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東京都でLGBT等への差別を禁じる人権尊重条例が成立、都道府県として初

 差別の禁止と多様性の尊重を謳う五輪憲章の理念を都民に浸透させ「人権都市・東京」を実現するため、LGBT差別の禁止や人種・民族差別の禁止を盛り込んだ『東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例(以下、人権尊重条例)』が10月5日、東京都議会で可決・成立しました。都道府県としては初めての、画期的な条例となります。
 小池百合子都知事は「多種多様な個性が輝いて活力あふれる東京の実現に邁進したいと考えています」と述べました。
 来年4月の全面施行を目指すそうです。

 今年3月、東京都は2020年東京五輪に向けてLGBT担当部署を立ち上げ、今年度内に条例も制定するとの意向を表明しました。
 5月には、条例の骨子案が発表されましたが、LGBT法連合会が「実効性のある条例を」と提言していました。
 そしてこの9月、寄せられたパブリックコメントの意見などを受けて、改めて条例案が示されました。ここには、差別禁止が明確に謳われており、実効性のある内容になっていました。
 10月3日には東京都議会の委員会で、この条例案が採択され、5日の本会議で、無事に可決・成立しました。
 
 人権尊重条例の文面を見ると、特に罰則は定められていませんが、東京都、都民、そして事業者は、LGBTなど性的マイノリティへの差別をしてはならないと明記されています。そして差別解消と啓発の推進を図るため、都が(都民からの意見を聞いて)基本計画を作り、取組みを推進すること、と謳われています。
 東京都内の事業者(企業・団体等)においては、今後、社内施策としてLGBT差別禁止を周知・徹底していくことが求められます。
 
 LGBT法連合会は今回の条例の成立を受けて声明を発表し、都道府県として初めて「性的指向・性自認を理由とする差別禁止」を明確に規定した条例を整備したことを高く評価しました。一方で、実際に差別があった場合、被害者をどう救済し、回復につなげていくのか、といった施策が記載されておらず、その点では懸念が残る、とも指摘しています。具体的な施策内容については都民等から意見を聴き、基本計画を定めるものとしているが、当事者参画がなされるのか、また、どのように具体的かつ実効性のある取組みが担保されるのか、注視していきたい、とのことです。
 
 この条例の起草時にパブリックコメントを寄せた人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、声明文のなかで「東京都が今回示したLGBT差別禁止の政策は、日本政府にとってモデルとなる」「日本は2020年の東京五輪を人権尊重型にすると自負している。政府は開催までの2年間で、すべての人を保護するような法律の制定と政策の実施にあたるべきである」と述べています。

 条例では事業者の責務が盛り込まれていますが、都内の公立小非常勤講師でオープンリー・ゲイの鈴木茂義さんは、今後、「研修などで教員や保護者が性の多様性について知る機会が増える」と見ているそうです。「条例が教職員や保護者の行動を変えることにつながれば」

 都内の学校で、職場で、地域社会で、いろんな場面で、不当な差別やハラスメントに遭い、泣き寝入りを余儀なくされてきた方たちが(表立ってないだけで、実は結構たくさん)いらっしゃいましたが、LGBT差別を禁じる条例ができたわけですから、今後、そのような理不尽な思いをする方が減って、状況が少しでもよくなることを望みます。
 




参考記事:
都がLGBT差別禁止条例案 都道府県で初(日テレNEWS24)
LGBTなどへの差別禁止、人権尊重条例が都議会で成立(TBS)
“五輪の理念”に沿って差別禁止条例が都議会で成立(テレ朝NEWS)
LGBTなどの差別防止へ、条例成立 東京都議会(日経新聞)
ヘイトスピーチ規制条例が成立=LGBT差別禁止も-東京都(時事通信)
東京都のヘイト規制条例が成立 性的少数者の差別禁止も(朝日新聞)
 

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