「いる」前提で職場の言動、慎重・丁寧に 2016.2.15 日本経済新聞電子版