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第90回アカデミー賞でトランスジェンダー映画『ナチュラルウーマン』が外国語映画賞に輝きました

記事日付:2018/03/08

 3月4日(現地時間)に発表された第90回アカデミー賞で、92ヵ国からエントリーがあり大激戦となった外国語映画賞を、チリ映画の『ナチュラルウーマン』が勝ち取りました。逆境に負けずに生きるトランスジェンダーのマリアを主人公に、どれほど揺るぎない絆を結んでいても法で守られない社会の不条理や、トランスジェンダーを拒絶する人々の心理を描いた作品です。主人公を演じたダニエラ・ヴェガ自身もトランスジェンダーであるというところでも注目を集めました。
 過去にジャレッド・レト(『ダラス・バイヤーズ・クラブ』)やヒラリー・スワンク(『ボーイズ・ドント・クライ』)がトランスジェンダーを演じてオスカーを受賞してはいますが、トランスジェンダーのアクターが演じたトランスジェンダー作品がオスカーに輝いたのは史上初です。
 また、ダニエラ・ヴェガはプレゼンターも務めており(主題歌賞にノミネートされた「Mystery of Love」(『君の名前で僕を呼んで』)を歌うスフィアン・スティーヴンスを紹介しています)、アカデミー賞初のトランスジェンダーのプレゼンターとなりました。
 なお、もう1人、ジャネット・モックというトランス女性が『マーシャル 法廷を変えた男』の主題歌「Stand Up for Something」のパフォーマンスで登場しています。2人のトランス女性がアカデミー賞のステージに立つのも史上初だそうです。
 
 それから、ゲイ映画の金字塔『モーリス』の監督として知られるジェームズ・アイヴォリー(オープンリー・ゲイの方です。現在89歳)が、ゲイ映画『君の名前で僕を呼んで』の脚本で脚色賞に輝きました。ジェームズ・アイヴォリー監督は『眺めのいい部屋』が脚色賞、衣装賞、美術賞の3部門を受賞していますが、自身が受賞するのは今回が初、そして2012年に『人生はビギナーズ』で助演男優賞を受賞したクリストファー・プラマーの82歳を塗り替える、アカデミー賞史上最年長の受賞となりました。
 受賞スピーチでジェームズ・アイヴォリーは「ストレートだろうとゲイだろうとその間のどこかに位置する人だろうと、わたしたちはみな、初恋を経験し、相手に恋する気持ちをそのまま伝える(カムアウトする)」と語りました。それから、原作者のアンドレ・アシマンやキャスト、スタッフへの謝辞と並んで、1959年から2005年に亡くなるまでアイヴォリー監督の公私にわたるパートナーだったイスマイル・マーチャントのことに触れて「私の生涯のパートナーからのインスパイアがなければ、ここに立つことはなかっただろう」と語りました。

 ほかにも今回、ゲイに関係する作品の受賞がありました。
 助演男優賞を獲得した『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェルは、映画でジェイソン・ディクソンという警官の役を演じていますが、こっそりABBAの「チキチータ」を聴くシーンなどから、ゲイのキャラクターであると見られています。
 また、作品賞や監督賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』は、1960年代のアメリカを舞台に、口のきけないイライザ、ゲイであるジャイルズ、黒人の同僚ゼルダなど、さまざまなマイノリティたちが協力しあい、差別的な権力者に立ち向かっていく姿が描かれています。
 
 昨年はアフリカ系アメリカ人のゲイを描いた『ムーンライト』がLGBT映画として初めてアカデミー作品賞に輝きましたが、今年も随所にゲイやトランスジェンダーの輝きが見られるアカデミー賞授賞式となりました。また、女性や移民、人種的マイノリティ、性的マイノリティを鼓舞するようなスピーチがたくさん披露されたほか、『スリー・ビルボード』で主演女優賞を受賞したフランセス・マクドーマンドは、受賞スピーチで「インクルージョン・ライダー(包摂条項。キャストやスタッフの人種・性別の多様性を確保すること)」という言葉を強調していました。
 


参考記事:
【第90回アカデミー賞】トランスジェンダーの女性の生き様を描く『ナチュラルウーマン』が栄光を掴む!(Movie Walker)
第90回アカデミー賞外国語映画賞『ナチュラルウーマン』監督のセバスティアン・レリオから喜びのコメントが到着(映画ランド)
【第90回アカデミー賞】最高齢受賞の89歳!『君の名前で僕を呼んで』で脚色賞を受賞のジェームズ・アイヴォリー(Movie Walker)
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