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LGBT関連ニュース

「work with Pride」に見るLGBT施策の先進事例−−社員の同性パートナーも配偶者とみなし、結婚祝い金や慶弔休暇を支給

記事日付:2015/12/01

2015年11月6日、LGBTを取り巻く職場環境の問題を考えるイベント「work with Pride」https://www.facebook.com/workwithprideinjapan/が都内で開かれ、日本経済新聞がこれをレポートしていました。

work with Prideは、企業などの団体において、LGBTに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体です。2012年に日本IBM株式会社が、国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチと共同で日本でのLGBT就業者支援に関するイベント「work with Pride」を企画したことから始まりました。後に、LGBTが中心になって活動している認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズが加わり、さらに翌年2013年にはNPO法人 虹色ダイバーシティ(代表の村木真紀はアウト・ジャパンの社外取締役)が加入しています。イベントとしての「work with Pride」は、第2回(2013年)をソニー株式会社が、第3回(2014年)をパナソニック株式会社が会場を提供して開催、今年は株式会社リクルート住まいカンパニーが協力しています。年々参加企業も増え、企業のLGBT施策への関心の高まりを感じさせます。  

イベントに登壇した日本IBMの川田篤氏は今春、社内スピーチの席上、部下など50人の前でゲイであることを公表したばかりです。米IBMはLGBTフレンドリーな企業として知られ、日本IBMも2012年から同性婚への結婚祝い金の支給を始めました。  社員にはLGBTとしてのカミングアウトを奨励しています。「隠すことによるストレスがなくなり生産性が高まる。企業としても当事者の存在や具体的な要望がわかってはじめて、有効な施策を打てる」(人事担当の梅田恵部長)。    

日本マイクロソフトは4月、就業規則を改定し、配偶者に関する記述を「配偶者またはパートナー」と改め、パートナーを「事実婚または同性婚において配偶者に準ずるもの」と定義、同性婚を申請した従業員も結婚祝い金や弔慰金、慶弔休暇などの適用を受けられるようにしました。上司を経由せず人事に直接申請できます。「従来も同性婚の申請があれば運用で対応していたが、就業規則に明記することで当社の姿勢を社内外に発信しやすくなった」(佐藤千佳・人事本部長)。  

ウェブサービスのガイアックスも2016年から福利厚生を同性カップルにも適用することを発表しています。  社内制度の見直しは、日本国内では外資系企業や金融・IT企業の例が目立ちますが、国際化の波のなか、日本企業にとって業種を問わず見過ごせない問題となっています。  

ちなみに、従業員の同性パートナーも配偶者と同等に扱う福利厚生の制度は、1992年、米国のリーバイス社がスタートさせました。リーバイス社は世界でも最も同性愛者が多い街・サンフランシスコを本拠地としており、従業員の多くがゲイやレズビアンだったからです。以降、多くの企業がこれに続き、社内でこうした制度を取り入れるようになり、現在に至ります。  

公的制度としては、1984年にサンフランシスコでドメスティック・パートナー制度(男女の夫婦に認められている諸々の権利のごく一部を同性パートナーにも適用)が認められ、以後、ドメスティック・パートナー法やシビルユニオン(結婚できること以外は男女の夫婦と同じ)が市や州単位で拡大していきます。欧州でも1989年にデンマークで同性パートナー法が成立し、2000年にオランダで世界初の同性婚が認められます。  

現在、欧米を中心に世界24ヶ国で同性婚が認められており、シビルユニオンなど同性パートナー法を含めると、主要な先進国のすべてでゲイ&レズビアンの権利が認められています。米国でも今年6月の連邦最高裁判所の判決により、全米で同性婚が認められました。  

米国法に詳しい石川耕治弁護士は「日本より各種の差別に厳しい米国では、LGBT差別をめぐる労働裁判も労働者側勝訴が多い」。米国で拠点を展開する場合、特に注意が必要と言えます。  また、今後は、国内法の整備も課題になります。例えば、「自国で同性婚が成立している外資系企業の幹部が日本に配偶者を入国させる際、配偶者ビザを使えず入国に手間取る例がある」(石川弁護士)。内外の法制の違いにより問題が顕在化する例が増えているようです。    

11月5日、結婚に相当すると認めた同性カップルに対して「パートナーシップ証明書」を発行する手続きを東京都渋谷区と世田谷区がスタートさせました。渋谷区の長谷部健区長は「自治体では戸籍には踏み込めない。だが法的な根拠がなくても、重みはある」と語ります。こうした自治体の取組みは、企業のLGBT対応をも後押ししそうです。  

企業が同性パートナー対応で頭を悩ませるのは、国内では同性婚制度が存在せず、同性カップルが本当に“結婚"しているかどうかという確認が難しい点だといいます。渋谷区などのパートナーシップ証明書は、自治体発行という公的な手続きでカップルの関係を裏付けできるという点でも意義を持ちます。  N

PO法人 虹色ダイバーシティの村木真紀代表は「LGBT対応は企業にとって、優秀な人材確保や生産性向上、市場開拓などの利点がある」と説明しています。不当な差別を防ぐという意味では法令遵守(コンプライアンス)にもつながります。村木代表は「一時のブームではなく継続的な取り組みにつなげてほしい」と訴えます。

参考: 性的少数者「LGBT」社員へ配慮、外資系が先行  公表奨励、同性婚に祝い金 2015/11/16付 日本経済新聞朝刊