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第2回レインボー国会が開催され、東京2020大会が「多様性の祝祭」となるよう、スポーツ界でのLGBT差別解消に向けた議論が行われました

 3月13日(火)、衆議院第1議員会館B1大会議室で第2回レインボー国会が開催されました。会場はほぼ満席で、22名の国会議員の方々も参加しました。スポーツ界におけるLGBT差別解消に向けた議論が展開され、有意義な会となりました。

 初めにメインのパネルディスカッションが行われました。ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗氏がモデレーターをつとめ、LGBT議連会長の馳浩氏、中京大学スポーツ科学部の來田享子教授、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会準備運営第一局持続可能性部の荒田有紀部長、元女子フェンシング日本代表の杉山文野さんが登壇しました。

 來田氏は、日本体育協会スポーツ医科学専門委員会が実施した「スポーツ指導に必要なLGBTの人々への配慮に関する調査研究」の結果を報告しながら、「スポーツは男/女をはっきり分けて競技を行ってきた、また、体力的には男性が優位だとのイメージがあり、男らしさを強調するような教育が行われ、性別がはっきりしないことは敬遠される傾向がある。つまり、スポーツはSOGIハラ※の砦の一つとなってきた」と指摘しました。海外では一定の条件の下で性別変更した選手が五輪に出場した例もあるほか、SOGIハラをなくすためのスポーツ活用の実践、成果も報告されているそうです。
 
※SOGIハラ:昨年の第1回レインボー国会で提唱された言葉。SOGIに関連する差別やいじめ、いやがらせを指します。望まない性別での生活を強いられたり、学校や職場などで社会的な不利益を被ったりすること全般を示す言葉です。

 荒田氏からは、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード」の第2版が6月に策定される予定であることが発表されました(すでに検討委員会が立ち上がり、松中権さんらも参加して議論が進んでおり、4月下旬には案が示され、パブコメ募集が始まる予定だそうです)。五輪のサプライヤー・流通企業に対し、取組状況の記録や開示、遵守状況の確認・モニタリングを行い、きちんとLGBT差別禁止施策が行われるよう担保するほか、何か差別事案が発生した際に通報できる窓口を設ける方針だそうです。そして、東京2020大会の人権分野の大目標として「多様性の祝祭 Most Inclusive Game Ever」という案が示されました。

 杉山文野さんは、自身や周囲のLGBTたちが直面してきたスポーツ界での差別的体験について語り、また、レズビアンであることをカムアウトした元女子バレー選手の滝沢ななえさんからのメッセージを代読しました。
「セクシュアルマイノリティが受け入れられる世の中になってくれたら、競技者もありのままの自分として競技に集中できると思います。
 競技をするのは自分だけど、競技をさせてもらっている環境はファンや関係者といった大勢の人に作ってもらっているので、その肩たちに嘘のない本当の自分を応援してもらえることほど競技者にとって幸せなことはないと思います。
 競技者にとって周りの応援ほど支えになるものはありません。
 それはスポーツだけでなく、すべての分野で言えることだと思います。」

 パネルディスカッションの後、その場にいらした国会議員の方々から一言ずつメッセージが述べられました。

 休憩を挟んで後半では、松中権さんから平昌五輪におけるLGBTへの取組みがレポートされました。すでに五輪憲章でLGBT差別禁止が謳われているため、韓国五輪組織委もLGBT差別禁止を謳ってはいたものの、実際は周知されておらず、プライドハウスの実行委員会が代わりにアナウンスしたり、メディア向けのガイドラインを作成したり、会場にバナーを掲げたりなど、様々に頑張っていたこと、一方、プライドハウスについては国内では助成が受けられず、カナダの協力でプライドハウスの場所が確保されたことなど、日本ではほとんど伝わってこない貴重なお話が聞けました。

 その後、リレートークとして、五輪スポンサー企業(ANA)や、国際学生団体、富山で活動している当事者の方、LOUDの大江千束さんらが簡単にスピーチしました。
 最後に、LGBT法連合会事務局長の神谷悠一さんと、アムネスティインターナショナル日本の山下瑛梨奈さんがご挨拶しました。
 
 全体を通じて、2020年までに、超党派のLGBT議連を中心に、LGBT差別を解消するための法制度を実現しようという発言がたくさんあり、法制定への気運を感じさせました。
 また、つい先日、厚労省からホルモン治療を行っている人は保険適用から除外するとの方針が発表されたことに対する意見も一部の方から述べられました。 
 参加した国会議員の方たちも、会場に集まった当事者たちの熱気を感じ取ったのではないでしょうか。
 東京2020大会が「多様性の祝祭」となることを期待します(OUT JAPANもできるだけの貢献を果たしてまいります)

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